待ってろ貴族共!いつか俺はお前らを超えてやる!

きちそと君

ゼロからイチに

ふぁあぁぁ
間抜けな欠伸をしてPCのマウスを手にしようとして気づく、本当のことかと思って下半身で勢いを付けて起き上がる。起きた時、空が見えてる時点で分かってはいたが確かめたかった。「ぅうっよっと」                                          
顔を上げるとそれは綺麗な眺めだった。
森の隙間から見える街は朝日を浴び、家一軒一軒の扉がだんだん開いていく。足元の枯葉とその下の草は朝露に湿り自分のスニーカーを濡らしていた。朝日はまだモヤがかかる空気を明るく照らし、次第に鳥も空を飛び始める。
「うわぁ・・・」
思わず感嘆の声が漏れた。昨日わけも分からず走ってきた森は美しく、昨日邪魔だと思った小川は太陽の光を反射させながらせんせんと流れていた。
途端に踏みつけていた草に罪悪感が湧いた。何もわからないのに涙が出た。そして生きようと思った。


その時気づいた。後ろに半壊している掘っ建て小屋がある事に、その時不思議に自分を待っていたかのように感じた。
「おじゃましまーって、誰もいないか」
ひとりごとを呟きながら小屋に入る。
中は不思議と綺麗で、食卓の上に古びたノートがある。
「ヤバいやつじゃ無さそうだしイイよな」






このノートを見ている親切な方へ
こんにちは、私の家にようこそ。
と、いってももうその時に私はいないのだけれど。
心配しないで、魔女なんかじゃないわ、人をとって食おうなんて思ってもいない。
別に強制という訳では無いの、でも少しでもいいからあなたが居場所を求めてるなら、どうかこの家に住んでくれないかしら?ボロボロかもしれないけど人間には手と脳みそがあるんですもの、修理して住んで欲しいの。
そうすれば、きっとあなたの居場所が分かるはず。






なんだかヤバいもんを見ちゃった気がするな~
なんて思いつつも改めて部屋を見渡す。
確かに住め、そう?
いやいや違う違う!俺はまずリーストムーアに戻って…
戻って何がある?何も出来ないじゃないか!
居場所もないし魔法も使えやしない。
だったら分かった!住んでやろう!
そんで大豪邸になってケチ姫共を屈服させてやらァ!




そこから俺の方向性はあらかた決まった。
もう1回街に行って中古の道具を買おう!その為のバイトだ!!日雇いでレストランの玉ねぎに似たものの皮を剥ぐ作業を黙々とやり続けた。それを何日か続けてついに!
さぁ俺を大豪邸にさせるための下準備だあああああ!!
ヘラヘラ笑いながら中古の店で凶器ともなり得る道具を選ぶ俺はさぞかし気持ち悪く思ったのだろうか?店主が出てきて全部値段を下げてくれた。
「良かったな兄ちゃん!さぁ帰れ!帰れ!」
店の風評被害を気にしてだろうか、帰れ帰れに怒りがこもってるのを俺は知っている。
ある程度の道具を買いさらってルンルン気分で帰ろうとしたその時、
「万引きだーーー!!!!!!」
その声が聞こえたと同時にドンッと少女が俺にぶつかると
俺と少女が石畳にバッタンキュー
俺の大富豪への道シリーズの道具も一緒にウルトラマンシリーズの建物ばりにすっ飛ぶわ散乱するわで酷い状態に、少女がすぐに立ち上がるも大富豪への道シ((ryに突っかかりまたも転倒、流石に吹いた
「大丈夫?立てる?」
道の通行人が声を掛けてくる。てっきり女の子に言ってるのかと思ってヘラヘラしてたら、
「君だよ君だよ!」
へ?俺ですか?なんで?女の子は?
なんて考えてたら女の子ダッシュで逃走
不思議に思って立ち上がってから膝を軽くはたいてから
「あのーさっきの女の子は?」
「あいつはここら辺の人間からは嫌われてんのさ」
「どうし「野暮な事聞くな!ここ周辺じゃ名前を出すだけでも店は戸締りを始めて家は鍵をかけるんだよ」
「どうしてなんですか?」
「はぁ、お前さん何もわかっちゃいないな」
なにか諦めたかのように通行人は言う
「いいか、1度だけ言ってやる」
ゴクリと唾を飲む
「あいつは・・・妖精なんだ」

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