不器用プラトニックラブ

風吹雪華

11話 想い人

夏休みに入ってからも、結生は部活に来ることはなかった。

もうすぐ大会の練習が始まるのに、何やってるんだろ?

「永先輩」

「逢恋ちゃん?
  どうしたの?」

「結生先輩の幼馴染みなんですよね?
  1回、家を訪ねてみたことはありますか?」

「うん、あるけど、出て来てくれなくて…」

「そうですか。
  では、週に1回で行きましょうか。」

「…?」



「皆さん、集まって頂き、有難うございます。
  説明した通り、この計画で行きたいと思います。
  今週は、溯玻先輩、莉世先輩でいきましょう。
  決して遊びに行くのではありませんので、有意義な情報を確保して下さい。」

「相変わらず硬いなー。」

「まぁまぁ。
  それじゃあ、行ってくるよ。」



「溯先輩、緊張してるんすか?」

「い、いや!
  そんなことないよ!?」

「…。
 (めっちゃガッチガチじゃん)
  じゃあ、押しますよー。」

「えっ!?
  もう!?」

「あ、おばさん!
  久し振りっす!」

「こんにちは!」

「まぁ2人共、いらっしゃい!
  上がってちょうだい。」

「(ホントにこんな作戦で大丈夫なのか…?)」



「この夏休みの間、結生先輩がサボるなんておかしいと思いませんか?」

「「「「「「確かに…」」」」」」

「なので、計画を立てましょう。
  今週は溯玻先輩、莉世先輩。
  来週は私、梓舞先輩、穂架先輩。
  再来週は永先輩、琉煌先輩というグループ分けでいきたいと思います。
  流石に全員で行きましたら、怪しまれる可能性が十分高いと思いましたので。
  それでは、タイミングを見計らって、結生先輩のお母様にさり気なく聞いてみて下さい。
  息子のことが心配なので、口が軽くなるかと思われます。
  部屋に入れることになりましたら、結生先輩に必ずこの言葉を言って下さい。」



「おばさん、結生のことだけど、最近部活に来てないんだ。
  何があったか知ってる?」

「結生は弱音を吐かない子だから、何も言ってくれないの。
  親として情けないわ…。」

「じゃあ、部屋に、行ってもいいっすか?」

「…返事してくれるか分からないわよ。
 それでもいい?」



「結生ー、お友達が来てるわよー。」

「結生ー、起きてるかー。
  莉世だけどー。
  溯先輩も来てるぜー。」

「結生君ー、御見舞に来たよー。」

「開けてくれよー。
  俺、久し振りに顔見たいんだけど。」

「流石の輝陽君でも無理みたいね…。
  また改めて来てちょうだい。
  今日はありがとね。」



「満晴ー!
  ダメだった…。」

「やっぱり最初はそうですよね…。
  心を開いてくれたらいいんですけど…。」



結生は誰に打ち明けてくれるのだろうか。

やっぱり、部活でも一緒にいる逢恋ちゃんかな…。

私には、話してくれないよね…。

だって、あれから気まずくなったんだから…。

私は今日、ずっと結生のことを想って考えてた。

何時だって、何時だって…

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