のっとぱーふぇくと!!〜異世界転生の特典は呪いでした〜
一章 三話 幸せも、束の間
城のデカさにも驚いたが、やはり中身も壮大だった。何をするのかわからない礼拝堂?みたいなところもあったし、何より、今いる王の間というところが広すぎる。いったいいくら掛けたのだろうか。
目の前の数十段ある階段の上に、玉座があり、そこにアストレアそっくりの赤髪の女の人がいる。ほんとにそっくりで、綺麗だ。風格もある。
「お母様。大賢者様を連れてまいりました。」
アストレアが透き通った声で言った。やはり母親か。
「あなたが大賢者です〜?随分とお美しい顔をされてるではありませんか〜。てっきり、ヨボヨボのおじいさまが来るのかと思っておりましたよ〜。アハハ〜。」
なんか軽い人だな。随分と失礼なことを言う。まあ、わからんでもないか。大賢者なんてジジイしかいないイメージだし。それにしても、俺の顔面偏差値は下の上くらいだったのだが。
「お褒めいただきありがとうございます。大賢者というより、まだ、魔法使い見習いにもなっておりませんよ。」
その言葉に公王は、きょとん、とした顔をしている。
「聞いた話によると、あなたの魔道書はこれまでに例を見ないくらい分厚いらしいじゃないですか〜?賢者様の数倍あるとか〜。親に学校に通わせてもらえなかったのですか〜?」
親なんていないしな。適当に嘘ついとくか。
「家にあまりお金がなくて。学費が払えなかったのです。」
「それは残念なことですね〜。特待制度もありますのに。アストレアちゃんは、魔法の教師をやっているのですよ。おしえてもらってはどうですか?」
「な…、お母様!人前でアストレアちゃんはやめてくれと常日頃から言ってるではありませんか!」
「いいじゃないの〜。そんなの誰も気にしないわ〜。堅苦しい雰囲気で話しても打ち解けられないでしょう〜?」
アストレアの顔が真っ赤になっている。かわいい。実際、こんなにもすごいすごい言われているのだから、魔法は使ってみたい。おしえてくれないだろうか。でも、お金がない。
「いや、でも、今お金がなくて。とても教えてもらう分のお返しができる状況ではないのです。」
「タダでいいですよ〜。娘が大賢者を育てたとなれば鼻が高いですし、貸しを作ることにもなりますしね。」
さすが王。交渉がうまい。
「ちょ、お母様!私は了承しておりませんが!!」
「あれ、嫌だった?じゃあごめんなさい、この話はなしに…」
「いいいいい、嫌とは言ってません!やりましょう!私が、シオンさんが一人前になるまで、サポートします!」
また顔が真っ赤になった。アストレアは恥ずかしがり屋なのだろう。
「シオンさんは、泊まる宿とかもう決まってるの〜?あ、お金ないんだよね〜。」
「恥ずかしながらその通りです。」
本当に恥ずかしい。
「じゃあ、アストレアちゃん。貴族区のあの使ってない家で、シオンさんにつきっきりで魔法を教えて〜。教師の仕事は休むように〜。シオンさんも、アストレアちゃんが可愛いからって、魔法以外のお勉強はしないように〜。」
「お、お、お母様!!2人きりは流石にちょっと……。嫌ではないですけど…。」
おい、いいのかよ。俺としても、断る理由はない。この言い方は多分、お金の面は負担してくれるのだろう。その気もないと念押ししておこう。
「そのような心配はありません。乙女を汚すような真似はしませんので。もしそのようなことがあれば、責任を持ってアストレアを貰います。」
「ちょ、シオンさん!?!?」
「2人とも、了承したという形でいいのよね〜?最後に、何か質問とかある?」
そういえば名前を聞いてなかったな。
「まだ、お名前をお聞きしておりません。」
「あ。うっかりしてた〜。私の名前はリズアル・ヴァン・アイリス。現公王よ〜。もう、質問はない〜?ないなら、もう特に用事ないので帰っていいですよ〜。」
本当に適当な人だ。心からそう思った。真面目なアストレアから後で話を聞けばいいから、とりあえず城から出よう。
「いこうか。アストレア。」
アストレアが頷く。
「は、はい。シオンさん。」
付き合いたてのカップルみたいだ。まあ、今まで彼女なんてできたことないけど。
城から徒歩で10分で、そこについた。誰も手入れしていないので、外見は綺麗でもないのだが、本当に大きい。屋敷とでもいうべきなのか。元いた世界では見たことがない。
「どうぞ。汚いかもしれませんが。」
アストレアに連れられ中に入る。中は、定期的に手入れされているみたいで、とても整っていた。掃除の必要は、ないみたいだ。一通り部屋の説明をしてもらい、もう日も暮れるころなので、夕食にすることになった。どうやら、アストレアが作ってくれるみたいだ。
