十年待ってチートスキルを解放したら魔法少女になった件
第1話十年待った結果がこれだよ!
十年
俺は待っていた。ずっとこの日を。ようやく全てが報われるこの日を。
「ようやく何ですね」
「ああ、ようやくだ」
隣にはこの十年一緒に共にしてきた仲間達がその時を待っている。
(長かった……)
俺は自分のステータス部分のある部分をずっと見続けている。そこに記されているのは『???』の三文字。
ついにその正体が分かる時が来たのだ。
さて、ここまで読んでもらって何が何だか分からないと思う人が多数かもしれないが、そこは順を追って説明していこう。
まず俺の名前は悠木哲也。この世界ではテツヤと仲間達から呼ばれている。
次に何が十年なのかというと、俺がこの世界にある神様の手によって転生させられてから丁度十年経つのだ。
そして今から解放されるこの『???』は本来十年前に一番最初に解放させれる能力、神様曰くチート能力らしい。しかしそれが何がどうしてこうなったのか、何と解放される条件が、十年ただ待つ事。
『ごめんね〜、これは私も予想外だったの。テヘペロ』
俺を転生させた神様はそんな事を言っていたので、一発ぶん殴った記憶がある。まあその張本人も、何故か今は仲間の一人だったりするのだがーー。
「テッちゃん、どんなスキルが開放されるの?」
「それは分からない。けどきっとそれは」
十年待っただけの価値があるもの。俺はそう思っている。
「さあ時間だ。開放されるぞ」
そして遂にその時が来る。?になっていた場所が文字と化し、俺に新しい力として与えられる。
その能力とはーー。
「な、何だこれ」
「これって、その、つまり」
「テッちゃんの冒険終了のお知らせ?」
『転生……このスキルが開放され次第、習得者は転生する』
俺の目の前に表示されているのは、転生。つまりもう一度生まれ変れという事。ただでさえ一度人生をやり直しているのに、俺はここまで積み重ねてきたものを捨てろというのか。
「テッちゃん、体が……」
どうすればいいか考える間もなく、俺の体は光りだした。
「噓! 本当に生まれ変わっちゃうの? 私まだ」
「おい女神、何とかしろ!」
「ごめん、どうにもできないみたい。また人生やり直してきて」
「そんな馬鹿なぁぁ」
こうして俺は何も抵抗する事もできずに、身勝手なスキルのせいで二度目の人生を終える事になったのであった。
◇
それから俺はどのくらいの時間眠ったのかも分からない。あの後残された仲間がどうなったのかも分からない。
けど分かっている事実は一つ。俺はアホなスキルのせいでまた死んでしまった事。
(どこがチートなんだよ。俺にはまだやり残した事が沢山あったのに……)
というか転生って、今度は俺は何になるんだ? 最初に転生した時は、生前の体のままだったし、今回もそうだったらそれはそれでいい。
もう一度仲間の元へ行けばいいのだから。
「っ……」
そんな事を考えているうちに、暗闇だった視界に光が差し込んだ。どうやその時が来たらしい。俺はゆっくりと瞼を開き、目を覚ました。
目の前に広がるのは、どこか見覚えがある場所。確か一番最初に転生した時に、目覚めた場所がここだった気がする。
あの女神は転生したら『目覚めの祠』とかそんな名前の場所でで目覚めるとか言っていたし、十年前の記憶なので曖昧だが、ほとんど変わっていない。
(本当に転生したんだな、俺)
とりあえず寝てばかりもあれなので、体を起き上がらせてみる。
「よっこらせ」
そして周囲を見回してみると、苔むしているけどあの時と同じよう岩で囲まれていた。
(やっぱりここは、そうなんだな)
「よっこいしょ」
今度は立ち上がる。けどその時に俺はようやく違和感に気づいた。
「え? あれ、声が」
発せられた声は、人間で言うなら大体十歳前半くらいの女の子(これ重要)の声。そして身体には今までなかったのもがあって、あったはずのものが無くなっていた。
