私の中の僕

towa1999

再スタート

私の涙は水道みたいに止まらなかった。
今日は、運が回ってくるような日でも何でもなく、最悪の日だった。もうすぐ私の命の消費期限は切れてしまう。
涙を拭けば、隣に新人の矢野先生がいた。
“井崎さん、今後の方向、橋下先生から話がありますから、戻りましょう。”
矢野先生のそんな優しいぽい話し方に腹が立った。私は彼に舌打ちをした。
(あの新人医者は面倒い患者に当たったとおもうだろう。)
矢野は言った。”今度からは、車道に飛びなさないでください。”
“ええ。分かってます。一人で戻れますから。”
その時、私は自分が車道に出た事に気付いた。誰かが、私に言った事思い出した。死にたいと思っていた私に死んじゃダメって止めて来た誰かがいる事に。
(誰なんだろう。誰ですか。)

診察室に戻ると、橋下先生が言った。
“今週の土曜にまた予約取っておいたから、その日に来てください”
橋下先生の顔は青ざめていた。



医者は大丈夫とかそんな無責任なことはいってはいけないけど、橋下先生は大丈夫だという。

私が中学に入ったころ、橋下先生は言った。
“医者は大丈夫と言わないことが多い。でも、私は今言います。葵ちゃんは大丈夫だって、それは自分に言ってるのものだから。葵ちゃんには大丈夫だって思って欲しいから。死という恐怖で今の人生を無駄にして欲しくないから。今ほら、生きてる。大丈夫だよ。”
私はそんなちょっと無責任な医者を信じている。でも、限界を今感じて来ている。



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