死ねば死ぬほど最強に?〜それは死ねってことですか?〜
最終話〜帰還〜
クラスメイト達の挨拶が終わると同時に神が現れた。
「準備が整った。もういいかな?」
「はい」
そう言うと全員が神殿のような場所に転移する。神殿の中心を囲うように異常な数の天使が集まっていた。
「ここから元の世界に送る。だが、送った後のことは分からない。他の世界には干渉できないから」
「分かりました」
返事をする司の目にはあまり見たくはないものが見えていた。
「連れてきておいた。この人間達はどうする? 酷い行為をしていたようだが」
オルに城が襲われた時にどこかへ逃げ出した森山達だった。
「構いません」
さっと返事をして司は森山達を視界から外す。
「神殿の中央に集まってくれ」
神の指示通りに移動する。
「強い魔力を持つ藤井司君を核として転移魔法を発動する。召喚魔法よりも場所を特定する転移魔法の方が魔力を使う。世界を超えるならそうとうだ。天使達の魔力も全て使うが、足りない魔力を貰うかもしれん」
「分かりました」
司を中心として魔法が形成されていく。
「やっと帰れるんだね司」
「ああ。やっとだ。花音を守り切れた」
「これからも守ってくれるんでしょ?」
「勿論だ。絶対に離さない」
時間が経つにつれて司は脱力感を感じる。
ああ。終わったんだ。これでやっと・・・。
グサッ
目を閉じていた司は脱力感が強烈な痛みに変わる。何が起きたか理解できない。振り返ると剣を持った森山の姿があった。そして、胸から大量に血が溢れだす。
「澄ました顔しやがってむかつくんだよ。今まで底辺だったくせに俺を舐めた目で見やがって。その報いだ。お前みたいなゴミは死んだ方がいいんだよ。俺の玩具じゃないお前は生きる価値なしだ」
クラスメイトによって森山は取り押さえられる。横たわる司に花音が治癒魔法をかけるが傷は塞がらない。
「剣はこの神殿の奥に置いてあったやつだ。俺の能力の保管庫に盗っておいたんだよ」
魔神との戦いを見ていた全員がすぐに理解できた。殺神剣だ。
「いますぐ魔法を止めてください。何か治療方法を探さないと」
「無理だ。もう魔法は最終段階に入っている。ただでさえ核が不安定で危険。他に核になれる人はいない。止めれば魔力が暴走して全員死ぬことになる。そして、殺神剣の傷は絶対に治らない」
花音に返ってきたのは神の無情な言葉だった。それでも花音は諦めない。花音は司の横で涙を流しながら治癒魔法を使い続ける。
「もういいんだ」
花音は司の言葉を聞かない。何度も何度も魔法を発動する。
「お願いがあるんだ。最後に一つ聞いてくれないか?」
「最後なんかじゃない。絶対に助ける。あっちに返ったらいくらでも聞いてあげるから」
「もういいんだ!」
司は声を大きくして花音の両手を掴む。急に声を大きくした司に驚いて花音は少し放心状態になる。
「俺のお願いを聞いてくれるね?」
そう言って司は森山が落とした殺神剣を花音に渡そうとする。
「え?」
「これで俺を殺してくれ。俺を殺せば俺の中にある力が花音に移行するはずだ。そうすれば、この転移の成功確率は上がるはず。核の人間を変更ぐらいできはずだ。そうだろう?」
「藤井司君の死と同時に東条花音さんに核を移行すれば今よりも成功確率は上がるでしょう」
神の返事は花音にとって受け入れられるものではなかった。
「よかった。わかっただろ。これで俺を・・・」
「分からないよ。そんなの絶対に嫌。それなら司と一緒に死んだほうがマシだよ」
司の言葉を遮り花音は大きな声で否定する。
「俺は絶対に死ぬ。それなら、少しでも花音の生存確率をあげよう」
花音は首を横に振って剣を持とうとしない。
「花音!」
もう一度大きな声をだす。司は花音の首に手を回し、そのまま自分に近づけて口付けをする。
「大好きだ。だからこそ、救わせてくれ」
「うん」
花音は涙で顔をグチャグチャにしながら剣を持つ。
「愛してるよ花音」
「私もだよ司」
花音は剣で司の心臓を貫く。
司は薄れていく意識の中で魔法が発動したのを確認する。
やっとだ。やっと終わった。花音を守り切った。もう・・・疲れたな。
司はゆっくりと意識を手放した。
司は朝日によって目を覚ます。準備をして家から出ると花音が家の外で待っていた。
「一緒に行こう」
「うん」
二人で学校に登校する。教室には司を虐めていた森山達の姿はどこにもない。そして、花音は同じクラスになっていた。
放課後、司は自分の中にある違和感と記憶について花音に質問してみる。
「そんなこと知らないよ。夢でも見ていたんじゃないの? そんなことより今日は司の好物のカレー作るから」
「やった。花音のカレーは最高なんだよな」
花音の返事を信じて司は考えることをやめた。
司は毎日が楽しみで仕方がなかった。
花音との生活。たくさんの友達。
朝日が差し込んで司は目を覚ます。司は花音と一緒に今日も爽快な気分で学校に向かうのだった。
本当に辛かったね。
どれだけの痛みに、どれだけの恐怖に、どれだけの絶望に打ち勝ってきたのか私には想像もできない。でも、あなたがあの世界でどれだけ頑張ったか。どれだけ私を想ってくれたかは分かる。
あの世界では散々辛い思いをしたから、この世界ぐらい最高の人生を送ってもいいよね?
