不器用プラトニックラブ

風吹雪華

35話 希望

穢星先生は、泣きながら語っていた。

それを見た私も、貰い泣きした。

「その、希望ちゃんは、今…」

「あぁ、僕と2人暮らしをしているんだ。」

「そうなんですか。」

すると、扉の向こうから、小さな足音が聴こえた。

「あぁ、希望。
  良い子にしてたか〜?
  この子が希望だ。
  10歳で、4年生だよ。」

「え…」

「驚いただろ。
  希望は、声が出ないんだ。」

「そうなんですか…。
   …口の動きだけで分かるんですか?」

「まぁ、10年も一緒にいるなら、尚更。」

「ん?
  どうしたの?」

「何でお姉ちゃんは、悲しそうなの?」

「…何でだろうね。」

「こら希望、お姉ちゃんを困らせちゃ駄目だろ?」

「大丈夫ですよ、先生。」

希望ちゃんを見ると、結生を思い出してしまう。

あの頃の、大好きな結生を…

「もうこんな時間だ。
  遅いから、気をつけて帰ってね。」

「はい…」



琴嶺家-

「ただいま。」

「お帰りなさい。
  こんな時間に帰って来るなら、メールでもしてよ?」

「うん…」

「…結生君は、どうだった?」

「うん、いつも通りだよ…」

「そっか…早く意識が戻ると良いね。」

「…」



自室-

希望ちゃんを見て、私は確信した。

結生と重ね合わせて、病気だからしょうがないって思い込んで逃げてた。

でも…

希望ちゃんも助けたい。

私は、ある大学に行って、あの人に聞き込みをすることにした。

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