少年はそれでも戦い続ける

虹ウサギ

9.青年と魔女

ジンは夢を見ていた、長いようで短い夢、
そこは白い霧のたちこめる、何もない空間だ、だが居心地が良くて、何時間、何日だっていられるかもしれない。

時間の感覚が全くなく、この夢の世界をどれほど彷徨っただろう
ふと霧のはれている場所を見つけた。
白い世界に、ポツンと日の光がさし、ポッカリと穴の空いたような所、そこを目指してジンは歩き出した

霧のはれた場所に着くと、先程の霧が嘘のようにはれた。
ジンはまた歩き出した、ジンは何かを考えていたわけでは無く、ただただ歩き続ける
数分か数時間か全くわからない時間を歩いた時、遠くに人影がが立っているのが見えた、ジンは引き寄せられるように、その人影へと足を進める
なかなか距離が縮まらない、どうやらその人影は歩いているようだ、ジンは無性にその人影が気になり、足を早める、少し近づいたかなと思ったら、人影が追いつかれたくないような感じで足を早め、また距離が離される。

ジンは意地になり更に足を早める、すると人影は更に更に足を早める、どこか経験のあるようなやりとりを繰り返していると、ふと人影が立ち止まった、ジンもつい立ち止まる
人影との距離は100メートル くらいだ、
人影が振り返る

その顔は見知った顔、心から愛しているキスミだった、ジンは嬉しくなり駆け寄ろうとするが、足が前に進まない、自分の意思とは相反して、全く進まない、いや進めない

キスミは遠くから何かを話しているようで、口を動かしていた
遠すぎて聞こえないのか、それともこの世界では声が出ないのかわからない。
キスミは声が聞こえてないのを理解したようで、話すのをやめ、また前を向き歩き始めた。

ジンは追いかけようとするが、何かに引っ張られいるような、感覚に襲われキスミとの距離がどんどん空く、キスミがそれに気付いたようで、再び振り返り3回ほど口を動かした
声は聞こえなかったが、ジンには

「生きて」

そう言われたような気がした、ジンはさらに引っ張られ、キスミが遠くに離れていき、再び意識を失った




虹兎 一様これで第二章の一部は終わりです。次回からはルキも登場し本格的に、第二章開幕です。
続きはまた今度か、フォローかイイね増えたら書きます。

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