嘘は異世界を救うのか、滅ぼすのか

ノベルバユーザー183896

第21話 嘘は婚約者に恋の色を報せる③

手頃な価格の宿に入った。


「おいさっきなんで別の部屋にするの邪魔したんだ。お金は俺が出すからいいんだぞ。」


「だって一部屋一泊6000円ですよね?ダメですよ。お金は大切に使わなきゃ。」


朝食込みで、6000円ならこの辺の相場が幾らかしらんが妥当なところじゃないか?それよりも、ユイ以外のやつと同室なんて、浮気だと思われたらどうするつもりだよ。


「いやミッシーがガキだと言ってもだよ。若い男女が同室はいけないと思うんだよ。逆にお前はいいのか?今状況は宿屋の店主には兄妹ですって設定にしなければならんかったんだぞ。」


流石に高校生くらいの子と中学生くらいの子が入って来たら不信がられるからな。


「確かに設定とはいえシンドウさんをお兄ちゃんにしなければいけないのは不服がありますが…いやシンドウさんなら個人的にはありかも……」


「部屋を変えるように言ってくる!このマセガキが!俺の貞操の危機を感じたわ!」


「冗談ですよ冗談!本気にしないで下さいよ〜」


俺には嘘は通用しないんだよ!こんにゃろうが!さっき若干本気だったぞこいつ!


「さて明日からの行動を説明するぞ、時間がないからな。聞かなかったら困るのはミッシーだぞ。」
「?なんで時間がないんですか?」


なんせな俺たちがここにいることはばれてるだろうしな。


「いいか。まずケンジの花嫁なる人物に関して調べろ。必要であれば何をしても構わん。俺が尻拭いくらいならどうとでもしてやる。そして必要ならこれを使え現金で30万ほどの価値だ。そして現状ほぼ全財産だ。そしてこれから指示があればケータイで連絡する。俺からしか掛けられないようにしているから注意しとけ!一週間だ!一週間でとにかく花嫁の情報をまず集めろ」


俺はミッシーの手首を掴む


「い、いきなりどうしたんですか。」


来る!凄まじい気が近づいてくる!あいつさらに力を上げたな。嬉しいが今は最悪の気分だ。


「早く出て行け!この部屋から!頼んだぞ。すまんが下手したら俺は死ぬかもしれん。吉報を待っている!」
「シ、シンドウさ..」


ミッシーを部屋から追い出した。


「..!?パリィン..かちィ.かちゃ..」


窓が破壊された。そして窓辺に立つ青年いやいい大人になってしまいやがって。


「ようランザキ!お前が死んでなくて安心したぜ俺はよう。久しぶりにコロシアイをやろうぜ!ぞくぞくするなーおい!」


「けっ!相変わらずだなケンジ。いや剣山 狼朗けんざん じろう。この戦闘狂がよぉ。」


そうこの男がケンジだ。かつての仲間であり。俺にとっては世界で最も厄介な敵なんじゃないかなと思わせられる。


「んじゃ始めますか!久しぶりのバトルってやつをよ!」


俺はケンジに飛びかかろうとして
当然逃げる。窓から。二階に部屋取ってよかったな~


「あぁ~てめぇ!逃げんな!ランザキよぉ~!すっかり忘れてたぜ。それがお前の戦い方だったな。いいぜ乗ってやるよ!」


部屋から出て行った後、ミッシーは再び部屋に入った。


「なんですか!これは!」
ドアの前には、飛び散った血の跡があった。そして無数の切り傷の後が。


「シンドウさんまさか本当に死ぬつもりじゃないですよね?」
ミッシーはこの惨状を茫然と眺めていた。


「いやいや。ダメだ!任された以上やらないと!私の本領みせてやりますとも!...とりあえず逃げないとですね。部屋の弁償30万で足りると思えないし。」


ミッシーはシンドウに託された任務を思い出し動きだす。





翌日、詩歌は別の宿で一晩過ごした。


「シンドウさんからは連絡きてないですね。はぁ~」


とりあえず任務は託されたけど何から始めるべきなのかな。
聞き込みでまずケンジさんの花嫁が誰なのかを聞き出すのは当然として、シンドウさんは情報を集めろって言ってたっけ。それはどんな情報なのか?単純にプロフィールを調べろってことかな?いやそんなことなら私じゃなくても、誰でもやろうとすればできるんじゃないかな。


「とりあえず動きますかね。残り6日もあるんだから。」


詩歌は宿を出てまずは6番地の礼拝堂に向かうことに決めた。
宿から出ると部屋では感じなかったほど温かみが指してる


「外の天気は快晴ですね~あぁ~お兄ちゃんに抱きしめられたいな~」


もう全てが台無しになるようなことを発しながら向かう。
私ここの土地勘なんてないんだから向かうだけでも一苦労だというのに、面倒なことを押し付けられたものだ。
ふと見渡し私は優しそうな青年を見つけ出し話かける。


「あの~すみません。」
「ん?どうしたんだい。こんなところで道にでも迷ったのかい?」
「い、いえ違うんです。私実はこの前お友達に酷いこと言っちゃって傷つけてしまって..くすん..でも謝り方が分からなくて。礼拝堂近くのおじいちゃんの家に行って話を聞いて貰いたかったんだけど..道が分からなく..私どうしたら。」
「そ、そうなの。うーんまぁ仕方ないか。ちょっと待っててね」


そして青年は電話で何か用事があった用だがキャンセルしてくれたようだ。


「しょうがないね、連れて行ってあげるよ。ちょっと遠いからバスを使いたいんだけど、カードは持ってる?」
「うん持ってるよ、使い方はまだよくわからないんだけど、お金ならお小遣いで1000円くらいあるの!それでおじいちゃんのとこ行けるかな?」
「それは大丈夫だけど帰りの分が心配だから出してあげるよ。困ったときはお互いさまってね」
「ありがと!お兄ちゃん!」


詩歌は満面の笑みでそう答えた。このお兄ちゃんもいい人でよかった。私のお兄ちゃんが世界で一番だけどね。詩歌はお兄ちゃんのことを想いながら連れていって貰うのだった。

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