トラックに轢かれた、トラックになった。
トラックになるもの
それは突然の出来事だった。
明らかな信号無視、おそらく速度違反。
ものすごいスピードで突っ込んできたトラックに、なすすべもなく俺は轢かれ、この世を去った。
気づいたらそこは白い世界だった。まるで夢の中のようにふわふわしていて、なにもかもあいまいになってしまったかのようだ、ここが死後の世界ってやつか?
「─────!?」
声が出せない、よくみると自分の体も存在していなかった、しかしみれるということは顔はあるのか?
うん、わかりません。誰か説明ぷりーず。
そんな俺の願いを聞いたのかは知らんがなんかでてきた、空間が裂けるように割れ、中から何やら大きな物体が出てくる。それはどうみても………
(トラックじゃねえかぁぁ!!)
え!?なにまた轢かれんの!?死後なのに!?
「わしはトラックの神じゃよ。」
しゃべったぁぁーー!!!!
あとトラックの神ってなに!???ツッコミが追い付かないんですが!
「お主にはこれから別世界にいってもらい、トラックになってもらう。」
「────!!」
は!?意味わからん、別世界ってなんだよ、あとトラックになってもらうってドユコト??
「そのままの意味じゃ、トラックになり、物を運んだり、轢き殺したりするんじゃ、きっと楽しいぞ?」
あのトラック神、こっちの思考がわかるのか?あとトラック絶対楽しくない。
「これからお主のいく世界は剣と魔法のとびかう、よくあるやつじゃ、そこでトラックライフを満喫するんじゃぞ。」
まってまって、やだよそんな剣と魔法のとびかう中でトラックって!トラックって!あとトラックライフってなに!?
「ふむ…そんなにトラックは嫌か?まあ、仕方ない、そんな奴ごまんとおったからな。」
あ、やっぱり?
「ならこうしよう、お主がその世界で魔王を倒すことが出来たらわしの力でお主を人間にしてやろう。」
え、魔王ですか?ちょっとハードル高過ぎじゃない?
「では、トラックとして頑張りたまえ!!」
トラック神がそういった瞬間、視界が歪み、意識が混濁していった。
気がつくとそこは草原だった、視界いっぱいに映る緑と色とりどりの花は春を感じさせる暖かな陽気に満ちていた。
(くそっあのトラック野郎……)
まじでトラックになっちまったのか?人間の時よりも少し視界が高い気がする、それに…
(手の感覚とかねえな…)
どうも本当にトラックになってしまったようだ、顔が動かせないので自分の体を見たわけではないが、人間の器官は恐らく存在しないし、なんとなくどう動けばいいかわかってしまう。
(まあ仕方ないか、生き返っただけでも御の字だ)
しかし、あのトラ神はなぜ俺のことを生き返らせたのだろうか?いろいろ謎は尽きないが、とりあえず…
(どうしよう…)
ノープランだ、いきなり転生させられたし、トラックのままだと人にあっても攻撃されそうだ。
と、そのとき何やら前方で物音がした、なにか青っぽい塊がこちらに近づいてきている。
(なんだ…?)
何者かの接近に構えて(トラックなので構えるもくそもないが)いると。
ポヨンッ! 
スライムだった、某国民的RPGみたく顔や口があるわけではないが、青いゼリー状の体や弾力のありそうなぷるぷるしたフォルムはスライムとしかいいようがない。
そのスライムは恐れ知らずなのか、こちらにドンドン近づいてくる。
(さすがにスライム轢き殺すのは…)
なんか車輪にべったりつきそうだ、スライムの体液が、うん、バックしよう。
ピー、ピー、ピー、グシャ!!
うん?今、嫌な音が…
スライムを倒した!経験値を3てにいれた!
レベルが2に上がった!
……やっちまった?うん、殺っちまったな。
あとなに?このドラ○エみたいなログは、頭の中に直接届けてるみたいだ、神様パワーかな?
まあ、何はともあれ俺の車輪はベットベトだ、何故後ろにもスライムがいる?群れなの?なんなの?
とりあえずここにいてはスライムに囲まれてしまう気がする、少し移動しよう。
ブオオオオン……グシャ!! ブオオオオン…グシャ!!
グシャ!!グシャ!!グシャ!!
ここ、はしるだけでスライムがたおせる……
レベルが3に上がった!
それからの俺のトラックライフは決して楽しいものではなかった。
ときには…
「なんだあの魔物は!?」
「速いぞ!魔法で仕留めるんだ!!」
(くそっ!!見つかったか!)
魔物と間違われ、襲われたり…
(す、進めねぇ…なんてでかい樹木なんだ…)
自然の脅威と戦ったりもした、しかしときには…
レベルが35に上がった! 
スキル【会話】をおぼえた!