この世界が司の敵になるなら、私はこの世界を滅ぼすよ。
私が司を絶対に幸せにする。大好きだよ。
「準備が整った。もういいかな?」
「はい」
そう言うと全員が神殿のような場所に転移する。神殿の中心を囲うように異常な数の天使が集まっていた。
「ここから元の世界に送る。だが、送った後のことは分からない。他の世界には干渉できないから」
「分かりました」
返事をする司の目にはあまり見たくはないものが見えていた。
「連れてきておいた。この人間達はどうする? 酷い行為をしていたようだが」
オルに城が襲われた時にどこかへ逃げ出した森山達だった。
「構いません」
さっと返事をして司は森山達を視界から外す。
「神殿の中央に集まってくれ」
神の指示通りに移動する。
「強い魔力を持つ藤井司君を核として転移魔法を発動する。召喚魔法よりも場所を特定する転移魔法の方が魔力を使う。世界を超えるならそうとうだ。天使達の魔力も全て使うが、足りない魔力を貰うかもしれん」
「分かりました」
司を中心として魔法が形成されていく。
「やっと帰れるんだね司」
「ああ。やっとだ。花音を守り切れた」
「これからも守ってくれるんでしょ?」
「勿論だ。絶対に離さない」
時間が経つにつれて司は脱力感を感じる。
ああ。終わったんだ。これでやっと・・・。
グサッ
目を閉じていた司は脱力感が強烈な痛みに変わる。何が起きたか理解できない。振り返ると剣を持った森山の姿があった。そして、胸から大量に血が溢れだす。
「澄ました顔しやがってむかつくんだよ。今まで底辺だったくせに俺を舐めた目で見やがって。その報いだ。お前みたいなゴミは死んだ方がいいんだよ。俺の玩具じゃないお前は生きる価値なしだ」
クラスメイトによって森山は取り押さえられる。横たわる司に花音が治癒魔法をかけるが傷は塞がらない。
「剣はこの神殿の奥に置いてあったやつだ。俺の能力の保管庫に盗っておいたんだよ」
魔神との戦いを見ていた全員がすぐに理解できた。殺神剣だ。
「いますぐ魔法を止めてください。何か治療方法を探さないと」
「無理だ。もう魔法は最終段階に入っている。ただでさえ核が不安定で危険。他に核になれる人はいない。止めれば魔力が暴走して全員死ぬことになる。そして、殺神剣の傷は絶対に治らない」
花音に返ってきたのは神の無情な言葉だった。それでも花音は諦めない。花音は司の横で涙を流しながら治癒魔法を使い続ける。
「もういいんだ」
花音は司の言葉を聞かない。何度も何度も魔法を発動する。
「お願いがあるんだ。最後に一つ聞いてくれないか?」
「最後なんかじゃない。絶対に助ける。あっちに返ったらいくらでも聞いてあげるから」
「もういいんだ!」
司は声を大きくして花音の両手を掴む。急に声を大きくした司に驚いて花音は少し放心状態になる。
「俺のお願いを聞いてくれるね?」
そう言って司は森山が落とした殺神剣を花音に渡そうとする。
「え?」
「これで俺を殺してくれ。俺を殺せば俺の中にある力が花音に移行するはずだ。そうすれば、この転移の成功確率は上がるはず。核の人間を変更ぐらいできはずだ。そうだろう?」
「藤井司君の死と同時に東条花音さんに核を移行すれば今よりも成功確率は上がるでしょう」
神の返事は花音にとって受け入れられるものではなかった。
「よかった。わかっただろ。これで俺を・・・」
「分からないよ。そんなの絶対に嫌。それなら司と一緒に死んだほうがマシだよ」
司の言葉を遮り花音は大きな声で否定する。
「俺は絶対に死ぬ。それなら、少しでも花音の生存確率をあげよう」
花音は首を横に振って剣を持とうとしない。
「花音!」
もう一度大きな声をだす。司は花音の首に手を回し、そのまま自分に近づけて口付けをする。
「大好きだ。だからこそ、救わせてくれ」
「うん」
花音は涙で顔をグチャグチャにしながら剣を持つ。
「愛してるよ花音」
「私もだよ司」
花音は剣で司の心臓を貫く。
司は薄れていく意識の中で魔法が発動したのを確認する。
やっとだ。やっと終わった。花音を守り切った。もう・・・疲れたな。
司はゆっくりと意識を手放した。
司は朝日によって目を覚ます。準備をして家から出ると花音が家の外で待っていた。
「一緒に行こう」
「うん」
二人で学校に登校する。教室には司を虐めていた森山達の姿はどこにもない。そして、花音は同じクラスになっていた。
放課後、司は自分の中にある違和感と記憶について花音に質問してみる。
「そんなこと知らないよ。夢でも見ていたんじゃないの? そんなことより今日は司の好物のカレー作るから」
「やった。花音のカレーは最高なんだよな」
花音の返事を信じて司は考えることをやめた。
司は毎日が楽しみで仕方がなかった。
花音との生活。たくさんの友達。
朝日が差し込んで司は目を覚ます。司は花音と一緒に今日も爽快な気分で学校に向かうのだった。
本当に辛かったね。
どれだけの痛みに、どれだけの恐怖に、どれだけの絶望に打ち勝ってきたのか私には想像もできない。でも、あなたがあの世界でどれだけ頑張ったか。どれだけ私を想ってくれたかは分かる。
あの世界では散々辛い思いをしたから、この世界ぐらい最高の人生を送ってもいいよね?
この世界が司の敵になるなら、私はこの世界を滅ぼすよ。
私が司を絶対に幸せにする。大好きだよ。
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