死ねば死ぬほど最強に?〜それは死ねってことですか?〜
第45話〜分かれ道〜
剣を構えた司の中には、迷いが渦巻いていた。
本当に殺していいのか? 自分の命の恩人を? 今まで自分を思っていてくれた人を殺すのか? なら、許すのか? 花音が傷つくことを容認した人を? 敵を許すのか? 本当にそれでいいのか?
許すとしたら、今まで殺した人はどうなる? 花音を傷つける者は全て敵だと自分に言い聞かせた。それなのに許していいのか? もし許したら、第二第三の人を許してしまうかもしれない。その人が花音を傷つけたりしたら、正気ではいられない。
自分の誓いを貫くのか、例外を容認すのか、司にとって究極の二択が突きつけられていた。
花音がいてアドバイスでもしてくれればもっと楽だろう。今さっき出した指示を司は後悔するのだった。
「まだ、迷っているんだな。君は本当に優しい人だ。でも、東条さんを守るためには優しさは必要にない。そうやって自分に言い聞かせてきたんだろうな。非道に、残虐になるためのものがあの仮面なんだろう?」
「アランさんには全部バレバレですね」
「決断が辛いなら、仮面を取りに行っても構わん。君が戻ってくるまでここで待つと誓おう」
「いえ、その必要はありません。これは藤井司が決めることですから」
そう言ってから数分間、二人の間には静寂が流れる。
「決めました」
そう言って司はアランの目を真っ直ぐに見る。
「そうか。ありがとう」
その目を見て、アランは何かを悟ったように呟く。
真紅に光り始める剣は小刻みに震えている。
「まだ、迷っているのか? 君は優しすぎる。いや、甘い! そんなんで大事な人を守れるものか! 俺が裏切るなんて微塵も思っていない。だから迷う!」
「分かってますよ!」
「人を信用し過ぎるといつか痛い目を見ることになるぞ! 甘えは捨てろ! 誓ったら最後までやりぬけ! 中途半端は周りも傷つける!」
「だから分かってますって!」
全部わかっている。
自分が甘すぎることも。
そんな自分の決断を正当化するために怒ってくれていることも。
アランさんは絶対に裏切らないことも。
結論は出ている。花音と自分どちらが大切か。花音を守るために自分の心は必要ない。必要なのは、力と絶対に曲げない誓い。それだけあれば十分だ。
でも、自分の中の本当の自分がどこかへ行ってしまいそうな、そんな感じがする。
司は剣を強く握りしめて、一歩一歩アランに近づいていく。
「そうだ。信念を貫け」
アランに近づくにつれて、司の目には涙が溢れてきていた。
「本当に、本当に優しいな。君は間違っていない。涙はこれで最後にしろよ」
「さようなら。アランさん」
「ああ、さようならだな。大事な人を守りたいなら甘さは捨てろ」
司が剣を横に払い、アランの頭は宙をまう。
そして、司は自分の首を跳ね飛ばした。
本当に殺していいのか? 自分の命の恩人を? 今まで自分を思っていてくれた人を殺すのか? なら、許すのか? 花音が傷つくことを容認した人を? 敵を許すのか? 本当にそれでいいのか?
許すとしたら、今まで殺した人はどうなる? 花音を傷つける者は全て敵だと自分に言い聞かせた。それなのに許していいのか? もし許したら、第二第三の人を許してしまうかもしれない。その人が花音を傷つけたりしたら、正気ではいられない。
自分の誓いを貫くのか、例外を容認すのか、司にとって究極の二択が突きつけられていた。
花音がいてアドバイスでもしてくれればもっと楽だろう。今さっき出した指示を司は後悔するのだった。
「まだ、迷っているんだな。君は本当に優しい人だ。でも、東条さんを守るためには優しさは必要にない。そうやって自分に言い聞かせてきたんだろうな。非道に、残虐になるためのものがあの仮面なんだろう?」
「アランさんには全部バレバレですね」
「決断が辛いなら、仮面を取りに行っても構わん。君が戻ってくるまでここで待つと誓おう」
「いえ、その必要はありません。これは藤井司が決めることですから」
そう言ってから数分間、二人の間には静寂が流れる。
「決めました」
そう言って司はアランの目を真っ直ぐに見る。
「そうか。ありがとう」
その目を見て、アランは何かを悟ったように呟く。
真紅に光り始める剣は小刻みに震えている。
「まだ、迷っているのか? 君は優しすぎる。いや、甘い! そんなんで大事な人を守れるものか! 俺が裏切るなんて微塵も思っていない。だから迷う!」
「分かってますよ!」
「人を信用し過ぎるといつか痛い目を見ることになるぞ! 甘えは捨てろ! 誓ったら最後までやりぬけ! 中途半端は周りも傷つける!」
「だから分かってますって!」
全部わかっている。
自分が甘すぎることも。
そんな自分の決断を正当化するために怒ってくれていることも。
アランさんは絶対に裏切らないことも。
結論は出ている。花音と自分どちらが大切か。花音を守るために自分の心は必要ない。必要なのは、力と絶対に曲げない誓い。それだけあれば十分だ。
でも、自分の中の本当の自分がどこかへ行ってしまいそうな、そんな感じがする。
司は剣を強く握りしめて、一歩一歩アランに近づいていく。
「そうだ。信念を貫け」
アランに近づくにつれて、司の目には涙が溢れてきていた。
「本当に、本当に優しいな。君は間違っていない。涙はこれで最後にしろよ」
「さようなら。アランさん」
「ああ、さようならだな。大事な人を守りたいなら甘さは捨てろ」
司が剣を横に払い、アランの頭は宙をまう。
そして、司は自分の首を跳ね飛ばした。
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