プロローグ(莉奈の生前のエピソード)

『キャー！』
 
 
何処かから女子生徒が叫ぶ声がする 
みんな、先生までも混乱している 
こういう時こそ落ち着いて避難するものでしょ、そんな俺が先だ的な感じで扉に群がるんじゃなくて
 
 
『誰か…助けて…』
 
 
誰かが呼んでる 
その声がする方向に行ってみると、倒れたロッカーの下敷きになっている人がいた 
よく見てみると、その人は琴菜だった
 
 
『莉奈ちゃん、助けて…』
 
 
私は無言でロッカーを持ち上げようとした 
私は結構ほかの女子より力があるからしばらくしたら抜けられる程の隙間ができた
 
 
「よし、これで出れると思う。琴菜大丈夫？」 
『うん…でも、もうみんな居なくなっちゃったよ…』
 
 
振り向いて確認すると生徒はだけではなく先生までも居ない
 
 
「大丈夫だよ。ほら、一緒に行こ！」 
『うん！』
 
 
その時、2度目の地震が発生した 
1回目よりも激しかったから多分これが本震なんだろう 
そんなことを考えていたら琴菜が私に叫んだ
 
 
『莉奈ちゃん危ない！』 
「え？」
 
 
振り向くと落下してきたと思うロッカーや壁にかかっていた時計が目の前まで迫っていた 
あぁ、私は死んじゃうんだな 
落ちてきたものが私をおおった
 
 
『莉奈ちゃん！大丈夫って言って！死んじゃダメ！』
 
 
そんな琴菜の叫びが遠くから聞こえた気がした 
ごめんね琴菜…声が出ないんだ。返事出来ないや…もっといっぱいやりたいことあったのにな… 
最後の最後で琴菜を守りきれずに先に死んじゃうなんて、私はやっぱり駄目だなぁ…