Virtual World of WarⅢ・仮想世界の戦争
第13話
日本国大阪市某所。
彼らはある遊園地にいた。
「先生…」
「どうした?」
「いえ…、先生は何故政界に入ることにしたんですか?」
「…。」
先生は観覧車の中で静かに外の景色を見ていた。
「秘書君、理想的な指導者とは何だと思う?」
「理想的…、ですか…?」
「左様」
秘書は必死に考えた。理想的な指導者とは何か…?
「…。すみません、思いつかないです」
「だろうな…。理想的な指導者は私欲で動かされることなく、強くカリスマ力もあり、民衆をも虜にできる公約と演説力が必要だ。だがね…、君はこれらすべてを携えた政治家を見たことはあるか?」
「……。」
今度は秘書の男が黙り込んだ。
「私はね、これらすべてを携えた男になりたかったのだよ…。だが、現実はそう甘くはない。結局私は私欲に物を動かされ、それに抵抗する力もなくなった。衆議院議員でしかなくなったのだよ…」
「…!そんなことは…」
「いいんだ…。君も政界に入るには十分注意したまえ。絶対に金で動かされる政治家になるな」
観覧車は静かにゆっくりと地面へ近づいていった。
そして彼らはまた、静かに無言のまま観覧車のゴンドラを降りていった。
♦♦♦
初期リス地点の広場の一角、そこに俺はたたずんでいた。
周囲にはプレイヤーと思わしき人たちで溢れかえり、広場の様々な場所では武器や食料など様々な露店が並んでいた。
その理由はフレンド申請が来た俺の幼馴染兼母親(本人談)の神奈 柚木を待つことである。
フレンド登録をすると、ログイン中か否かや殿ゲームにログイン中かなど一通りのことを把握できる。
そのユズはというと…
「お待たせしました~」
相変わらずのゆるぽわどでやってきた。
「ええっと、ユズさんで間違いないかな?」
「そうだよ~。ええっと…先生は諭吉ちゃん出会ってるよね…?」
「そうだけど…。あんまり本名で呼ぶなよ…?」
「はぁい…?ん?あれ?」
「どうした?」
自分用のウィンドウを覗いていた柚木が、ポピュ?と首を傾げた。
「ねぇ先生…。何で基本値が0なの?」
「はぁ?どういうことだ?」
「だって、ほらここ…」
そういい柚木…もといユズは自分のウィンドウを他人にも見えるようにした。
そして、フレンドリストのところの俺をよく見てみると…。
「なっ?!えっ?」
そこにはこう書かれていた。
・HP、100
・MP、100
・忍耐力、0
・技術力、0
・特殊能力なし
ってええ?!!
「ちょ…、これ…」
「先生…。」
俺は絶句した。この数値は常識というよりシステム上あり得ないはずだ。何せ、所属兵科が無くてもある程度の補正はかかり、平等的に分配される。つまり忍耐力や技術力がオール0はありあえなはずだ…。なのに…
「何で…?0…?」
2度見してしまうほど衝撃的であった。
「先生…。運営に問い合わせてみる?」
「…。そうだな…ちょっと落ちるな…」
「うん、そっかぁ…。もう遅いし私も落ちるよ。」
「そうか…」
俺は首元をダブルクリックした。
ウィンドウが表示され、俺は底のゲームを終了するを選択する。なおセーブは基本的に自動的に行われているが、抜けるときでもセーブは出来るので、心配だったらそっちの方がいいと思う。
「じゃあね~」
「おう」
ユズがログアウトし、アバターが消えていくのを確認したら、俺もログアウトボタンを押す。
視界が暗くなっていき、次の瞬間、俺の意識はリビングのソファーに座っている現実世界の俺へと戻っていく。
ヘッドギアを外し、テーブルの上に置かれていたVR付属の小型端末の電源を入れた。
メニュー画面が表示され、画面の一番下…『?』と書かれているところをタップした。
『はい、こちらはサポートセンターです。ご用件をお選びください
・質問、感想
・ゲームの不具合
・お問い合わせ
・ルールの確認』
ゲームの不具合と書かれたところをタップする。
『ゲームの不具合ですね。内容をお伝えください』
記入欄が表示され、そこを埋めていく。
『…。以下で間違いないでしょうか』
はい。
『運営に問い合わせをしました。返事が来るまで少々お待ちください』
数分が経過し、運営からの返事が来た。
だが、俺はその内容に目を見張った。運営は…
『お客様のプレイヤーIDから確認しましたところ、確かに不具合がございました。ですがサーバーシステム上1度設定されたアカウント情報は再入力できません。再入力を行う方法はデータの消去は望ましいですが、もしかすれば不具合は治らない恐れもございます。サーバーを管理するAIシステムを現在確認中ですが、独立したAIによって作られたデーターを書き換えられることは出来ません。申し訳ありませんが諦めてください。』
つまり、不具合によって俺のスペックは世界で一番最弱という事になった。
彼らはある遊園地にいた。
「先生…」
「どうした?」
「いえ…、先生は何故政界に入ることにしたんですか?」
「…。」
先生は観覧車の中で静かに外の景色を見ていた。
「秘書君、理想的な指導者とは何だと思う?」
「理想的…、ですか…?」
「左様」
秘書は必死に考えた。理想的な指導者とは何か…?
