ガチャで爆死したら異世界転移しました
冒険者学校 ④ 条件
「さぁみんな席について。授業の前に、新しい仲間を紹介する・・・さ、入って」
促されたレインは教室に入り、教壇の横まで進む。
「・・・レイン・グレスティアです。よろしく」
「・・・・・・」
「・・・では、グレスティア君は空いている好きなところに座ってくれ」
何故か静まり返る教室で、レインは困惑しながらその辺の空いている席をさがす。
「・・・よろしく」
講義室のように、教壇に向かってすり鉢状に低くなっている教室の後ろ──1番高い所──に座ったレインは、誰も微動だにしないので不安になり、試しに隣の机に座っていた少年に話しかけた。
「・・・え、あ、えっと・・・よ、よろしく…お願いします」
少年は何故かおどおどしながら答え、あとは下を向いて黙ってしまった。
(んん?教室に入る前はなんかすごい賑やかだったのに、僕が入った途端のこの静寂・・・なんでだろうか?)
実はその教室にいるすべての男子が緊張で口がきけなかったことに、レインは気付かなった。
「・・・で、カイル。僕はどういった条件を要求されるのかな?」
今レインは、王様からの伝言を伝えに来たカイルと話していた。
どういった、というのは、レインが冒険者学校に入るにあたっての細かな条件である。
「俺が陛下から言付かったのは、大きく分けて二つ。まずは一つ目。聞いた通り、君が学園に入学するのは国からの調査員としてだ。だからではないけど・・・陛下は、ティア君には協力の必要はないって言ってたけど、できれば少しだけでも力を貸してくれないか?」
「うん、別にいいよ。まぁもともとそれに関しては協力するつもりだったし」
「そうか、ありがとう・・・そして二つ目なんだけど・・・学園内で、君の力をセーブしてほしいんだよね。もちろん、明確な危険が迫った場合などはその限りではないんだけど・・・」
「おーけー、分かった・・・あ、それだけなんだ」
「あぁ、それだけ、なんだけど・・・いいのかい?」
カイルはレインが条件を呑まないと思っていたのか、若干驚いているようだ。
そんな彼にレインは微笑む。
「ん?いやだって言ったほうがよかった?」
実を言うとレインは、こんなに簡単に学園に入れるなど思っていなかったため、カイルの言った二つの条件などもとから拒否する気がなかったのである。
「いや、正直とても助かるよ・・・そして、ここからは単に個人的な興味なんだけど・・・一体君の本当の実力はどれほどなんだい?さっきの試合も、僕との試合だって、君は全然本気ではなかっただろう?」
「ん~」
カイルは信用のおける人物だが、果たして教えてもいいのだろうか。悩むレインだが、よくよく考えると、自分で自身の本当の実力を確信していないのだ。それに、もし仮にゲームでの実力のままだったなら・・・どんな対応をされるかわからない。言うべきではないだろうと、結論を出す。
「ん~・・・すまないけど、今は言えないかな」
「そうか。まぁ、君から言ってくれるまで待つことにするよ・・・・・・じゃあ、もう一つ。その・・・顔を見せてくれないかな」
今レインの顔は黒いコートの長い襟によって下半分が隠れ、さらにとんがり帽の鍔で暗くなっている。おそらくカイルからはレインの真紅の目くらいしか見えていないだろう。そんな状態でも、レインがため息の出るほどの美貌を持っていることは、誰の目にも明らかだろうが。
だとしても、これは言われても仕方がないし、カイルになら別に見せてもいいだろうとレインも思っていた。
「うん。そのくらいならいいけど」
レインは帽子を脱ぎ、襟を下に引いて顎で抑える。
「・・・・・・・・・」
「・・・そんなに見つめられるとちょっと恥ずかしんだけど・・・もういいかな?」
「・・・あっ・・・あぁ、ありがとう。もう大丈夫・・・」
心なしか、カイルの顔は赤くなっていた。
「・・・そ、それにしても、なんでいつもそんな恰好をしてるんだ?」
「なんでって言われても、この格好が好きだからだけど」
もったいない、そう思うカイルだが、本人がこれがいいと言っているのだ、とやかく言うのは無粋というものだろう。
「分かった。これで僕からの話は終わりだ、予定では明後日にはすべての手続きが終わるから、それまでにティア君の方でも準備をしておいてくれ」
「うん。じゃあ、明後日に学園の方に行けばいいのね?」
「そうなるね。じゃ、俺はこれで」
「じゃね」
カイルは賢者の食卓を後にする。
「学校か・・・向こうではあんなに行きたくなかったのに、いざ無くなると、特別な目的があるとはいえ、なぜか行ってみたくなるんだよね・・・」
促されたレインは教室に入り、教壇の横まで進む。
「・・・レイン・グレスティアです。よろしく」
「・・・・・・」
「・・・では、グレスティア君は空いている好きなところに座ってくれ」
何故か静まり返る教室で、レインは困惑しながらその辺の空いている席をさがす。
「・・・よろしく」
講義室のように、教壇に向かってすり鉢状に低くなっている教室の後ろ──1番高い所──に座ったレインは、誰も微動だにしないので不安になり、試しに隣の机に座っていた少年に話しかけた。
「・・・え、あ、えっと・・・よ、よろしく…お願いします」
少年は何故かおどおどしながら答え、あとは下を向いて黙ってしまった。
(んん?教室に入る前はなんかすごい賑やかだったのに、僕が入った途端のこの静寂・・・なんでだろうか?)