更にいつも見ていた景色より半分くらいに下がった視界。
ーーおかしい。何もかも全てがおかしい。
思考がしばらく停止する。そして俺は恐れながら自分のステータスカードを確認した。そこにはいつも通りの俺の名前と、
職業”魔法少女”と記されていた。しかも性別も女性になっている。
カードを持って停止する事数秒後、
「はぁぁあ?!」
目覚めの祠では何とも可愛らしい声が響き渡った。
◇
異世界 フィルランセ
エルフや魔族、ドワーフ族など沢山の種族が住む緑豊かな世界。一時期魔王軍の侵略やら何やら色々な事件があって、この世界は闇に侵されていた事があった。
そんな時にこの世界の自称大地の女神であるピリスの手によって転生者としてこの世界に連れてこられたのが十年前の俺。
ピリスは俺に世界を救って欲しいとか色々抜かしていたけど、先の未開放のスキルのせいでチートも何もなしで実力だけで成り上がり、仲間達と共にこの世界に平和をもたらしたのが三年前の出来事。
(あの時は輝いていたな、本当に)
すれ違う人に英雄だの勇者だの色々とチヤホヤされていた。そして世界には平和が戻り、この世界で生き続ける道を選んだ俺は、このスキルが開放されるまでの間、困り事を解決する何でも屋の仕事をしていた。
そして三年経った今日、俺は悲しい事に再びの転生を果たして、こんな訳も分からない姿に生まれ変わってしまったのであった。
(今となってはあの時開放されてたら無駄になっていたと思うと、それはそれでよかったけど……)
十年待った結果が、これだなんて情けない。
(とりあえず外に出るか)
俺は慣れない小さな身体をなんとか動かしながら祠から外へ出る。早く皆と合流して、あの女神を説得して、この姿を何とかしてもらわないと。
俺は扉を開け放つ。
しかしそこで俺を待っていたのは、
「何だよ……これ」
緑豊かとは程遠い、腐りきってしまった世界だった。
俺は待っていた。ずっとこの日を。ようやく全てが報われるこの日を。
「ようやく何ですね」
「ああ、ようやくだ」
隣にはこの十年一緒に共にしてきた仲間達がその時を待っている。
(長かった……)
俺は自分のステータス部分のある部分をずっと見続けている。そこに記されているのは『???』の三文字。
ついにその正体が分かる時が来たのだ。
さて、ここまで読んでもらって何が何だか分からないと思う人が多数かもしれないが、そこは順を追って説明していこう。
まず俺の名前は悠木哲也。この世界ではテツヤと仲間達から呼ばれている。
次に何が十年なのかというと、俺がこの世界にある神様の手によって転生させられてから丁度十年経つのだ。
そして今から解放されるこの『???』は本来十年前に一番最初に解放させれる能力、神様曰くチート能力らしい。しかしそれが何がどうしてこうなったのか、何と解放される条件が、十年ただ待つ事。
『ごめんね〜、これは私も予想外だったの。テヘペロ』
俺を転生させた神様はそんな事を言っていたので、一発ぶん殴った記憶がある。まあその張本人も、何故か今は仲間の一人だったりするのだがーー。
「テッちゃん、どんなスキルが開放されるの?」
「それは分からない。けどきっとそれは」
十年待っただけの価値があるもの。俺はそう思っている。
「さあ時間だ。開放されるぞ」
そして遂にその時が来る。?になっていた場所が文字と化し、俺に新しい力として与えられる。
その能力とはーー。
「な、何だこれ」
「これって、その、つまり」
「テッちゃんの冒険終了のお知らせ?」
『転生……このスキルが開放され次第、習得者は転生する』
俺の目の前に表示されているのは、転生。つまりもう一度生まれ変れという事。ただでさえ一度人生をやり直しているのに、俺はここまで積み重ねてきたものを捨てろというのか。
