ガチャで爆死したら異世界転移しました

ひやし

調査⑤ メア ルーナ視点

近くで大きな戦闘音がしたので、ルーナは例の謎の痕へ向かっていた。メアは転移の魔法で既に向かっている。紅華はギルド長の仕事があると言って少し前にギルドへ出発していた。
ルーナが痕に着いた時には、戦闘は終わっていた。メアとルーナは戦闘の痕を観察する。

「音の正体はあそこで寝ている黒竜よ。なぜこんなところにいるんでしょうね」

メアがルーナにそう伝え、ルーナは【天眼】で黒竜を観察する。

「鑑定の結果、あの黒竜は成体。黒竜にしてはそこそこ強い個体のようです。倒しますか?」

竜族と言えど黒竜。ルーナならばそこまで苦戦することもなく倒すことが出来るだろう。

「いえ、誰か来るわ。!!あれは…主様?!何故こんなところに?」

「主様…あれ、怒ってません?魔力が制御しきれずに溢れだしてますよ」

「えぇ。あれは怒ってるわ…ガチなやつね…」

距離にして少なくとも1kmは離れているだろうここにまで魔力の波動が届いてくる。

「凄まじいほどの魔力ね…」

「はい。流石は主様、これ程とは…」

この世界では考えられないほどのステータスを持つ2人でも、気を抜くと震えてしまいそうな程だ。しかし、その魔力も段々と制御されていく。

そのまま観察していると、黒竜と何か会話をし始めた。そしていきなり、黒竜が目にも止まらぬ速度で尻尾をレインに向け振り落とした。

「ルーナ!!あれ!主様大丈夫?!潰れてない?!」

「大丈夫ですよメア。あの程度の攻撃では主様にはまず当たりませんよ」

ルーナがメアをなだめていると。急に黒竜が奇妙な動きをし出す。

「ねぇルーナ。黒竜は何を踊っているの?まさか踏舞系のスキルを使っているの?」

「竜族が踏舞系のスキルを使うなど聞いたことがないですが。というか私の【感知】から主様の反応が消えました」

レインが【秘匿】を使ったので、ルーナの【感知】では捉えられなくなったのだ。

「え?主様どこ?!私にも見えないわ!」

「主様の何らかのスキルかと」

少しすると、先程と同じところにレインが出現した。

「あ!主様いたわ!動いてなかったのね。言葉巧みに黒竜で遊んでいたという事?この世界では最強と言われる竜族でさえ玩具にするなんて、流石は主様だわ!!」

「はぁ…そうですね」

ルーナが適当に返していると、黒竜がブレスを吐き、レインがなにか呟く。

「あれは…黒炎?中位魔法でさえ追加詠唱もなしで竜族のブレスをいとも簡単に飲み込むのですか…」

そしてまた黒竜とレインは会話をする。

「何を話しているのかしら、私も聞いてみたいわ」

「この距離での会話を聞くとなると、【遠聴】か【読唇】が必要ですね」

「・・・・・・」

「どうしました?メア」

「・・・!!まずいっ!対複合魔法のありったけの備えを!!私はサラのとこに行きます!!」

「えっ?は、はい。了解しました」

すぐにメアは転移をする。ルーナはメアの切り替えように少し驚くが、すぐに指示の通りにする。普段はレインのことばかり考えているメアだが、本当に何かがあった時はすぐに切り替え適切な指示をくれるからだ。

「【複合魔法障壁】【障壁強化】【多重魔法結界】【障壁結界融合強化】・・・なっ!!」

ルーナが一通りの魔法を唱え終えた瞬間、それ・・は起きた。

「こんな・・・一体どれほどの量・・・はっ!【魔法耐性】!!【全属性耐性強化】!!【対魔法再生】!!【魔力緩和】!!【対魔の瘴気】!!」

予想を遥かに上回る魔法を予感したルーナは、かつて発動したこともないほどの量の魔法を詠唱する。エルフ種であるルーナは支援系魔法への良位適正を持っているため、詠唱はすぐに完了した。今の結界、耐性がもし打撃特化だとしたら、戦侍である紅華の全力の一撃でさえ数合ならば耐えられるだろう。しかしそれでもなお、ルーナには分からなかった。

「これ…防げるの……?」

レインの放つ、何千にもなろうかという魔法陣が展開された上位魔法・・・・一撃を耐えられるのかが。

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