死ねば死ぬほど最強に?〜それは死ねってことですか?〜
第5話〜実戦訓練〜
異世界に来てから三週間ほどが過ぎ、実戦訓練として魔物討伐が行われることになった。
「我が国、インテグラル王国の周辺の森に行き、魔物の討伐をします。魔物は魔王の息のかかった化け物です。知性はなく、人を見つけると襲いかかります。一匹でも多く減らすことが、この国を救うことに繋がります」
この国の守護を任されているアイン騎士団の副団長、アンナが実戦訓練の説明を始める。実戦訓練が行われるのは初めてなので、クラスメイトも真剣な表情で話を聞いていた。
「実戦訓練といっても普段している訓練と大して変わりません。相手が魔物に変わるだけです。今まで訓練で身に着けた魔法や、能力を試すいい機会です。実戦訓練は明日の朝から行います。しっかり準備しておいてください。それでは、今日の訓練を行います」
いつも通り、自分の能力や魔法の訓練が開始される。司も努力はするが魔法は何も使えず、騎士団の人にも少し見放されていた。落ちこぼれというやつだ。
「おい! 俺らと訓練しようぜ!」
「うん。わかった」
司に森山達が近づいてくる。この時の森山達に害はない。俺達はいじめをやめて仲良くなったんだよ。と訓練場にいる花音にアピールするためだ。それで効果があるのかは疑わしいが、司が真実を言わないことで信憑性が増していた。
そして、訓練が終わる。地獄の時間の始まりだ。もう慣れた。痛いのもそんなに気にならないし、数時間すれば終わる。別にもう気にしてない。司はそう思っていた。そう思うしかなかった。そう思わなければ、心が正常でいられるはずがなかった。
日が変わり、実戦訓練当日になる。
「この門の先には街道が続きます。街道は整備されていて魔物は殆どいません。ですが油断はしないように」
期待と恐怖の混じった顔で、クラスメイトは門をくぐっていく。司も門をくぐる。目に入ったのは、これぞファンタジーと言わんばかりの綺麗な景色だった。国の周辺の塀は高く、周りを見たことはなかった。これなに美しい景色があるのか! 司は感激した。
「綺麗な景色に見とれるのはいいですが。気は抜かないでくださいね。いつ魔物が現れるか分かりませんから」
景色に見とれていたクラスメイト一同、アンナに注意を受ける。それもそのはず。前回の召喚で実戦訓練で死んだ人がいるらしい。国の近くの魔物は弱いとされている。なのに死んだのだ。油断とは人類の最大の弱点だと教わった。
森につくと、訓練で行った陣形通りになる。戦闘系の能力を有する者は前方で索敵。支援系の能力を有する者は後方でバックアップとなっていた。ステータス的にも使い物にならず、能力も不確かな司はさらに後ろをついていく形になっていた。もちろん花音は最前線に配置されていた。
「あれが魔物ですか?」
花音がアンナに聞きながら指をさす。指の先には、ファンタジーの王道と言える、ゴブリンらしき生物が数体いた。
「あれが魔物です。種族はゴブリンですね。単体では、平均でD-ぐらいのステータスですが、危機に瀕すると仲間を呼びます。集団になればステータス以上の危険があります。仲間を呼ばないうちに仕留めるのが重要です」
「「分かりました」」
指示を受けた前方のグループが魔物を取り囲んでいく。茂みに隠れ攻撃の指示を待つ。
「攻撃開始!」
アンナの合図で一斉に攻撃を開始する。
「ファイアボール!」
「スラッシュ!」
「サンダー!」
それぞれが習得した魔法を放つ。しかし、まだまだ弱く下級魔法と呼ばれるものだ。だがゴブリンには十分すぎる火力だった。ゴブリンは魔法に耐えられず、跡形もなく消滅していた。
「やった! やったぞ!」
「魔物を倒したぞ!」
「俺たちの勝ちだ!」
初めて魔物を倒したことに歓喜しているクラスメイト。しかし、歓喜の時間は一瞬で終わった。咆哮が木霊してきたのだ。聞いたこともないほど大きなな咆哮。咆哮の方を向くと、ゴブリンに似ているが、何か違う魔物がいた。
「あれはゴブリンロードです! この森にはいないはずなのに! ステータスはC-ぐらい。多くのゴブリンを従えて行動します。騎士団で食い止めますので、今のうちに逃げてください! ゴブリンロードの咆哮は戦闘開始の合図です」
正体を理解したアンナが大声で指示をする。ロードと言われるだけあり、ゴブリンなど非にならないぐらいの体格。クラスメイトは怯え、街道に走り出す。
騎士団の間をすり抜け、走り続けるゴブリンロードの標的。それは、逃げ遅れた司だった。
