のっとぱーふぇくと!!〜異世界転生の特典は呪いでした〜
一章 九話 最善は
「シオンさん…シオンさん!」
「あれ…、ここは?」
「ここは?って、シオンさんがこの世界の事を教えてくれと仰られたのですよ!ちゃんと聞いてました?」
一度、頭を整理する。俺は何をしていた?なぜ、アストレアが生きている?それと…
「おい、リィは?リィはどこだ?」
「リィ…?どなたですか?この家には、私とシオンさんの2人だけですが…。」
どうしても、思い出せない。
何か大切な事を忘れてしまっているような気がするのだ。心にポッカリと、穴が開いてしまったかのような。
「どうされました?…今日はお疲れのようですね。もうお休みになられますか?」
「いや、大丈夫なんだが…。もう寝ようかな。今日はかなり、疲れているのかもしれない。」
「そうですか…。折角、色々な事を教えて差し上げようと考えていたのに…。残念です。」
すごく残念そうな顔をする。悪い事をしたような感じがした。少し、フォローを入れておいた方がいいかもしれない。
「いや、やっぱり聞きたい。寝ながらでも、聞かせてくれないか?」
「し…シオンさん!?それって一緒にお休みになると言う…!」
「あ…ち、違う!そういう意味で言ったんじゃ…!」
「た、た、体調が悪いのならしょうがないですね!!さ、早く行きましょう!」
予想外の返答に少しビビる。あまりの可愛さに、俺の顔はトマトのような色になっているだろう。無論、アストレアの顔も同じだ。側から見ると、初夜を迎える新婚のようだ、と例えられるだろう。
…ギシッ。
2人で寝るには、少し狭いようなベッドだと感じた。実際には、ダブルベッド程度のサイズだと思うのだが。可愛い女の子と一緒に寝れるという喜びと、何故か、少しの寂しさを感じた。
仰向けになり寝転びながら、アストレアから色々な話を聞いた。アストレアの父親のこと。一万年前に現れた大賢者「サトウ リン」の話、クネヴィア王国の話。
どの話も聞いていて、新鮮味がなかった。初めて聞いた話のはずなのに、どこかで聞いた気もするのである。とてつもない違和感が残る。
「…シオンさん。ところでさっき呟いていたリィ、というのは…?」
「リィ?」
リィ。その単語に、聞き覚えはある。何かを思い出せそうで、思い出せない。とてつもなくもどかしい。
「わかんないんだ。多分、人だろうという事くらいしか…。もう少しで思い出せそうなんだが。」
「そうですか。…もう寝ましょうか。お疲れのようですし。」
「おう、おやすみ。」
考え事をやめ、寝ようとする。
が、寝れない。よく考えてみると、こんなシチュエーションで寝られるはずがない。アストレアが寝息をたて始めたのを聞き、静かに起き上がる。
窓越しに外を眺める。
月光に照らされる街並みは綺麗で、月も綺麗な満月だ。
…瞬間、背後から悪寒を感じるとともに、頭の中に、記憶が流れ込んできた。
この先に起こるはずの出来事、リィやユリスさんのこと、アストレアが俺を殺すこと。これらを踏まえて、今自分が何をすべきか考える。
人は突然、死の危険を感じた時に走馬灯を見るという。それがまさに、自分に起こっているのだと、体感させられる。脳がその一瞬のうちに、解決策を練り出そうとしている。背後から詰め寄る「あいつ」に対しての解決策を。
「テミス、俺は一度、お前を殺したぞ。」
これが、俺の脳が導き出した最善策だった。
何ヶ月ぶりでしょうか。久しぶりに書きたくなりました。楽しんでくれる人が少しでもいれば幸いです。
「あれ…、ここは?」
「ここは?って、シオンさんがこの世界の事を教えてくれと仰られたのですよ!ちゃんと聞いてました?」
一度、頭を整理する。俺は何をしていた?なぜ、アストレアが生きている?それと…
「おい、リィは?リィはどこだ?」
「リィ…?どなたですか?この家には、私とシオンさんの2人だけですが…。」
どうしても、思い出せない。
何か大切な事を忘れてしまっているような気がするのだ。心にポッカリと、穴が開いてしまったかのような。
「どうされました?…今日はお疲れのようですね。もうお休みになられますか?」
「いや、大丈夫なんだが…。もう寝ようかな。今日はかなり、疲れているのかもしれない。」
「そうですか…。折角、色々な事を教えて差し上げようと考えていたのに…。残念です。」
すごく残念そうな顔をする。悪い事をしたような感じがした。少し、フォローを入れておいた方がいいかもしれない。
「いや、やっぱり聞きたい。寝ながらでも、聞かせてくれないか?」
「し…シオンさん!?それって一緒にお休みになると言う…!」
「あ…ち、違う!そういう意味で言ったんじゃ…!」
「た、た、体調が悪いのならしょうがないですね!!さ、早く行きましょう!」
予想外の返答に少しビビる。あまりの可愛さに、俺の顔はトマトのような色になっているだろう。無論、アストレアの顔も同じだ。側から見ると、初夜を迎える新婚のようだ、と例えられるだろう。
…ギシッ。
2人で寝るには、少し狭いようなベッドだと感じた。実際には、ダブルベッド程度のサイズだと思うのだが。可愛い女の子と一緒に寝れるという喜びと、何故か、少しの寂しさを感じた。
仰向けになり寝転びながら、アストレアから色々な話を聞いた。アストレアの父親のこと。一万年前に現れた大賢者「サトウ リン」の話、クネヴィア王国の話。
どの話も聞いていて、新鮮味がなかった。初めて聞いた話のはずなのに、どこかで聞いた気もするのである。とてつもない違和感が残る。
「…シオンさん。ところでさっき呟いていたリィ、というのは…?」
「リィ?」
リィ。その単語に、聞き覚えはある。何かを思い出せそうで、思い出せない。とてつもなくもどかしい。
「わかんないんだ。多分、人だろうという事くらいしか…。もう少しで思い出せそうなんだが。」
「そうですか。…もう寝ましょうか。お疲れのようですし。」
「おう、おやすみ。」
考え事をやめ、寝ようとする。
が、寝れない。よく考えてみると、こんなシチュエーションで寝られるはずがない。アストレアが寝息をたて始めたのを聞き、静かに起き上がる。
窓越しに外を眺める。
月光に照らされる街並みは綺麗で、月も綺麗な満月だ。
…瞬間、背後から悪寒を感じるとともに、頭の中に、記憶が流れ込んできた。
この先に起こるはずの出来事、リィやユリスさんのこと、アストレアが俺を殺すこと。これらを踏まえて、今自分が何をすべきか考える。
人は突然、死の危険を感じた時に走馬灯を見るという。それがまさに、自分に起こっているのだと、体感させられる。脳がその一瞬のうちに、解決策を練り出そうとしている。背後から詰め寄る「あいつ」に対しての解決策を。
「テミス、俺は一度、お前を殺したぞ。」
これが、俺の脳が導き出した最善策だった。
何ヶ月ぶりでしょうか。久しぶりに書きたくなりました。楽しんでくれる人が少しでもいれば幸いです。
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