「テッちゃん、体が……」
どうすればいいか考える間もなく、俺の体は光りだした。
「噓! 本当に生まれ変わっちゃうの? 私まだ」
「おい女神、何とかしろ!」
「ごめん、どうにもできないみたい。また人生やり直してきて」
「そんな馬鹿なぁぁ」
こうして俺は何も抵抗する事もできずに、身勝手なスキルのせいで二度目の人生を終える事になったのであった。
◇
それから俺はどのくらいの時間眠ったのかも分からない。あの後残された仲間がどうなったのかも分からない。
けど分かっている事実は一つ。俺はアホなスキルのせいでまた死んでしまった事。
(どこがチートなんだよ。俺にはまだやり残した事が沢山あったのに……)
というか転生って、今度は俺は何になるんだ? 最初に転生した時は、生前の体のままだったし、今回もそうだったらそれはそれでいい。
もう一度仲間の元へ行けばいいのだから。
「っ……」
そんな事を考えているうちに、暗闇だった視界に光が差し込んだ。どうやその時が来たらしい。俺はゆっくりと瞼を開き、目を覚ました。
目の前に広がるのは、どこか見覚えがある場所。確か一番最初に転生した時に、目覚めた場所がここだった気がする。
あの女神は転生したら『目覚めの祠』とかそんな名前の場所でで目覚めるとか言っていたし、十年前の記憶なので曖昧だが、ほとんど変わっていない。
(本当に転生したんだな、俺)
とりあえず寝てばかりもあれなので、体を起き上がらせてみる。
「よっこらせ」
そして周囲を見回してみると、苔むしているけどあの時と同じよう岩で囲まれていた。
(やっぱりここは、そうなんだな)
「よっこいしょ」
今度は立ち上がる。けどその時に俺はようやく違和感に気づいた。
「え? あれ、声が」
発せられた声は、人間で言うなら大体十歳前半くらいの女の子(これ重要)の声。そして身体には今までなかったのもがあって、あったはずのものが無くなっていた。
更にいつも見ていた景色より半分くらいに下がった視界。
ーーおかしい。何もかも全てがおかしい。
思考がしばらく停止する。そして俺は恐れながら自分のステータスカードを確認した。そこにはいつも通りの俺の名前と、
職業”魔法少女”と記されていた。しかも性別も女性になっている。
カードを持って停止する事数秒後、
「はぁぁあ?!」
目覚めの祠では何とも可愛らしい声が響き渡った。
◇
異世界 フィルランセ
エルフや魔族、ドワーフ族など沢山の種族が住む緑豊かな世界。一時期魔王軍の侵略やら何やら色々な事件があって、この世界は闇に侵されていた事があった。
そんな時にこの世界の自称大地の女神であるピリスの手によって転生者としてこの世界に連れてこられたのが十年前の俺。
ピリスは俺に世界を救って欲しいとか色々抜かしていたけど、先の未開放のスキルのせいでチートも何もなしで実力だけで成り上がり、仲間達と共にこの世界に平和をもたらしたのが三年前の出来事。
(あの時は輝いていたな、本当に)
すれ違う人に英雄だの勇者だの色々とチヤホヤされていた。そして世界には平和が戻り、この世界で生き続ける道を選んだ俺は、このスキルが開放されるまでの間、困り事を解決する何でも屋の仕事をしていた。
そして三年経った今日、俺は悲しい事に再びの転生を果たして、こんな訳も分からない姿に生まれ変わってしまったのであった。
(今となってはあの時開放されてたら無駄になっていたと思うと、それはそれでよかったけど……)
十年待った結果が、これだなんて情けない。
(とりあえず外に出るか)
俺は慣れない小さな身体をなんとか動かしながら祠から外へ出る。早く皆と合流して、あの女神を説得して、この姿を何とかしてもらわないと。
俺は扉を開け放つ。
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