英雄って何ですか?

たかっしー

6話

次の日

ロストは、学園に通勤して職員室で他の先生方と親睦を深めていた。そして話しは自然と入学式のことになる。

「いや〜、それにしてもロスト先生には驚かされましたな。なんたってあんな美人の兄妹がいたなんて、幾ら先生が超がつくイケメンだとしても分かりませんでしたよ。」

「いえいえ、大したものではありませんよ。私なんかよりも先生の方が知的な雰囲気でかっこいいと思いますよ?更に長年先生としてご立派にやっていけているのですからどれだけ優秀なのかがわかると言うものですよ。」

「ご謙遜を、私なんかだらだらと働いているだけで特に優れたところなんかありませんよ。この前の入学式だってアドリブであのような立派な挨拶は私にはとてもとても……。どのようにしたらあんなに凄い挨拶ができるのかを是非教えてもらいたいものですな。はっはっはっ。」

「あれは偶然閃いたにすぎません。私などまだまだですよ。あのようなもの、先生方からしたら幼児の遊びのように聞こえたでしょう。私もまだまだ努力が足りないようですね。ふふふ。」

と言うように先生が、ロストに遠回しにてめぇ、何出しゃばってやがる。何か手品でもしたんだろ?そのタネ教えろ!と簡単にするとこんな感じに聞いているのをロストがそんなことはないよー。あんなの序の口序の口。あれくらい出来て当然でしょ?え?先生出来ないなんてことないよね〜?とやんわりと否定して逆にかすり傷に毒を塗りたくって返すような真似をするといった気持ちが悪いほどの陰湿な会話が成立していた。そしてその話を理解しなければ周りからは楽しそうに話しているようにしか見えないからタチが悪い。まぁ、そんな話が始業の鐘が鳴るまで続いた訳だ。その頃にはその先生の頭の中ではロストへの怒りでいっぱいだった。え?ロストはって?終始笑顔で嫌味を返していましたよ?








そんなこんなで新入生からしたら初めてのホームルームが始まった 。 そして、S〜Dまであるクラスの中のSクラスの教室にロストはいた。

「おはよーございます。まずは自己紹介をさせて頂きます。このSクラスの担任になったロスト・クラステインです。この苗字のことを知っている人はいるかもしれませんが一応説明すると、ギルドにあるS〜Eまであるランクの更に上でギルドマスターと同じくらいの力を持ったことの象徴(神である名前を隠すためのフェイク)と考えてくれればいいですよ。因みにですが、私はそのギルドの長、というか総ギルドマスターですね。だから全部のギルドで1番偉いことになります。では何か質問があればどうぞ。」

ロストがクラス中を見ていると何人かの生徒が震えているのが見て取れた。何故?とロストが疑問を持っているとーーーーーー

「あはははは!そんなの嘘だろ!入学式でギルドから派遣されたって行ってただろうが!あははははははっ!」

「そうだそうだ!だいたいそんなに偉い人がなんでこんなところに居るんだよ!ありえねぇだろ!」

「レディアンさんのお兄さんって事で顔も頭もいいって思ってたのに頭は良くないようね。」

「そうね、顔はいいからもてはやされてきたんでしょうね。」

「あらあら、可哀想に。うふふふふっ。」

ただ単に馬鹿にしていたようだ。こんなに馬鹿にされるとは思っていなかっただろう。だから、ロストは驚いてーーーーーー

「はい、さっき喋った人減点ですね。先生を馬鹿にした事は許しますが、国語と暗記、それと判断力が悪かったので減点します。ほら、ほかに言いたいことがある人どうぞ、採点してあげますから。」

その言葉を最後にクラスから全く音が聞こえなくなった。おそらく現代科学を持ってしても誤差の範囲内しか計測できないだろう程に静かだった。

「はい、質問は以上ですね。では最初の人からきちんと解説しましょう。確かに私は入学式でギルドから派遣されたと言いました。ですが、職員ともましてや探索者などとも行っていないではないですか。ただ単に派遣されたと言いましたよね?それが答えです。2人目の人は偉いからこんなところにいる訳ないと言いましたがそれは何故ですか?偉ければ偉いところに居ないといけないのですか?そこのレディアンさんの、ああ、ここでは教師と生徒の関係なので肉親関係は極力持ってきませんので、レディアンさんと言わせていただきます。」

「はい、わかりました。」

ロストの話を聞いたレディアンは立派な兄に誇らしい気持ちでいっぱいだったが先程話していた生徒の顔は少しずつ青くなっている。

「レディアンさんのお父様であるガラス様は公爵家当主という立場でありながら頻繁に探索者ギルドに来ては依頼を受けて、その日のうちに終わらして帰ってらっしゃいますよ?ほかにもこの国の王であるラケシル殿下なんかは王という身でありながら頻繁にというわけではありませんが、視察とか嘘吹いて街を散歩して遊んでいらっしゃいますよ?それでも偉い人はそういう場所に行けというのであるなら更に減点します。」

人のプライバシーを勝手に暴露して更に保険として、これ以上何か言ってみろ、すぐに地獄に送ってやるよ。ひゃっひゃっひゃっ、とか酷いにもほどがあることを生徒に言うロストであった。

「次に女性三人衆の質問である『その顔で今までちやほやされてきたんでしょう?』という偏見率80%の質問の答えは『人を馬鹿にしすぎでしょう』です。」

質問の答えもであるが、質問の復習の時の超腹立つ喋り方だが、生徒たちからは罵倒は来ない。何故なら何か言おうものなら接触型の毒を練りこんで、サソリの針を突き刺したパイをぶつけられるようなことにあうと説明されなくても理解したからだ。

「何故ならーーーーーー」

そこからも延々とロストの講義があったが生徒の心は一つになった。その内とは、この先生怒らせたらヤバい、と言う考えのみだ。










「では、色々話したことですしもういいでしょう。明日のことから来年の春までの行事を貴方達の記憶に刻んだので伝達事項はありません。」

『え!?いつの間に!?ていうか勝手に弄るなよ(いじらないでよ)!!!!』

「いえ、私の話なんかつまらないだろうと思い、話すのも面倒だったのでちゃちゃっとやろうかなー、でも時間が余るなー、という考えのもと実行しました。」

『それは只のめんどくさがりなだけだ!!!!』

「おう、これはすごい、もうクラスの仲が良いようですね。クラス対抗戦が楽しみだ。」

『誰のせいだ!!!!』

「私のことを勘違いしたまま発言した人たちの所為ですね。」

「「「「はい……。すいません……、反省しましたのでもう勘弁してください。」」」」

「よろしい、では楽しい一年になる事を祈りながら帰りなさい。あ、別に神でなくとも大好きな人にでもいいですよ?」

『余計なお世話だ!!!!!!!』

「明日も授業があるので送れないでくださいね?遅れたら私と二者面談です。では、さようなら。」

ロストはSクラスから退出した。








その後は、クラスでロストの話で持ちきりだった。だが、誰も、レディアンでさえ気づかない。クラスの仲が他のクラスよりも深まる事をロストが狙っていろいろちょっかいをかけていたことに……。

「あ、言い忘れてました。全員、私の話の感想文の提出を来月にして下さい。」

『いいからさっさと帰れ!!!!』

本当に狙っていたのだろうか…?

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