少年はそれでも戦い続ける

虹ウサギ

33.0彼とごみ掃除

 しばらく雑談したあとみんなで町に買い物に出掛けることにした
 普段は子供たちはお留守番だが今日は人が多いいため一緒にいくことになった
 まあ、サキたちが子供らと仲良くなって連れていくとごねた為だが
 
「わぁー!」
「町だ!ひろ~い」
「まってよー」
「えーん足疲れたー!」

 あーも子供が多すぎて大忙しだ、言うことは聞かないし、ジックの顔が怖いと泣き出すし、ミールは困っている俺の顔を見てニヤニヤしているしもう疲れた
 クルミも子供らの相手をしてくれているが、とても手が足りない、どうしたものかと考えていたら
 後ろの方で見ていたマールが子供たちの肩に優しく手をおき

「…大人しくしないと…晩御飯抜きよ」

 静かにマールは微笑みながらいうと子供たちは一斉に黙った、母親は強しとはよくいったものだ、たった一言で子供らを静かにさせる技量には感服だな
 それにくわえてノラスケときたら子供らと一緒にはしゃいでいて今マールに怒られている
 貴方はお兄さん何だからしっかりしなさい、そんな風な話をしていた、ノラスケは怒られているというのにどこか嬉しそうにマールを見つめていた

 そのあと皆で日用品やノラスケの自腹で新しい服に、砂糖たっぷりの揚げ菓子等を買って中央通りを歩いていた
 どの子もみんな口の周りに砂糖をつけてマールとクルミが拭いて回っていた
 ちゃっかりノラスケも口の周りに砂糖を付けて拭いてもらうべく順番を待っていたので
 俺の肩にいたシャドーを掴んでシャドーでゴシゴシと少々強めに拭いて頭を殴っておいた

「兄貴~ひどいじゃないっすか」

 怠けたことをいっていたのでもう一発殴っておく
 その光景を見て子供たちもラバートたちも笑っていた
 何だかこういうのもたまにはいいな

 そんな呑気なことを思っていると道の奥でラッパが鳴った、すると周りにいた人たちが硬い石畳に正座をして頭を地面に着けた
 何事かと思っていたら、マールがこの国の領主様だと教えてくれた
 いちよう俺たちもマールたちに習い土下座しておくカランを硬い石畳に正座させる訳にもいかないので俺が抱き抱えておく
 
ガラガラ

 白い馬にひかれて金色に型どられた高そうな馬車がやって来た
 領主は民衆を値踏みでもするかのようにニヤニヤしがら窓から覗いていた
 すると突然馬車を止め馬車から降りてきた、俺たちの数人隣に座っていた若い夫婦の前に立った

「グフフお主かわいい~の、ワシの妻にしてやろう、喜べ」

 はぁ?何いってんだこいつ、自分の顔見て言えよ、
 領主の見た目は醜く太り、顔も鼻は大きく唇が分厚い、その上肌は油でベトベトだった

「領主様!ご勘弁下さい!私と妻は先月式を挙げたばかりでございます」

「なにを?ワシに逆らうのか?」

「いえそんなことは…ぐわ……うっ…」

 女性の夫とおもしき人物が領主に言葉を発したとたん男性は喉を押さえて苦しみだした

「そんな!あなた、あなた…」

「いいからワシと来るのじゃ、兵よこの娘を我が城へ」

「ハッ!」

 女性は領主の周りにいた鎧姿の兵士に両腕を捕まれて連れていかれた
 男性は尚も首を押さえてのたうち回っていたしばらくしたら動かなくなってしまった
 マールたちを横目に見るとただただ両手を握りしめ祈り続けていた
 するとマールに抱かれていた一番幼い0歳の男の子が泣き出してしまった

「おぎゃーおぎゃー」

「誰だ!ワシの前で雑音を撒き散らすのは!?」

 領主は青筋をたてて周りに怒鳴った、空気が凍る、マールが必死にあやしていた
 
「お主か」

 遂に領主に気付かれて目の前までやって来た、俺は静かに刀に手を当てるがそれをミールとジックが止める
 ここで騒ぎを起こすわけにはいかないと目で訴えかける
 ノラスケも俺に迷惑を掛けるわけにはいかないと唇を噛み締める

「その赤子を出せ、叩き切ってやる」

「領主様!お許しぐたさい!」

「ならん!いやまてよお主もなかなか可愛いの、お主もワシの妻になれ」

「領主様娘だけはどうか、どうかご勘弁を」

 ラバートが立ち上がり、領主の前に立ちはだかる

「誰が立っていいといった!」

 領主は腰にさしていた宝石の散りばめられた黄金の剣を抜きラバートを切り着けた
 とっさにミールがラバートの裾を下から引っ張り後ろに体重を崩して上半身と下半身が離ればなれになることは無かったが、浅くはない傷をラバートは負った

