東方龍人譚 ~龍神を統べる少年~

ko-suke

1話 不幸ノ幻想入リ

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どこにでもありそうな歩道を、1人の高校生が歩いていた。彼の名は「郷戸」(ごうと)。皆からは、ゴードと呼ばれていた。至って普通の、男子高校生、なのだが・・・。

「暇だなー、なんか無いもんかね。」

そんな呑気なことを言いながら、歩いていると。

「なんだこれ・・・落とし穴?」

彼の足元に、落とし穴らしきものがあった。覗いて見たが、とてもくらい。どれだけ深いかは、分かりかねるものがあった。が、

「下手くそかよ・・・バレバレじゃねぇか。」

その落とし穴には、なんの工夫もされてなく、ただ掘ってあるだけのようだった。

「こんなの、飛び越えてやるぜ!」

ぴょん、と軽々と飛び越えた。と、思われたのだが。
伸びた。落とし穴が伸びた。うにょーんと伸びた。ゴードの着地地点まで伸びた。

「そんなのありかよー!?」

暗闇の中に落ちながら、そんなことをさけぶゴードであった。
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「イタタタタ・・・いや、痛くない?」

確かに地面のようなものにぶつかったはずなのだが、不思議と痛みはなかった。

「・・・ここどこだ?」

周りを見ると、目のようなものがたくさんある部屋にいた。いや、空間というべきだろうか。ゴードはこの空間を、恐ろしさや怖さは感じなかった。心地いいとさえ感じた。すると、誰かがこっちに来た。

「ようこそ、適合者さん。私は八雲紫。貴方は?」

「・・・俺は、郷戸。ゴードって呼ばれてる。そう呼んでもらって構わない。てか、適合者?」

八雲紫と名乗る人物は確かに適合者といった。ゴードには、その意味がわからなかった。

「まぁ、後で説明するわ。それより、これを食べて?」

なにかを渡された。

「・・・飴玉?すごい不気味な色してるけど・・・。」

それは飴玉のようだった。が、赤、黄色、青、緑が合わさったような、一言でいうと、グロい色をしていた。

「食べて」

「嫌ですよ。こんな不気味なの。」

「食べて」

「・・・」

「食べろ」

「はいわかりましたわかりましたからそんな睨まないでください。」

すごい勢いで睨まれ、仕方なくそれを口に運んだ。
なんの味もしなかった。

「なんだこれ・・・なんの味もし・・・!?」

突然、飴玉がぴくっと動いたかと思うと、いきなり喉の奥まで移動した。

「ぐがっ!がごっ!?」

そのまま肺にはいってくる。

「げ・・・がは・・・」

飴は溶け、毛細血管にはいり、心臓にたどり着いた。そして。

「がああぁぁ!?」

心に侵食した。

「な・・・何が起きたんだ・・・!?」

さっきまで苦しかったのに、今は全然苦しくなかった。

「おめでとう、貴方に能力が宿ったわ。」

「能力・・・?」

「貴方の能力は」

「龍を統べる程度の能力よ。」

「龍を統べる・・・!?ちょっと待ってくださいよ!何を言ってるんですか!?」

「そのまんまよ。さっき食べたのは、龍飴。幻想郷に突然、龍が現れてね。その龍を飴玉にしたってこと。でもその処分に困ってねぇ。」

「はぁ。」

「それで、貴方に押し付k・・・与えたってわけ。」

「今、押し付けたって言いかけましたよね!?」

「イッテナイワ」

「片言ォーーーー!!」

「まぁ、これで貴方も立派な能力者よ。貴方を幻想郷に招待するわ」

「流された!?てか、幻想郷って!?」

「じゃ、それでは」

「ようこそ、幻想郷へ」

「またこれかよぉー!」

さっきと同じ、落とし穴のようなもので幻想入りをした、不幸な少年なのであった。
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