ガチャで爆死したら異世界転移しました

ひやし

味と味覚の証明

「こんばんわー」

「あらいらっしゃい、グレスティア。」

僕達が賢者の食卓に入ると、カウンターにいたおばさんがすぐに声をかけてきた。

あぁ、この世界に来て初めて僕を女の子と間違われなかった。・・・それにしても、グレスティアって呼びにくそうだな…そうだ。

「グレスティアでは呼びにくだろうし、ティアでいいですよ。あ、今日は取り敢えず一泊でいいです」

僕は袋から銀貨を12枚取り出し、おばさんに手渡す。

「あらそう?じゃあティア君、ね。夜ごはんはすぐ食べる?」

女の子っぽいとか言っていたが、そこまで嫌いではないので他の人にもこう呼んでもらうことにしよう。

「はい、食べます」

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「・・・美味しい」

「美味しいですね」

うんうん。やはりメアとルーナからしてもおばさんの料理は物凄く美味しいようだ。僕は日本でカップ麺ばかり食べていたので味覚がおかしくなっていたのではと少し思っていたのだ。これで僕の味覚とおばさんの料理の美味しさが証明された。

「「「・・・ご馳走様でした」」」

やはり大量に出てきた料理が、あっという間に3人の胃袋の中に消えた。因みにサラはまだ目を覚ましそうになかったので部屋で眠っている。

「そういえば、二人はティア君のお姉さん?」

「え!?い、いえ。違います!」

「オ、オネエサン? 主様の……オネエ…サン?」

おばさんがいきなり聞いてきて2人が驚く。2人とも僕より背が高いのでそう思ったのだろう。

「あら、そうだったの?ごめんなさいね、二人とも凄く美人さんだからちょっと嫉妬しちゃって」

「い、いえ、お気になさらず」

「それじゃ、食器を片付けちゃうから何かあったら厨房に来てね」

おばさんは僕達が使った食器を手に厨房へと入っていった。それにしても、すごく美人って。自分が制作したキャラが褒められると自分が褒められてるみたいで嬉しいな。

「お姉さん?主様のお姉さん……」

というかメアの様子が変だ。

「メア? おーいメア?」

「主様が「お姉ちゃん」とか言ったら……あぁ、「姉さん」でもいいわ……はっ!はい、なんでしょうか主様?」

「・・・い、いや。何でもないよ」

僕は何も見ていなかったんだよ。うん。

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「では私達の部屋はここですので。明日の朝お迎えにあがります」

「・・・」

「おう。おやすみ」

頬を膨らませ、これでもかと言うほどムスッとしたメアを、ルーナが部屋へ引っ張っていく。

なぜメアがそんなことになったかというと、賢者の食卓の部屋は全てベットが2つしかなく僕達は4人なので2部屋とったのだ。そしてメアは、僕とメア、サラとルーナというふうに別れると思っていたらしいのだが、部屋に向かう時にルーナに僕がサラを看ていて欲しいと言われた。身の危険を感じていた僕はそれを了承したところ、こうなったという訳だ。性が無くなったとはいえ、何をされるかわからない以上あまり無防備を晒すのはやめた方がいいだろうしな。

そんなこんなで、僕とサラがあてがわれた部屋に着いた。一応ノックして入るか。

「・・・サラ。入るぞ」

入ると、サラはまだ眠っていた。

「ふむ。やっぱりサラはまだ習熟も終わってなかったし、負担が大きかったのか。これからは補助詠唱の程度も考えていかないとな」

EOWでの【技】は、レベルとは別に習熟度というものがある。レベルが9であるのは【技】を使用する上で前提条件のようなもので、習熟度を上げる方が重要でレベルを上げることよりも性能が大きく上昇するのだ。サラは制作してまだ間もなかったし、習熟度もそれぞれ四分の一程しか上げられていなかった。

「ぁ…る…じ……さま…」

「!!」

起こしてしまったのかと思いびっくりしてサラの方を見るが、ただの寝言だったらしい。気持ちよさそうに眠っている。

「・・・寝るか」

僕は無理に起こしてしまわないように、すぐに寝ることにした。

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皆が寝静まった頃、その女の子は無性な寂しさを感じてベットから起き上がる。

「・・・?」

その子はその寂しさを癒すため、寝ぼけたまま隣のベットへと潜っていく。安心したその子は、また深い眠りへと落ちていく。

「ぁぅぃ…ぁ……」



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