英雄って何ですか?

たかっしー

1話 (変更)

ある国のある夏の避暑地としてダーツで選んだ村に2人の伯爵が住んでいました。そして、その年は、伯爵の妻が子を身籠っていて夏の8月にその子は産まれました。伯爵は大喜び。喜び過ぎて裸で村を10周走って子を産んだばかりで体力がないはずの嫁に半殺しにあっていました。    

そして、あれよとあれよと進みその子の名前はロスト・バーズルスとなった。あれよあれよのところは聞かないで貰いたい。面倒だから…。

父親は伯爵家の子供だが武者修行的なもので探索者をやっていて元Bランク探索者。母親は元々は伯爵家のメイドだったが父親の武者修行的なものに連れていってしまった。だがAランク探索者なのに実力はSランク探索者という意味のわからないメイドなのである。こんな母親が邪魔になるはずもなく逆に父親の方が足手纏いになっていた。

さぁ、これから始まる。おかしな夫婦から生まれた子供の英雄譚が。  









ロスト ・一歳

「ロスト〜!会いにきたぞ!一緒に遊ぼう!」
この無駄に大声で叫んでいる紅色の髪で筋骨隆々で、どちらかというと整っている顔立ちの大男はロストの父である。
ここはロストの父、ガラス・バーズルスが治めているバーズルス領の端の方にある村、ソニア。そこでは現在クソ親バカなガラスが愛息子であるロストに会いに子供部屋に来ていた。
「わーい!お父さんが来たよ、お母さん!」
その言葉の通りそこには茶髪の髪をボブカットにして、メイド服を着ている女性、つまりロストの母親のアクア・バーズルスがいた。…………なぜ、メイド服なのかと聞けばポリシーとしか答えないが。

「ええ、そうですね。あなた、気をつけて下さいね。あなたの体で遊んではロストが危ないですから」

「そんなことはわかってる。だが、それだと何をすればいいのだ?」

「ウフフ、それはですねーーーー」

その何か含んだ様な笑みを見た瞬間、元探索者としての感がこのままではヤバイと警鐘を鳴らしていた。だが、このまま引けば忙しくてなかなか会えない息子と遊べなくなってしまう。こういう時、探索者時代で信頼していた筋肉が邪魔に思えてしょうがなかった。因みに、この国は一夫多妻又はその逆も推奨されている。殆ど貴族の場合だが。だが、ガラスの場合は第二夫人とかはいないから珍しいと言える。

「あなたの体でロストの攻撃を受けるのですよ。そうすれば、ロストの戦闘の教育にもなるから」

「ふむなるほど。それならいいか?」

「それでは少々物足りないじゃろ。」

「お父さん!?」「お義父さん!?」

「あ、お爺ちゃんだ!こんにちは〜!」

そう言ってロストは母方の祖父となっているエレステッド・クラステイン・・・・・・に抱きついた。………クラステインとついているが貴族ではなく、探索者として最高位のSランクの10倍以上の力を持っている人につけられる勲章の様なものだと言われている。だから、あの異常な力を持っている母親の父と言われて納得している人が多いのだが。 

と言うか、クラステインというのはエレステッドが探索者ギルドのシステムに勝手に作ったものだったりする。

「久しぶりじゃのうロスト。昨日ぶりか?」

「昨日を久しぶりとは言いません………」

たった昨日を久しぶり扱いするという孫が大好きだという気持ちが現れているが、美人や美少女、ましてや女性ですらない人に言われて嬉しい人はいないだろう。その点ロストが無邪気だから気にしなかったというのは幸いだっただろう。

「そんな細かいことは置いといて、じゃ。ガラスに攻撃するのじゃろ?だったらもっと面白くしないといけないじゃろ。」

「ですがどうするのですか?あまり無理な事をロストにさせたくないのですが」

「それはわしもじゃわい。じゃからマジックアイテムで、ガラスの身体能力を下げて、ロストにエンチャントをかけるのじゃ」

「なるほど、それだとガラスがそれなりに不利になりますね」

「最後の駄目出しで、アクアの5割の援護も入れる」

それを聞いてガラスは顔を青くさせ出した。
いくらガラスがBランクでAランクにあと少しで届くと言われていたとしてもそれは全盛期であって、今も訓練はしているが、全盛期ほどではない。アクアもそうであるが、実力はSランクと言われていたものに一匹の蟻が、ドラゴンに勝てない様にその差は歴然としてある。そんな者の5割だ。かなりヤバイのは確実だった。

「あ、あの、それはちょっと厳しいかなーって、思ったり思わなかったり…………。」

「ん?ロストの目の前で逃げるのか?それは流石のロストもその様な父親に失望するじゃろなー。」

「いえいえ、そんなことはありませんよ。俺としても、最近体が鈍っていたから丁度良かったと思っています。」

「お父さん凄ーい!僕も頑張るね〜!」

「おう!どんと来い!」

死ぬかもしれないと思っていても、ロストに失望されて仕舞えば死んだも同じで、さらにロストにカッコイイところを見てもらいたいという考えだけで死の恐怖を脱するのだから親というものはすごいものだ。それが蛮勇だとしても。

「では30分後訓練所でしましょう」

「うむ」「おうっ」

そう言って各自準備をしに行った。ロストを置いて。

だが、ロストは別に寂しくは無かった。
何故ならーーーー

「じゃあ、僕たちも行こう?光さん」

ロストの傍に誰もその正体を知らない光が居たのだから。






結果発表

ロストの勝ち

当然だろう。ここまでしてロストが負けたら間抜け以外にないだろう。そして何よりもガラスが笑顔のロストから逃げれる訳がない。つまりだ、ロストが相手だとガラスの戦意や戦闘力がゼロどころかマイナスにすらなるつまりこれは必然だったと言えよう。