実はその教室にいるすべての男子が緊張で口がきけなかったことに、レインは気付かなった。
「・・・で、カイル。僕はどういった条件を要求されるのかな?」
今レインは、王様からの伝言を伝えに来たカイルと話していた。
どういった、というのは、レインが冒険者学校に入るにあたっての細かな条件である。
「俺が陛下から言付かったのは、大きく分けて二つ。まずは一つ目。聞いた通り、君が学園に入学するのは国からの調査員としてだ。だからではないけど・・・陛下は、ティア君には協力の必要はないって言ってたけど、できれば少しだけでも力を貸してくれないか?」
「うん、別にいいよ。まぁもともとそれに関しては協力するつもりだったし」
「そうか、ありがとう・・・そして二つ目なんだけど・・・学園内で、君の力をセーブしてほしいんだよね。もちろん、明確な危険が迫った場合などはその限りではないんだけど・・・」
「おーけー、分かった・・・あ、それだけなんだ」
「あぁ、それだけ、なんだけど・・・いいのかい?」
カイルはレインが条件を呑まないと思っていたのか、若干驚いているようだ。
そんな彼にレインは微笑む。
「ん?いやだって言ったほうがよかった?」
実を言うとレインは、こんなに簡単に学園に入れるなど思っていなかったため、カイルの言った二つの条件などもとから拒否する気がなかったのである。
「いや、正直とても助かるよ・・・そして、ここからは単に個人的な興味なんだけど・・・一体君の本当の実力はどれほどなんだい?さっきの試合も、僕との試合だって、君は全然本気ではなかっただろう?」
「ん~」
カイルは信用のおける人物だが、果たして教えてもいいのだろうか。悩むレインだが、よくよく考えると、自分で自身の本当の実力を確信していないのだ。それに、もし仮にゲームでの実力のままだったなら・・・どんな対応をされるかわからない。言うべきではないだろうと、結論を出す。
「ん~・・・すまないけど、今は言えないかな」
「そうか。まぁ、君から言ってくれるまで待つことにするよ・・・・・・じゃあ、もう一つ。その・・・顔を見せてくれないかな」
今レインの顔は黒いコートの長い襟によって下半分が隠れ、さらにとんがり帽の鍔で暗くなっている。おそらくカイルからはレインの真紅の目くらいしか見えていないだろう。そんな状態でも、レインがため息の出るほどの美貌を持っていることは、誰の目にも明らかだろうが。
だとしても、これは言われても仕方がないし、カイルになら別に見せてもいいだろうとレインも思っていた。
「うん。そのくらいならいいけど」
レインは帽子を脱ぎ、襟を下に引いて顎で抑える。
「・・・・・・・・・」
「・・・そんなに見つめられるとちょっと恥ずかしんだけど・・・もういいかな?」
「・・・あっ・・・あぁ、ありがとう。もう大丈夫・・・」
心なしか、カイルの顔は赤くなっていた。
「・・・そ、それにしても、なんでいつもそんな恰好をしてるんだ?」
「なんでって言われても、この格好が好きだからだけど」
もったいない、そう思うカイルだが、本人がこれがいいと言っているのだ、とやかく言うのは無粋というものだろう。
「分かった。これで僕からの話は終わりだ、予定では明後日にはすべての手続きが終わるから、それまでにティア君の方でも準備をしておいてくれ」
「うん。じゃあ、明後日に学園の方に行けばいいのね?」
「そうなるね。じゃ、俺はこれで」
「じゃね」
カイルは賢者の食卓を後にする。
「学校か・・・向こうではあんなに行きたくなかったのに、いざ無くなると、特別な目的があるとはいえ、なぜか行ってみたくなるんだよね・・・」
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