トラックに轢かれた、トラックになった。

からつき

真実


「では、トラックとして頑張りたまえ!!」






近代の勇者を転生したあと、少しだけ休憩した。神族以外を別世界に送るのは慣れていないと無駄に体力を使ってしまう。

「お疲れ様です、トラックの神。」

「ああ、君か…」

あいつは俺の本業の補佐をしてくれている神の僕だ、優秀なやつで、最近本業はあいつにまかせっきりな気がする。申し訳なくは思っているが、本業がつまらなすぎるので仕方がない。

「こちら、第314世界のトラックのデータでございます。確認を。」

「べつにいーよ…君の方が優秀だし…一応上司と部下の関係だけどさ、そろそろ世代交代でもいい気がするんだよね~」

「・・・・・」

「?どしたの?」

「いえ、初めてあなた様の副業を拝見いたしましたが、随分といつもと違うな……と、思いまして。」

「ああ、あれ?キャラ作りだよ、キャラ作り。」

「・・・」

いつもは人間のすがただが、(事務作業が楽なので)副業をするときはトラックのすがたで、おじいちゃんっぽくしゃべっている。そっちの方が神様っぽくない?

「トラックの神、ここ5年ほど前から副業をなさっていると聞きましたが、いつもこんなことを?」

「そういえば君には俺の副業のこと説明してなかったよね……聞きたい?」

「まあ、業務をサボってまで何をなさっているのかは、気になるところでしたが。」

嫌味っぽいやつだな…まあいいか。

「じゃあ教えてあげよう、俺の副業はな、世界のバランス調整なんだよ。」

「……それ、トラックの管理よりもかなり重要に思えるんですが。」

「いやいや、所詮数ある世界のひとつふたつの調整だけだから、大したことじゃないよ。」

「……そうですか、では、具体的にはどのようなことをなさっているのですか?」

「ええとね、世界の中で極端に強すぎる個体がでたり、本来その世界にはあってはいけない力を持った個体が現れたりしたときに、その個体を消滅させたり、封印したりするんだ。」

「なるほど、それで異世界から勇者を呼び、その個体と戦わせる……我々は神法によって地上への干渉は基本的には禁止されていますからね。」

さすが優秀なやつだ、こちらが全て説明しなくても理解してくれるのはありがたい。

「しかし、それならばわざわざトラックにしなくても、普通に人間として転生させればよいのでは?」

「対象消滅の報酬に人間にしてあげれば、それを目指して頑張るでしょ?それに…」

「それに?」

「そっちの方が面白いじゃん。」

「・・・・・・・」

おお、視線が痛い。心底見下されてるな、これは。

スッ

あ、戻った

「しかしトラックの神、そもそももっと勇者に力を与えれば、もっとはやく仕事をこなせるのでは?」

ハアァー ヤレヤレ

イラッ

「わかってないな~少しずつ成長していったり、新たな力に目覚めて強大な敵に立ち向かう!!ってのがいいんじゃん。そんなにすぐ倒されちゃおもろくないやん。」

「…そういえばあなた様は漫画や小説が大好きでしたね…」

ちなみに勇者は個体を倒した後、神の力は与えた神に戻るので、魔王になったりすることはない。

「では、勇者はどのようにして選んでいるのですか?」

「ああ、それは死んだ個体を使ってるんだよ。」

「………なんですって?」

「だから、バランス調整で死んだ個体を再利用してるの。」

「なるほど、それなら選ぶ手間も省けますが…そんな事していたらいつまでたっても終わりませんよ?」

「べつにいいよ、調整専門の部署だってあるし……それに誰でも別世界に転生出来るわけじゃないんだよ?相応に強い魂じゃないとダメだし。」

それに、と続ける

「神の都合で死んだ子を、そのままってのもかわいそうだと思わないかい?」

「いえ、そうは思いませんけど。」

………やはり、俺の感性はおかしいようだ、人間のものを読みすぎたせいか?

「まあいいや、俺はそろそろ仮眠とるよ。」

「わかりました、わたしは業務に戻ります。」

「おつかれさん。」















あいつ、もう魔王倒したのか。結構はやいな……
ちょくちょく見てたけど、なかなか面白かったな。
さて、次はあの魔王か。













「わしはトラックの神じゃよ。」















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