「…。すみません、思いつかないです」
「だろうな…。理想的な指導者は私欲で動かされることなく、強くカリスマ力もあり、民衆をも虜にできる公約と演説力が必要だ。だがね…、君はこれらすべてを携えた政治家を見たことはあるか?」
「……。」
今度は秘書の男が黙り込んだ。
「私はね、これらすべてを携えた男になりたかったのだよ…。だが、現実はそう甘くはない。結局私は私欲に物を動かされ、それに抵抗する力もなくなった。衆議院議員でしかなくなったのだよ…」
「…!そんなことは…」
「いいんだ…。君も政界に入るには十分注意したまえ。絶対に金で動かされる政治家になるな」
観覧車は静かにゆっくりと地面へ近づいていった。
そして彼らはまた、静かに無言のまま観覧車のゴンドラを降りていった。
♦♦♦
初期リス地点の広場の一角、そこに俺はたたずんでいた。
周囲にはプレイヤーと思わしき人たちで溢れかえり、広場の様々な場所では武器や食料など様々な露店が並んでいた。
その理由はフレンド申請が来た俺の幼馴染兼母親(本人談)の神奈 柚木を待つことである。
フレンド登録をすると、ログイン中か否かや殿ゲームにログイン中かなど一通りのことを把握できる。
そのユズはというと…
「お待たせしました~」
相変わらずのゆるぽわどでやってきた。
「ええっと、ユズさんで間違いないかな?」
「そうだよ~。ええっと…先生は諭吉ちゃん出会ってるよね…?」
「そうだけど…。あんまり本名で呼ぶなよ…?」
「はぁい…?ん?あれ?」
「どうした?」
自分用のウィンドウを覗いていた柚木が、ポピュ?と首を傾げた。
「ねぇ先生…。何で基本値が0なの?」
「はぁ?どういうことだ?」
「だって、ほらここ…」
そういい柚木…もといユズは自分のウィンドウを他人にも見えるようにした。
そして、フレンドリストのところの俺をよく見てみると…。
「なっ?!えっ?」
そこにはこう書かれていた。
・HP、100
・MP、100
・忍耐力、0
・技術力、0
・特殊能力なし
ってええ?!!
「ちょ…、これ…」
「先生…。」
俺は絶句した。この数値は常識というよりシステム上あり得ないはずだ。何せ、所属兵科が無くてもある程度の補正はかかり、平等的に分配される。つまり忍耐力や技術力がオール0はありあえなはずだ…。なのに…
「何で…?0…?」
2度見してしまうほど衝撃的であった。
「先生…。運営に問い合わせてみる?」
「…。そうだな…ちょっと落ちるな…」
「うん、そっかぁ…。もう遅いし私も落ちるよ。」
「そうか…」
俺は首元をダブルクリックした。
ウィンドウが表示され、俺は底のゲームを終了するを選択する。なおセーブは基本的に自動的に行われているが、抜けるときでもセーブは出来るので、心配だったらそっちの方がいいと思う。
「じゃあね~」
「おう」
ユズがログアウトし、アバターが消えていくのを確認したら、俺もログアウトボタンを押す。
視界が暗くなっていき、次の瞬間、俺の意識はリビングのソファーに座っている現実世界の俺へと戻っていく。
ヘッドギアを外し、テーブルの上に置かれていたVR付属の小型端末の電源を入れた。
メニュー画面が表示され、画面の一番下…『?』と書かれているところをタップした。
『はい、こちらはサポートセンターです。ご用件をお選びください
・質問、感想
・ゲームの不具合
・お問い合わせ
・ルールの確認』
ゲームの不具合と書かれたところをタップする。
『ゲームの不具合ですね。内容をお伝えください』
記入欄が表示され、そこを埋めていく。
『…。以下で間違いないでしょうか』
はい。
『運営に問い合わせをしました。返事が来るまで少々お待ちください』
数分が経過し、運営からの返事が来た。
だが、俺はその内容に目を見張った。運営は…
『お客様のプレイヤーIDから確認しましたところ、確かに不具合がございました。ですがサーバーシステム上1度設定されたアカウント情報は再入力できません。再入力を行う方法はデータの消去は望ましいですが、もしかすれば不具合は治らない恐れもございます。サーバーを管理するAIシステムを現在確認中ですが、独立したAIによって作られたデーターを書き換えられることは出来ません。申し訳ありませんが諦めてください。』
つまり、不具合によって俺のスペックは世界で一番最弱という事になった。
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