ロストの3歳誕生日から3ヶ月後


この日、村では大騒ぎしていた。何故なら2人目の伯爵の子供が生まれたのだから。
名前はレディアン・バーズルスとなった。

ここでこの2人の子供容姿について説明しよう。
ロスト・バーズルス
父親と同じ紅色に艶があり、明るい色。現在は他の子供より少し大きめの身長。顔は、美人やイケメンで有名なエルフよりも整っていて、大きくなってナンパでもすればあっという間にハーレムが出来るだろう顔をしていた。一言で言えばイケメンだ。
レディアン・バーズルス
父親と母親とも違う桃色の髪。ショッキングピンクの様に人の目を引く様なものではなく、どちらかと言えば桜に近い可憐な色をした髪。今はまだ、赤ちゃんだからわからないが、このまま成長をしたら間違いなく超がつくほどの美人になることは間違いない顔をしている。

そんな兄妹だけに、村の人々からは人気があり、そこに子供ながらの無邪気さがあり、半ばアイドルの様になっていた。だが、光があれば影がある様に人気がある者が居れば嫌われている者も多少はいる。そう言う者たちから妬まれるのは必然であり、このことにより事件があったとしてもそれは不思議では無かった。 







ロスト5歳


このエーレステインという世界では5歳になるとスキルの継承式というものがあり、そこでは神が生き物にスキルを送るという風に言われている儀式があり、その儀式にロストが今日出る日だった。先にも述べた通りロストは村の人々からは人気が莫大な程あり、妬んでいる者にも注目が集まっていた。

「わーい!お外だ!お空があお〜い!」

「そうですね。温かいです。」

「そうだな。」

「うむ。」

「あ、ロストちゃん。あはよー。今日はどうしたのかな?よかったらお姉ちゃんと遊ぶ?」

と言いながら20代後半そうな女性がやってきた。この女性はとてもモテるのだが、何故か独身を貫いている変人なのだ……………よくロストと遊んでいるから年下好きと言う噂が流れていて、ロストのことを狙っているという噂も流れてる。それをこの女性の友人がからかうつもりで訊いてみると満更でもなさそうな感じだったのでその後の雰囲気がとても気まずくなったことも一度や二度ではない。

「すまぬな。ロストはこれから継承式があって一緒には遊べぬ。じゃから今度遊んではもらえんかの?」

「わかりました、エレステッド様。じゃあ、またねロストちゃん。」

「またねー。」

「きゃっ、可愛い ️」

そう言いながら女性は帰っていった。

「やはりあの女性、危険ですね。」

……………アクアには本性がばれて、さらに警戒心が上がっていたが。

「ねぇ、早く行こう!」

「おっとそうだな。」

そう言ってロスト一行は馬車に乗って町にある協会に向かった。






協会

「よくいらっしゃいました。領主様、ではお子様の儀式を始めさせて頂きます。」

協会について訪問の合図を送るとガリッガリの礼服を着た司祭がやってきて、すぐにロストを連れて入っていった。

「ではロスト様、目の前にある教本に触れて下さい。」

教本に触れた

「そのまま暫くお待ちください。」

すると教本が目が開けられないほどに光り出した。

「ぅぅ、まぶしー!」

「これはこれは、魔力が多い様ですね。ロスト様、少しお待ちください。すぐに終わりますから。」

ロストは目が痛いのを必死に我慢した。目から少し涙が流れているのを見るとかなり痛いと分かるほどに。
そして、何時間も続いていた様に感じた痛みが引いたのが分かり、そして目を開くと教本があった。

「それでは、神からの祝福を見てみましょう」

そう言っておもむろに懐から紙を取り出し、教本にかざすと、紙が光った。もっとも、先程とは違い目に優しい程度にだが。だが、先程のことがあり、ロストが5歳だったこともありとても怖がって、目をぎゅっと閉じていたが。

「はい終わりました。ではこちらをどうぞ。」

そう言って先程の紙と透明な宝石のついた指輪を渡して来た。

「では、お疲れ様でした。ご両親の元に向かって頂いて結構ですよ。」

「わかりました。ありがとうございました!」

「いえいえ、では。」

司祭は退出した。

「早くみんなに会いたいな〜。」

と走って行った。







馬車の中


「ロスト、早くステータスを見せてくれないか?」

「わかった!はい!」

そう言いながらロストは紙を広げた。そこに書いてあったのはーーーーーーー



ステータス

ロスト・バーズルス
5歳
人間

魔力量5000

スキル
崩壊魔法

「おお、魔力量がそこそこ多いな。いや、子供にしては凄すぎるくらいか」

「にいさま、すごい!」

「ありがとう!お父さん、レディアン!」

「うむ、このスキルが少し物騒な名前じゃが、よく知らんのう。」

「お父さんが知らないのなら私も知りませんね」

「2人とも、そんなことよりロストのことを祝おうぜ!」

「そうですね。ロストおめでとう!」

「そうじゃな、ロストおめでとう!流石、儂の孫じゃな!」

久々の親バカならぬ祖父バカになったエレステッド。こんな風に誰もが幸せが続くと思っていた。

そして、ロスト・バーズルスが6歳の誕生日を迎えて半年後、エレステッド・クラステインが死んだ。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品