「え、なにこのスキルって……ああ!!俺、しゃべれるようになってる!?」
トラックとしての様々なスキルを覚え、ときには人間との交流もあり…
「トラックさんはどうして人の言葉がしゃべれるの?」
「俺は前世では普通の人間だったんだよ、こっちにきたときにトラックになっちまって…」
「そうだったの…あなたがトラックじゃなければいいのに、そしたら私…」
「それって…」
出会いや別れ、様々な経験を体験した。
ときには絶望し、ときには涙を流しあったり、決して楽しいものではなかったが、トラックとしての人?生は、彼を大きく成長させていた。
そして彼が転生してから約1年後……
「魔王様!たいへんです!!」
「どうした、そんなに慌てて?」
「そ、それが…何者かが空から魔王城に接近しておるのです!」
「なに?魔法部隊はどうした。あやつらなら…」
「それが、相手が速すぎて全くあたらないとか…」
「な、なんだと…二、ニンゲンなのかそやつは…」
「いえそれが、ニンゲンではなく…」
魔王の側近がそこまでいったとき、勢いよく壁が破られ、巨大な物体が魔王城に侵入した。普通なら様々な仕掛けや迷路のようになっている内部を突破し、なおかつ魔王の扉には7大陸に封印されている宝珠を使わなければ開かない結界がされていた。そのすべてを覆し、そこに現れたのはトラックだった。
「な、なんなんだこいつは…」
「悪いが魔王、お前を轢き殺させてもらうぜ。」
「何者なんだ!お前は!」
「俺?俺は……」
「ただのトラックさ」
トラックと魔王の決戦は熾烈を極めた。しかし魔王はトラックを知らず、トラックは魔王の情報を多く集めていた、その僅かな差が勝敗を決めた。
「ま、魔族の王たるこのわたし……が………」
バタッ
「やった……これで俺は人間に戻れる!」
そのとき、トラックは光に包まれ、気がつくと元の世界の人間の姿に戻っていた。
やった……これでようやく異世界ライフが楽しめる…
みんなに俺がトラックってわかってもらえるかな?楽しみだ…どんどん幸せな妄想が広がっていく。
しかし俺の頭にさっき一瞬光に包まれたときの光景が思い出される。そう、あれは半年位前…
空を飛べるようになった俺は水面に映る俺をみてみたことがある。そのすがたは
俺を轢いたトラックによくにていた
いや、もうこんなこと考えるべきではない。俺は俺のことを待っていてくれるみんなのところへ帰るんだ!
気がついたらそこは白い世界だった。まるで夢の中のようにふわふわしていて、なにもかもあいまいになってしまったようだ。
と、そのとき空間が裂けるようにしてなにか大きな物体が出てきた。
「わしはトラックの神じゃよ。」
「ようこそ、魔王くん。」
明らかな信号無視、おそらく速度違反。
ものすごいスピードで突っ込んできたトラックに、なすすべもなく俺は轢かれ、この世を去った。
気づいたらそこは白い世界だった。まるで夢の中のようにふわふわしていて、なにもかもあいまいになってしまったかのようだ、ここが死後の世界ってやつか?
「─────!?」
声が出せない、よくみると自分の体も存在していなかった、しかしみれるということは顔はあるのか?
うん、わかりません。誰か説明ぷりーず。
そんな俺の願いを聞いたのかは知らんがなんかでてきた、空間が裂けるように割れ、中から何やら大きな物体が出てくる。それはどうみても………
(トラックじゃねえかぁぁ!!)
え!?なにまた轢かれんの!?死後なのに!?
「わしはトラックの神じゃよ。」
しゃべったぁぁーー!!!!
あとトラックの神ってなに!???ツッコミが追い付かないんですが!
「お主にはこれから別世界にいってもらい、トラックになってもらう。」
「────!!」
は!?意味わからん、別世界ってなんだよ、あとトラックになってもらうってドユコト??
「そのままの意味じゃ、トラックになり、物を運んだり、轢き殺したりするんじゃ、きっと楽しいぞ?」
あのトラック神、こっちの思考がわかるのか?あとトラック絶対楽しくない。
「これからお主のいく世界は剣と魔法のとびかう、よくあるやつじゃ、そこでトラックライフを満喫するんじゃぞ。」
まってまって、やだよそんな剣と魔法のとびかう中でトラックって!トラックって!あとトラックライフってなに!?
「ふむ…そんなにトラックは嫌か?まあ、仕方ない、そんな奴ごまんとおったからな。」
あ、やっぱり?
「ならこうしよう、お主がその世界で魔王を倒すことが出来たらわしの力でお主を人間にしてやろう。」
え、魔王ですか?ちょっとハードル高過ぎじゃない?