洋食メインだったが、米があった。日本人の俺としては、本当に嬉しい限りだ。唐揚げやらフライドポテトやらある中で、色々何かわからないものがあった。
「これはなんだ?」
「それはジャイアントアントの卵です。」
「これは?」
「それはスライムのジュースですね。」
聞いてしまうと、イメージが結構なゲテモノばかりで、ちょっとひいてしまったのだが、食べてみればとても美味しい。
夕食を食べた後は、色々な話をした。アストレアの父親の話、一万年前にも現れたという大賢者の話、隣国のクネヴィア王国の話など。
アストレアの父親は好戦的で、簡単に言えば、他国に喧嘩を売りまくっていたという。実際、武の腕は中々だったらしいが、まだアストレアが幼かったころ、暗殺されたらしい。なので、今は母親のアイリスが王になり、平和に過ごしているらしい。
一万年前に現れたと言われる大賢者の名前は「サトウ リン」というらしい。言い伝えらしいが、彼女が文明をつくりあげ、魔法を作り、魔道書を見つけ出したという。ちなみに魔道書は、通常、クネヴィア王国にある「世界樹」の元に行かなければもらえないらしい。
「サトウ リン…日本人だろうな。」
ちなみにその言い伝えには、サトウリンは、まだ生きている、という内容もあるらしい。
クネヴィア王国には、「世界樹」があり、誰しもが魔導書を受け取れる。だが、この頃世界樹を国内のみだけで扱おうとしており、どんどん閉鎖的な国になっているらしい。
一通り話を聞いたところで、眠くなってきたので、寝ることにした。
もちろん別々の部屋だ。 俺はゆっくり攻めていく派なのでな。
自分の部屋に入り、窓の外を見る。まだ1日目だというのに、誰かと一緒にいるだけで幸せを感じる。
「月が綺麗だなぁ。」
月がいつもより綺麗に見えた。異世界だからかもしれないが。ベットへ向かおうとした次の瞬間。
ズボッッ
嫌な音がした。そして、胸あたりに激痛が走った。何者かの手が、自分の胸を貫いていたのである。
––熱い。胸が熱い。焼けるように熱い。体が震えて、動かない。後ろも、みれない。
–−おい、俺、もう死ぬのかよ。せっかく、幸せになれると思ったのに…。
薄れゆく意識の中、微かに聞こえた。
「君は、危ない。この世界を壊しかねない。僕が作った、この世界を。」
意識が、途切れた。
今回はちょっと長めです。
アストレアさん。料理もできるなんて。
嫁に欲しい。
目の前の数十段ある階段の上に、玉座があり、そこにアストレアそっくりの赤髪の女の人がいる。ほんとにそっくりで、綺麗だ。風格もある。
「お母様。大賢者様を連れてまいりました。」
アストレアが透き通った声で言った。やはり母親か。
「あなたが大賢者です〜?随分とお美しい顔をされてるではありませんか〜。てっきり、ヨボヨボのおじいさまが来るのかと思っておりましたよ〜。アハハ〜。」
なんか軽い人だな。随分と失礼なことを言う。まあ、わからんでもないか。大賢者なんてジジイしかいないイメージだし。それにしても、俺の顔面偏差値は下の上くらいだったのだが。
「お褒めいただきありがとうございます。大賢者というより、まだ、魔法使い見習いにもなっておりませんよ。」
その言葉に公王は、きょとん、とした顔をしている。
「聞いた話によると、あなたの魔道書はこれまでに例を見ないくらい分厚いらしいじゃないですか〜?賢者様の数倍あるとか〜。親に学校に通わせてもらえなかったのですか〜?」
親なんていないしな。適当に嘘ついとくか。
「家にあまりお金がなくて。学費が払えなかったのです。」
「それは残念なことですね〜。特待制度もありますのに。アストレアちゃんは、魔法の教師をやっているのですよ。おしえてもらってはどうですか?」
「な…、お母様!人前でアストレアちゃんはやめてくれと常日頃から言ってるではありませんか!」
「いいじゃないの〜。そんなの誰も気にしないわ〜。堅苦しい雰囲気で話しても打ち解けられないでしょう〜?」
アストレアの顔が真っ赤になっている。かわいい。実際、こんなにもすごいすごい言われているのだから、魔法は使ってみたい。おしえてくれないだろうか。でも、お金がない。
「いや、でも、今お金がなくて。とても教えてもらう分のお返しができる状況ではないのです。」
「タダでいいですよ〜。娘が大賢者を育てたとなれば鼻が高いですし、貸しを作ることにもなりますしね。」
さすが王。交渉がうまい。
「ちょ、お母様!私は了承しておりませんが!!」
「あれ、嫌だった?じゃあごめんなさい、この話はなしに…」
「いいいいい、嫌とは言ってません!やりましょう!私が、シオンさんが一人前になるまで、サポートします!」
