少年はそれでも戦い続ける

虹ウサギ

7.青年と魔女

「へへ……ドジ…し…ちゃったぁ…」

肩で深く息をしながら苦しそうにキスミが話し出す

「さい…しょの…さんに…んはたお……したんだよ……でもあとか…ら…きた人がつよ…すぎて……」

今にも消えてしまいそうな声で、必死に話すキスミを見てると胸が締め付けられる
ジン自身には感情などという、不安定なものは存在しない
なのに、、、、

「ごめん…ねもっとい…しょにいら…れなく…て…」

「キスミ、」

「なあ…に?」

優しく微笑みこちらを向く彼女に何を伝えれば良いのだろう、悲しみ?怒り?わからない、どうしたら良いのだろう、人間はこんな時どんな感情を持つのだろう。
わからない、わからない、わからない、
ほんとに分からない事が多すぎる
もっとキスミに教えてもられる筈だった感情
もっとキスミから受ける筈だった感情
もっとキスミと出会いたかった感情

そのどれもがもう出会えなくなる
そう考えてしまうと、口が勝手に動いた  

「好きだ」

何故この言葉が出たのか自分でも不思議だった、今まで気恥ずかしくて伝えられなかった感情、今言わねば必ず後悔すると思い口に出した

少し驚いたような表情をキスミが浮かべ
少しの静寂が流れた

「………私もよ」

予想通りと言うか、やっぱりというか想像した通りの返答が返ってきた

2人は目を合わせ子供のような笑いを挙げた

「はははは」

「ふふふふ…ずっ…としっ…てたよ」

「俺もだよ」

「じ…んはわかり…やす…すぎ」

「お前だってわかりやすすぎ」

「はははは」

「ふふふ…ふふ……………」

「ははははは」

「……………」

「はは、は、は、は、ぅぅぁ」

キスミは目を閉じもう2度と笑わない
ジン1人で笑いつづけやがて、声を押し殺して嗚咽まじりで泣く、目から液体がこぼれ落ちる、目に異物が入った時のみ使用される筈の液体が、今溢れ落ちる
人造人間なのに泣く
感情が無いのに泣く
存在意義を全く感じ無かった感情で泣く
今まで周りの人造人間が何体破壊されようとも、1度も感じた事のない感情だ。
この感情をくれたのは紛れも無くキスミだ
キスミがジンを人間にした

心なき兵器、ただ戦う事しか知らなかった人造人間はもういない
沢山の感情をくれた少女ももういない

「うぅぅぁぁああああ!!!!」

悲しみという感情はやがて怒りへと変わる
泣き声から一変して大声で雄叫びをあげる

「ーモウイイカ?」

キスミを殺した人造人間がジンに聞いてくる

「あぁ、もう十分だ、お前を殺す」

キスミをそっと地面に寝かせ、銃に弾を装填し人造人間を、睨みつけながら立ち上がる

キスミ少し待っててくれな、すぐ終わらせるから、アイツを殺したら2人で小屋に戻ろうな

ジンはキスミを見つめ優しく微笑む、いつでも戦闘は始められるようにして、人造人間に1つの疑問を尋ねる

「どうして待っててくれたんだ?」

「ー理由ハ2ツアル、1ツハダメージノ修復ニ思ッタヨリカカッタ事、アト1ツハ 
女ガ死ヌノヲ待ッタ方ガ、面白ソウダッタカラ」

その言葉を言う人造人間は不敵な笑みを浮かべる
どうやらこの人造人間も感情を、取得しだしたようだ

「あぁ、楽しませて殺してやるよ」

「ーオモシロイ!俺ハNo. 09.シングルナンバーダ!デリートシテヤル!」

シングルナンバーとは人造人間の中で最高傑作の物に与えられるナンバーだ、ジンにとってはかなり格上の相手だが
何故だろう、全く負ける気がしない、何としてもコイツをぶっ殺してやりてぇ
ジンは2丁の拳銃を握りしめ、ゆっくりと視点をNo.09に向ける




虹兎 皆さんお久しぶりです!流石に昔読んでてくれた方はいないかも!
何故こんなに更新遅れてたかと言うと、ハッキリ言うとモチベの、問題です!
第一回マンガ大賞に応募したんですが、全くダメでそこからモチベガン下がり!
そこから書いてなかったってわけ!
書いてた頃は学生今はもう社畜やってます!最近仕事が暇気味で時間が出来たので少しずつ書いていきますね!
フォローイイねコメント待ってます!
イラストなんかも送ってほしいなー


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