「では、トラックとして頑張りたまえ!!」
トラック神がそういった瞬間、視界が歪み、意識が混濁していった。
気がつくとそこは草原だった、視界いっぱいに映る緑と色とりどりの花は春を感じさせる暖かな陽気に満ちていた。
(くそっあのトラック野郎……)
まじでトラックになっちまったのか?人間の時よりも少し視界が高い気がする、それに…
(手の感覚とかねえな…)
どうも本当にトラックになってしまったようだ、顔が動かせないので自分の体を見たわけではないが、人間の器官は恐らく存在しないし、なんとなくどう動けばいいかわかってしまう。
(まあ仕方ないか、生き返っただけでも御の字だ)
しかし、あのトラ神はなぜ俺のことを生き返らせたのだろうか?いろいろ謎は尽きないが、とりあえず…
(どうしよう…)
ノープランだ、いきなり転生させられたし、トラックのままだと人にあっても攻撃されそうだ。
と、そのとき何やら前方で物音がした、なにか青っぽい塊がこちらに近づいてきている。
(なんだ…?)
何者かの接近に構えて(トラックなので構えるもくそもないが)いると。
ポヨンッ! 
スライムだった、某国民的RPGみたく顔や口があるわけではないが、青いゼリー状の体や弾力のありそうなぷるぷるしたフォルムはスライムとしかいいようがない。
そのスライムは恐れ知らずなのか、こちらにドンドン近づいてくる。
(さすがにスライム轢き殺すのは…)
なんか車輪にべったりつきそうだ、スライムの体液が、うん、バックしよう。
ピー、ピー、ピー、グシャ!!
うん?今、嫌な音が…
スライムを倒した!経験値を3てにいれた!
レベルが2に上がった!
……やっちまった?うん、殺っちまったな。
あとなに?このドラ○エみたいなログは、頭の中に直接届けてるみたいだ、神様パワーかな?
まあ、何はともあれ俺の車輪はベットベトだ、何故後ろにもスライムがいる?群れなの?なんなの?
とりあえずここにいてはスライムに囲まれてしまう気がする、少し移動しよう。
ブオオオオン……グシャ!! ブオオオオン…グシャ!!
グシャ!!グシャ!!グシャ!!
ここ、はしるだけでスライムがたおせる……
レベルが3に上がった!
それからの俺のトラックライフは決して楽しいものではなかった。
ときには…
「なんだあの魔物は!?」
「速いぞ!魔法で仕留めるんだ!!」
(くそっ!!見つかったか!)
魔物と間違われ、襲われたり…
(す、進めねぇ…なんてでかい樹木なんだ…)
自然の脅威と戦ったりもした、しかしときには…
レベルが35に上がった! 
スキル【会話】をおぼえた!
「え、なにこのスキルって……ああ!!俺、しゃべれるようになってる!?」
トラックとしての様々なスキルを覚え、ときには人間との交流もあり…
「トラックさんはどうして人の言葉がしゃべれるの?」
「俺は前世では普通の人間だったんだよ、こっちにきたときにトラックになっちまって…」
「そうだったの…あなたがトラックじゃなければいいのに、そしたら私…」
「それって…」
出会いや別れ、様々な経験を体験した。
ときには絶望し、ときには涙を流しあったり、決して楽しいものではなかったが、トラックとしての人?生は、彼を大きく成長させていた。
そして彼が転生してから約1年後……
「魔王様!たいへんです!!」
「どうした、そんなに慌てて?」
「そ、それが…何者かが空から魔王城に接近しておるのです!」
「なに?魔法部隊はどうした。あやつらなら…」
「それが、相手が速すぎて全くあたらないとか…」
「な、なんだと…二、ニンゲンなのかそやつは…」
「いえそれが、ニンゲンではなく…」
魔王の側近がそこまでいったとき、勢いよく壁が破られ、巨大な物体が魔王城に侵入した。普通なら様々な仕掛けや迷路のようになっている内部を突破し、なおかつ魔王の扉には7大陸に封印されている宝珠を使わなければ開かない結界がされていた。そのすべてを覆し、そこに現れたのはトラックだった。
「な、なんなんだこいつは…」
「悪いが魔王、お前を轢き殺させてもらうぜ。」
「何者なんだ!お前は!」
「俺?俺は……」
「ただのトラックさ」
トラックと魔王の決戦は熾烈を極めた。しかし魔王はトラックを知らず、トラックは魔王の情報を多く集めていた、その僅かな差が勝敗を決めた。
「ま、魔族の王たるこのわたし……が………」
バタッ
「やった……これで俺は人間に戻れる!」
そのとき、トラックは光に包まれ、気がつくと元の世界の人間の姿に戻っていた。
やった……これでようやく異世界ライフが楽しめる…
みんなに俺がトラックってわかってもらえるかな?楽しみだ…どんどん幸せな妄想が広がっていく。
しかし俺の頭にさっき一瞬光に包まれたときの光景が思い出される。そう、あれは半年位前…
空を飛べるようになった俺は水面に映る俺をみてみたことがある。そのすがたは
俺を轢いたトラックによくにていた
いや、もうこんなこと考えるべきではない。俺は俺のことを待っていてくれるみんなのところへ帰るんだ!
気がついたらそこは白い世界だった。まるで夢の中のようにふわふわしていて、なにもかもあいまいになってしまったようだ。
と、そのとき空間が裂けるようにしてなにか大きな物体が出てきた。
「わしはトラックの神じゃよ。」
「ようこそ、魔王くん。」
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