「じっちゃん!」「せんせー!」「院長!」

 子供たちがラバートの周りに集まる

「わらわらとワシは立っていいと許可しとらんぞ!」

 今度は子供たちを切ろうと剣を振り上げた
俺が動くより早くにノラスケが右ストレートを領主にかまし領主を道の真ん中までぶっ飛ばす
 ノラスケは手についたいかにも不健康そうな赤黒い血を拭いながら俺に頭を下げた

「すいません兄貴、家族が傷つけられるのが我慢なりませんでした」

「いや良くやった、誉めてやる」

「もう誉めてやるじゃ、ないでしょどうするのよこの状況」

 辺りを領主の近くにいた兵士たちが取り囲んだ
 数は二十人はいるであろう、領主は何が起きたかわからずに目をぱちくりさせていたが 状況が飲み込めたのか、再び額に青筋を浮かばせる

「おのれぇ!貴様ー今ワシに何をしたかわかっておるのか!?」

「あぁ、分かっているごみ掃除しただけだ」

「なっ!許さんぞ、絶対に許さん打ち首じゃ、その者共を殺せ!」

 俺たちは即座に戦闘配置に着き向かってくる兵どもを片っ端から倒していった
 ミールには後ろにいるラバートたちを守ってもらった
 ノラスケはラバートを斬られたことによる怒りから物凄い勢いで敵を切り裂いていく

「領主様、敵は手練れのようで」

「見ればわかるわい!こうなったら【呪いの制約カーストゥレント】」

 領主が何やら呪文を唱えるとマールと子供たちが先ほどの男性と同じく喉を抑えて苦しみだした

「ノラスケ、様子が変だ!ノラスケ!?」

 ノラスケも喉を抑えて息が荒くなっていた
明らかに体調に異常をきらしていた
 俺は即座にけつだんをした

「ミール、ジック、シャドー一回引くぞ!」

「オッケー」
「御意ですじゃ」
「了解です」

 ジックが思い切り地面を殴るつけると土煙が上がった
 俺たちはその土煙に身を隠して孤児院まで走った
 

「ノラスケ大丈夫か?一体何があった?」

「これは…アイツの能力で…【呪いの制約カーストゥレント】と呼ばれる…力でこの魔法を…かけられた者は術者の任意によって…呪いが発動する魔法で…す」

「どのくらいもつ」

「持って…数分…です、この魔…法は血の流れを変化…させる」

「くっ、ジック!どうにかならんか」

「私の魔法で少しなら持つわ、でも持って三十分てとこね」

「わかった、クルミ」

「はい!」

「お前はジックを手伝ってやれ」

「わかりました!」

「ジックは三十分持たせろ、俺とミールで奴を殺してくる、ノラスケは休んでろ足手まといだ」

「いえい…くっすよ」

「何が出来る」

「俺の魔法は鉄操作マナピレィ・アイアン血に…は鉄分が含まれて…いるからある程度は抵…抗出来るっす」

 ノラスケは必死に目で訴えかけてくる、家族を救いたい一心に胸を打たれ許可してしまった
 これで役割は決まった、クルミとジックで治療し俺とミール、ノラスケの三人であの領主を討つ

「お兄さん私たちは?」

 俺の両肩首に担いでいた三人が聞いてくる

「お前らはこの子らを守ってやれ」

「うん!わかった」
「ルキにいきおつけてね」
「にーしゃんがんば」

 特大のエールを貰い俺たち三人は来た道を引き返した



一方中央通り
「早く奴等を捕まえろー!」

「ですが我々の力量で果たして捕まえられるかどうか」

「出来んと申すのか!?」
 
「いえ!そんなことは!」

 くっ、確かにワシの持つ兵では奴等を捕まえられるほどの実力者はおらん
 どうしたものか

「領主様!」

「えぇーいなんだ!」

「第四部隊のサクラ殿が到着なされました」

「なんじゃと!グフフいい案を思い付いたわい」








「ぜぇぜぇ小隊長速すぎますよ」

「ねぇなんかあそこに居そう」

 サクラは反乱分子の抹殺のため帝都からやってきていた
 サクラにはなんとなく何をどうしたらいいか、いつそれを行えばいいかを直感で感じとる力があった

「ハイハイ、今調べますよ探索魔法サーチ…あそこで間違えないそうです」

「よし行こうか」

 七人の部隊がミトラスに入ってきた





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