また顔が真っ赤になった。アストレアは恥ずかしがり屋なのだろう。
「シオンさんは、泊まる宿とかもう決まってるの〜?あ、お金ないんだよね〜。」
「恥ずかしながらその通りです。」
本当に恥ずかしい。
「じゃあ、アストレアちゃん。貴族区のあの使ってない家で、シオンさんにつきっきりで魔法を教えて〜。教師の仕事は休むように〜。シオンさんも、アストレアちゃんが可愛いからって、魔法以外のお勉強はしないように〜。」
「お、お、お母様!!2人きりは流石にちょっと……。嫌ではないですけど…。」
おい、いいのかよ。俺としても、断る理由はない。この言い方は多分、お金の面は負担してくれるのだろう。その気もないと念押ししておこう。
「そのような心配はありません。乙女を汚すような真似はしませんので。もしそのようなことがあれば、責任を持ってアストレアを貰います。」
「ちょ、シオンさん!?!?」
「2人とも、了承したという形でいいのよね〜?最後に、何か質問とかある?」
そういえば名前を聞いてなかったな。
「まだ、お名前をお聞きしておりません。」
「あ。うっかりしてた〜。私の名前はリズアル・ヴァン・アイリス。現公王よ〜。もう、質問はない〜?ないなら、もう特に用事ないので帰っていいですよ〜。」
本当に適当な人だ。心からそう思った。真面目なアストレアから後で話を聞けばいいから、とりあえず城から出よう。
「いこうか。アストレア。」
アストレアが頷く。
「は、はい。シオンさん。」
付き合いたてのカップルみたいだ。まあ、今まで彼女なんてできたことないけど。
城から徒歩で10分で、そこについた。誰も手入れしていないので、外見は綺麗でもないのだが、本当に大きい。屋敷とでもいうべきなのか。元いた世界では見たことがない。
「どうぞ。汚いかもしれませんが。」
アストレアに連れられ中に入る。中は、定期的に手入れされているみたいで、とても整っていた。掃除の必要は、ないみたいだ。一通り部屋の説明をしてもらい、もう日も暮れるころなので、夕食にすることになった。どうやら、アストレアが作ってくれるみたいだ。
洋食メインだったが、米があった。日本人の俺としては、本当に嬉しい限りだ。唐揚げやらフライドポテトやらある中で、色々何かわからないものがあった。
「これはなんだ?」
「それはジャイアントアントの卵です。」
「これは?」
「それはスライムのジュースですね。」
聞いてしまうと、イメージが結構なゲテモノばかりで、ちょっとひいてしまったのだが、食べてみればとても美味しい。
夕食を食べた後は、色々な話をした。アストレアの父親の話、一万年前にも現れたという大賢者の話、隣国のクネヴィア王国の話など。
アストレアの父親は好戦的で、簡単に言えば、他国に喧嘩を売りまくっていたという。実際、武の腕は中々だったらしいが、まだアストレアが幼かったころ、暗殺されたらしい。なので、今は母親のアイリスが王になり、平和に過ごしているらしい。
一万年前に現れたと言われる大賢者の名前は「サトウ リン」というらしい。言い伝えらしいが、彼女が文明をつくりあげ、魔法を作り、魔道書を見つけ出したという。ちなみに魔道書は、通常、クネヴィア王国にある「世界樹」の元に行かなければもらえないらしい。
「サトウ リン…日本人だろうな。」
ちなみにその言い伝えには、サトウリンは、まだ生きている、という内容もあるらしい。
クネヴィア王国には、「世界樹」があり、誰しもが魔導書を受け取れる。だが、この頃世界樹を国内のみだけで扱おうとしており、どんどん閉鎖的な国になっているらしい。
一通り話を聞いたところで、眠くなってきたので、寝ることにした。
もちろん別々の部屋だ。 俺はゆっくり攻めていく派なのでな。
自分の部屋に入り、窓の外を見る。まだ1日目だというのに、誰かと一緒にいるだけで幸せを感じる。
「月が綺麗だなぁ。」
月がいつもより綺麗に見えた。異世界だからかもしれないが。ベットへ向かおうとした次の瞬間。
ズボッッ
嫌な音がした。そして、胸あたりに激痛が走った。何者かの手が、自分の胸を貫いていたのである。
––熱い。胸が熱い。焼けるように熱い。体が震えて、動かない。後ろも、みれない。
–−おい、俺、もう死ぬのかよ。せっかく、幸せになれると思ったのに…。
薄れゆく意識の中、微かに聞こえた。
「君は、危ない。この世界を壊しかねない。僕が作った、この世界を。」
意識が、途切れた。
今回はちょっと長めです。
アストレアさん。料理もできるなんて。
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