「我が国、インテグラル王国の周辺の森に行き、魔物の討伐をします。魔物は魔王の息のかかった化け物です。知性はなく、人を見つけると襲いかかります。一匹でも多く減らすことが、この国を救うことに繋がります」
この国の守護を任されているアイン騎士団の副団長、アンナが実戦訓練の説明を始める。実戦訓練が行われるのは初めてなので、クラスメイトも真剣な表情で話を聞いていた。
「実戦訓練といっても普段している訓練と大して変わりません。相手が魔物に変わるだけです。今まで訓練で身に着けた魔法や、能力を試すいい機会です。実戦訓練は明日の朝から行います。しっかり準備しておいてください。それでは、今日の訓練を行います」
いつも通り、自分の能力や魔法の訓練が開始される。司も努力はするが魔法は何も使えず、騎士団の人にも少し見放されていた。落ちこぼれというやつだ。
「おい! 俺らと訓練しようぜ!」
「うん。わかった」
司に森山達が近づいてくる。この時の森山達に害はない。俺達はいじめをやめて仲良くなったんだよ。と訓練場にいる花音にアピールするためだ。それで効果があるのかは疑わしいが、司が真実を言わないことで信憑性が増していた。
そして、訓練が終わる。地獄の時間の始まりだ。もう慣れた。痛いのもそんなに気にならないし、数時間すれば終わる。別にもう気にしてない。司はそう思っていた。そう思うしかなかった。そう思わなければ、心が正常でいられるはずがなかった。
日が変わり、実戦訓練当日になる。
「この門の先には街道が続きます。街道は整備されていて魔物は殆どいません。ですが油断はしないように」
期待と恐怖の混じった顔で、クラスメイトは門をくぐっていく。司も門をくぐる。目に入ったのは、これぞファンタジーと言わんばかりの綺麗な景色だった。国の周辺の塀は高く、周りを見たことはなかった。これなに美しい景色があるのか! 司は感激した。
「綺麗な景色に見とれるのはいいですが。気は抜かないでくださいね。いつ魔物が現れるか分かりませんから」
景色に見とれていたクラスメイト一同、アンナに注意を受ける。それもそのはず。前回の召喚で実戦訓練で死んだ人がいるらしい。国の近くの魔物は弱いとされている。なのに死んだのだ。油断とは人類の最大の弱点だと教わった。
森につくと、訓練で行った陣形通りになる。戦闘系の能力を有する者は前方で索敵。支援系の能力を有する者は後方でバックアップとなっていた。ステータス的にも使い物にならず、能力も不確かな司はさらに後ろをついていく形になっていた。もちろん花音は最前線に配置されていた。
「あれが魔物ですか?」
花音がアンナに聞きながら指をさす。指の先には、ファンタジーの王道と言える、ゴブリンらしき生物が数体いた。
「あれが魔物です。種族はゴブリンですね。単体では、平均でD-ぐらいのステータスですが、危機に瀕すると仲間を呼びます。集団になればステータス以上の危険があります。仲間を呼ばないうちに仕留めるのが重要です」
「「分かりました」」
指示を受けた前方のグループが魔物を取り囲んでいく。茂みに隠れ攻撃の指示を待つ。
「攻撃開始!」
アンナの合図で一斉に攻撃を開始する。
「ファイアボール!」
「スラッシュ!」
「サンダー!」
それぞれが習得した魔法を放つ。しかし、まだまだ弱く下級魔法と呼ばれるものだ。だがゴブリンには十分すぎる火力だった。ゴブリンは魔法に耐えられず、跡形もなく消滅していた。
「やった! やったぞ!」
「魔物を倒したぞ!」
「俺たちの勝ちだ!」
初めて魔物を倒したことに歓喜しているクラスメイト。しかし、歓喜の時間は一瞬で終わった。咆哮が木霊してきたのだ。聞いたこともないほど大きなな咆哮。咆哮の方を向くと、ゴブリンに似ているが、何か違う魔物がいた。
「あれはゴブリンロードです! この森にはいないはずなのに! ステータスはC-ぐらい。多くのゴブリンを従えて行動します。騎士団で食い止めますので、今のうちに逃げてください! ゴブリンロードの咆哮は戦闘開始の合図です」
正体を理解したアンナが大声で指示をする。ロードと言われるだけあり、ゴブリンなど非にならないぐらいの体格。クラスメイトは怯え、街道に走り出す。
騎士団の間をすり抜け、走り続けるゴブリンロードの標的。それは、逃げ遅れた司だった。
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