こんな俺でも恋をする

白葉南瓜

魔術師と鬼

その日を境に俺とヒビキは会えなくなった。
だが、次会えた時には敵になっていた。

ヒビキが城に連れて行かれたのは知っていたが、何故…あんな奴に従うのかが分からない。
「ヒビキ!戻ってこい」
「はっはっはっ、無駄だよ。赤城!その娘は私の支配下に落ちた」

その聞きながら無償腹が立ってきた。
ヒビキの目を見ると光がなく絶望に満ちた目をしていた。
「この娘の内にはイフリートの印が刻まれている。その上、私の腕にはアーサーの印とガイアの印が刻まれている。同じもの同士、共鳴しあったのだ!」

そう勝ち誇ったようにゼラマスは両手を広げ言っていた。
俺は、魔法の事は分からないがヒビキが何かに操られているのだけは分かった。
その目はクロユリを扱っていた時の俺と似ている。
「それがどうした。お前を倒せばいいだけだ!」

そう言い、俺がゼラマスの所へ駆け出していくと同時にその間にヒビキが入った。
ヒビキは白い髪を後ろで一つに束ねて、青黒い鎧に身をまとっていた。
「どいてくれ!」
「……」

その言葉に返事はなかった…だが、一振りの剣がきた。
数歩ヒビキから退くと、ヒビキが此方へ剣を向けてきていた。

やらないと、これは殺されるな…
そう思い、右手を前に出して詠唱を始めた。
「我、鬼の類なり。その呪いと二人の怨念を引き継ごう。ここで咲き、邪魔な者を排除しろ![紅蓮ホムラ・零陣]」

そう詠唱し終えると、一本の刀が右手に現れた。
その刀は鞘も持ち手も黒色だが、光の加減で少し赤みがかかっていた。
刀身を見るとそれは綺麗な紅色で、何かの血を浴びても分からないほどだった。

抜刀して鞘を投げると鞘は粉となって消えていった。
それを合図にヒビキは体に合わない程大きな大剣を振ってきた。
それを避けるようにバックステップをして回避を試みたが、剣先から炎が出てきてそれを左腕で守ったら大火傷を負ってしまった。

最初から本気で行かないと死ぬなこれは…
そう思いながら、左目を撫でると一度、強く心臓が脈打った。
「クロユリ…いや、紅蓮。お前の挑戦受けてたつ!」
そう言うと、鬼眼の発動と同時に左ほほに呪いの文字が刻まれた。
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」

時間が経つに連れてその呪いの文字は右肩を通り右腕全体に広がって、刀身にも刻まれていった。

呪いが体に広がり終わると、周りはクレーターになっているのと、紅雷が堕ちていた。

こ、これが〔雷鬼〕…
余韻に浸っていると砂けむりの向こうからヒビキが飛躍して大剣を振り下ろしてきていた。
「今からお前を倒す!」


彼の行動が吉と出るか、凶と出るか…

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