英雄って何ですか?

たかっしー

8話

「あ、もう授業が終わりますね。では解散。補習組以外は帰りなさい。」

「え、あのなんかさっきの説明とかないんですか?」

「無いですね。」

バッサリ切り捨てるロストです。

『えーーー!!なんかあるでしょ⁈』

「嫌ですよ、そもそもその内授業にも出て着ますから安心しなさい。」

「はぁー、わかったぜ。みんなー、さっさと帰ろうぜー!」

「何帰ろうとしてるんですかアーカム君。君補習組でしょう。」

「チッ」

「はい、補習倍ですね。」

「じゃ、頑張れよ〜。」

「何があったか明日教えてね〜。」

そう言ってぞろぞろとS組は帰って行った。

「では、いろいろ聞かせてもらいますからね。」







「なるほど、そうでしたか。」

「せんせ……、もう……、やばい……。」

「ダメです。倍と言ったでしょ。」

30分程時間をかけて、先程魔法を仕掛けてきた首席か次席かと疑惑をかけられている生徒から事情を聴いていた。ーーー補修お仕置きをしながら。

その内容とは以下の通りである。

・初めて登校してみれば基本ばかりしていてつまらないと思ったこと
・元々学校に行く利益がないと思っていて更にその意識が強くなったこと
・次席になったことは自分の力量不足なので仕方がないと思ったがあまり他の生徒と区別がないから頑張る理由が分からなくなったから
・先程の訓練が余りにも簡単すぎて馬鹿馬鹿しくなり先生を、この場合ロストを絞めたら自分は特別だと周知できると思ったから
・早く解放して

と言っていた。これを聞いてロストは先生としてダメだと思ったのか生徒に話しかけた。

「その気持ち分かってあげれず申し訳有りませんでした。お詫びとしてーーー」

「いえ……、私が……、悪いんですから……。
それより……早…く、おわ…らせて。」

その言葉が嬉しかったのかロストは頰を綻ばせた。それは普通に見れば万人が顔を真っ赤にするような微笑だった、がそれは普通の人にとってである。

「その気持ちは受け取れません。」

いや、受け取ってやれよ……。

「ですので、お詫びとして、基本の大切さを今日中に教えて差し上げます。」

その言葉を聞いた瞬間、生徒は絶望のどん底に落ちた。

因みにうるさいアーレムはきちんとやる事をやると気絶したから影に運ばせている。




 次の日

ロストは例の指輪の力で校門まで転移をして登校していた。その日はいつもより人が多く通っていてそれを不思議に思い近くの生徒に何故おおいのかを聞いてみた。

「すいません、少しお時間を頂けますか?」

「あ?まぁ、かまわねぇけど早くしろよ。俺も用事があるからな。で、何の用なんだ?」

口調の割に心が広い青年のようだ。

「いえ、私はいつもこの時間に通勤するのですが何故かいつもより人が多いので気になってしまい。何か知っているのならば教えて頂けませんか?」

「ああ、そりゃあれだ。どっかの公爵家の息子がボロボロになって家に帰ったから聞いてみると『これは、私の傲慢な考えの罰です。ですのでこの様な愚息の事よりこの美しく、そして愛しい世界を見たほうが余程有意義な時間を使えるでしょう。』ってな感じで悟りを開いていたらしく、その調査としてかなりの人員が来ていて学院長の所にもこの話が行ったらしいな。まぁ、そんな事で密度が高いだけでそんなに変わったわけじゃあねえよ。」

(昨日の彼のことですかね?別に悪いことをした訳では無いですし、まあ、大丈夫でしょう。もしダメだったとしても説明すれば分かってもらえるでしょう)

恐らく分かってもらえる事はないだろう………。

「有難うございます。貴方、宿屋の主人に向いていると思いますよ。」

「最後の言葉は褒めてるのか貶しているのか中途半端だな!?」

「では、良い朝を。」

「お前のせいで厄日だよ!!」

ロストは何も聞かなかった

「兄様〜、おはようございます!」

「先生っ、おはようね〜。」

「おはようございます。レディアン、シャーラ。」

「昨日の2人、大丈夫でしょうね?あの2人本当は良い子なんだからあんまりいじめちゃダメよ?」

「同級生でしょう……。シャーラはあの2人と面識があるのですか?」

「私の本名はシャーラ・ボレスティーヌよ。分かったと思うけどレディアンと同じ公爵家よ。だからパーティーとかで会ったことがあるのよ。」

「ん?レディアンは伯爵家ですよね?」

「父様のまま家を動かしてたらそうですね。ですが、私も手伝って少しはマシになってそのままいろいろやってたら公爵ですね。」

「いろいろじゃないでしょ。この娘、かなり無理をしたのよ?なんせ家だけでなくその娘の家の仕事の1部までして効率を上げているんだから。」

「それはそれは、レディアン頑張りましたね。」

「ありがとうございます…。」

レディアンは人目が無ければそのまま泣いてしまってもおかしくないぐらい顔を朱くしていた。
だけど淑女としてどうかと思いシャーラは手を叩いて注目を集めた。

「ちょっと脱線しちゃったわね。で、結局絞めた2人は大丈夫なの?」

「人聞きが悪い。決して絞めていませんよ。補習をしただけです。」

「それはあの黒服に言うことね。絶対いじめとか体罰とかを疑っているから。」

そう言ってシャーラは爽やかに笑った



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