銀色の雨

邪神

第2話 感情無き私に歌をⅡ

    「どうして笑うの?」

私がそう聞くと、誰もが私を不思議がり、離れていく。

ただ聞いただけなのに、みんなの嫌われ者。

でも、私は嫌われ者だから嫌われるのが普通。

ただ、

それだけ。


    エーレはカトレアは黙ってどこかに行く。そう思っていた。それが当然だった。

しかし、カトレアは違った。

「それは...笑うと幸せになるからだよ!」

幸せ...か。

やっぱり私には人が分からない。

「幸せって何?」

「幸せは、みんなでご飯を食べたりお話したりして、楽しいと思った時が幸せなんじゃないかな!」

...楽しい

    エーレに分からないことを次々に言われても自分から聞いてなんだが困る。

あまりカトレアに聞いてばかりなのも色々気が引けるので、エーレはカトレアに単刀直入に質問をした。

    「私には人が分からないの」

「なら、これから私が教えてあげるよ、人を!」

「あっ!もうこんな時間!!初日から遅刻はまずいよ!早く行こ!!」

そう言うと、カトレアは素早くエーレの手を握り、人混みの中に入っていった。



    「ふぅ...ギリギリ間に合ったね!」

カトレアは冷や汗を書きながらそう言った。

入学式が終わり、事前に手紙で知らさせたクラスに足を運んだ。

    「じゃあ、またね!クラスが違っても友だちだよって...」

エーレとカトレアの足が同時に止まった。

「...エーレちゃんもしかして、一年H組?」

「うん」

その一言でカトレアはじわじわと笑顔がこみ上げ、「やったァ!一緒のクラスだね!!」と可愛らしい笑顔で言葉を放った。

    それとは反対にエーレは無表情だ。

二人で教室に入ると七つの席があり、既にそのうちの五席に人が座っていた。

どうやらエーレ達が最後に教室に入ったようだ。

    ...それにしても、

「我が宿命はそこにあり!ライジング・スピアー!」
「...」バタッ「...また爆死した」
「私は最強ラブラブ魔法少女の(名前)ちゃんだよ!私の可愛さに勝てない敵は...なーい!ふふふ...ふはははは!」
「テメェらコラァ!俺みたいにもっと気合いいれろやぁーーー!!!」
「...今私(わたくし)を見て小学生と思ったでしょ!極刑にしてやりますわ!!」

みんなキャラが濃すぎるだろw

    バン!

「おっはょ〜ってうっひょー!?可愛い子がいっぱいいるぞぉ!ぐへへへへへへ♪」

教室のドアが勢いよく開かれ、白衣を着た二十代後半くらいの女性がキャバクラにきた中年オヤジのようなセリフをはき、教室のざわめきは一瞬にして消えた。

    「コホンコホン、えー私はアリア・ドラーク、気安くアリアちゃんって呼んでね!」

「「...はい、先生」」

「と、とりあえずみんな自己紹介でもしようか!えーと、じゃあそこの金髪美少女ちゃんから!」

せんせ...アリアちゃんがそう言うと、少しムッとした顔で大きな胸を揺らしながら立ち上がった。

    「なんですか金髪美少女ちゃんって...コホン、私はクローディア・セラトレアだ!趣味は新しい技を考えることだ。挨拶がわりに少し見せてやろう...」

そういいクローディアはスーッと深呼吸をして、ぱっとアリアちゃんの方に向き...

「我に選び抜かれし最強の技よ、今こそ真の力を敵に叩きつけろ!スパイク・バーサーク!!」

そう叫び、クローディアはアリアちゃんの顔面にドロップキックをかました。

「見たか!二度と金髪美少女などと呼ぶな、この変態め!」

「うぅ、痛い...えーとじゃあ、そこの紫ツインテールの子猫ちゃんね!」

    そう言われ、無表情で立ち上がるが、クローディアのように胸が揺れないのでムッとした顔つきになった。

「...エナ・クローン、ゲームで爆死したらたまに八つ当たりするけど、よろしく。」


    ...このクラスでエーレ達はやっていけるのか...?

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