死ねば死ぬほど最強に?〜それは死ねってことですか?〜

ライオットン

第70話〜捜索〜

「話はわかりました。こちらの勘違いだということですね。申し訳ありませんでした」

 モンブランの背後で女王が頭を下げる。

「何をしている! お前たちも!」

 その声に付近にいた全ての者が頭を下げる。

「まあ、誤解がとけてよかったです。他にも、もっと有益な情報も手に入りましたし」

「今後の処分は如何様でもうけます。こちらの一方的な勘違いで同盟国を攻撃したのですから。許されるとは思っていません」

「そうですね・・・。それよりも、拐われた二人のエルフを探しましょう」

「いえ、これ以上貴方の手を借りるわけには」

「構いませんよ。同盟国ですからね」

「感謝します」

「当てがありますので、先に行ってみます。二人が見つかったら、その後にゆっくりと話をしましょう」

 モンブランは翼を広げて城から飛び出ていく。

「彼が、良い人で助かりました。今後はお互いもっと慎重に動かなくてはいけませんね。シーナ」

「はい。申し訳ありません」

「遅れてばかりではいけません。捜索隊をすぐに出して。一刻も早く探し出すのです」

「「はっ!」」

 モンブランは大空に舞い上がる。

「鬼人化」

 モンブランはふと背中を確認するが、リングは出ていないようだ。

「王よ。これからどうなさるのですか?」

 処分を終えたであろうイチルたちが登ってくる。

「少し下がっていてください」

 モンブランは口を開ける。

 普通の人間では感じることはできないだろう。だが、ヴァンパイアであるイチル達には分かる。

「超音波ですか」

「これなら策無しで探すより圧倒的に効果的でしょう」

 モンブランは超音波の範囲を徐々に広げていく。

 見たことがない土地が、立体的にモンブランに流れ込んでいく。

「王よ。一つ質問なのですが」

「なんですか?」

「なぜ鬼人化を? 範囲は広くなるのでしょうが、少々効率が悪いのでは?」

「僕は鬼人化の時間をある程度操れるようになったんですよ。浅く広く。深く強く。みたいな感じですかね。それの試験運用も兼ねて」

「なるほど。今まで存在したスキルを変えてしまうなど、流石です」

「そこまででもないですよ。時間は長くなっても・・」

 軽口を叩いていたモンブランの元へ、人型の二つの形が返ってくる。

「見つけました」

 見つけた場所へ一気に加速していく。

「だめか」

 モンブランは少しため息をつく。

 後を追ってきたイチル達が目にしたのは、エルフの二人。その死体であった。頭と体が、綺麗に切断されていた。

「これは、少々綺麗すぎるのではないですか?」

 イチルが疑問を問いかける。

「確かにそうですね。切り口が、綺麗すぎる」

「普通の人間には無理ですね。あの八人の中にこんなことができる様子の者はいませんでした。それができるなら、オークになど捕まっていないでしょうから」

「確かにそうですね」

「捕まるところまで指示通りだったすると、少し難しいですが」

「奴が絡んでいるのは確定ですからね。連れて帰りましょう」
 
 モンブランは血によって作った布で死体を包み、部下の二人に持たせた。

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