選ばれし100年の最弱剣士~100年前まで最強でしたが今や最弱採取係です~
第12話 アルフアは復興したようです。
アスフィ宅へ行く途中、様々な質問が飛び交った。
その答えをまとめてみよう。
まず、どうして地中の搭とアルフアが繋がっているのか。
それはエルフが人類との交易を再開したいがためらしい。
約100年前まで、隣り合う形で妖精の国「アルフア」と人類の国「ルガミス」が存在していた。両国の行き来は容易であったため、交易も盛んに行われていた。
しかしある日、アルフアに大穴が出現し、闇がとぐろを巻き始めて伝説の竜「ヘルヘイム」が召喚された。
それにより、世界最大の国土面積を持っていたアルフアは半分を焼け野原にされ、ルガミスも大移動を強いられた。故にその後は交易などは行うことができていない。
次になぜアルフアと地中の搭が繋がっているのかという疑問だ。
ルガミスは大移動後、失われたアルフアの国土に面した山脈を越えた先の、標高の高い土地に領土を持った。
対してアルフアの失われた国土の半分は深く抉られ、そこの標高は200m近く下がった。
後に、ルガミスとの交易を再開を求めたアルフアは、半世紀以上を費やしてルガミスの土地へ向け、山脈にトンネルを掘ったのだという。
だが、その先にあったのは仄暗い一部屋。
ルガミスの最東端の街「イギア」の地下にある、地中の搭第286層の隠し部屋だったらしい。
エルフたちはそこからは為す術なく、そのままにしていたようだ。
「でも、なんで山脈とは関係ないあの崖にゲートで繋がってるんだ?」
「その方が近くて良いじゃろ?」
その答えには苦笑いを返すしかないイール。
階段を下りた後、大きな森を抜けて街へ入った七人。
街にはイギアほどの規模ではないが、商店街などもあり賑わっている。
八百屋だろうか。人類の国「ルガミス」では食べられないような青色や紫色の果物などが見える。
美味しいのかな…?
売る人も、買う人も耳が長く尖っている。些細な事だが新鮮味がある光景だ。
メガネ屋さんもある。最近のエルフの流行なのだろうか。
エルフ用にしっかりと、耳の部分は普通よりも大きく弧を描いている。
種族の違いはあるものの、生活は大きく異なることはない。近い存在であるのを強く実感する。
商店街を抜け、狭い路地に入った。洗濯物が建物の間に干してあり、生活感がある。
路地をくねくねと進んでいくと少し広くなり、そこに「診療所」と書かれた看板をぶら下げる、比較的大きな建物が見えた。
アスフィがその看板を指差して口を開く。
「あそこがワシの家じゃ。まだ彼女が寝てるかも知れん。できるだけ静かにお願いするぞ。」
「お前、診療所なんて始めたんだな。」
「回復魔法には自信があるからのぉ。さ、入れ。」
アスフィは家のドアを開けて最初に入る。それに続いて六人も頭を下げて入った。
中は広々としていて、カウンターと診察台、待つ用のソファ、そしてカルテなどがしまってあるのであろうデスク以外は何もなかった。
奥には階段が見える。二階からは何も聞こえないが、アスフィの部屋や冒険者が寝ている部屋があるのだろう。
「なんか、殺風景だな。」
「ライ、そういうことは言っちゃダメでしょ。」
空気の読めない姉とそれを指摘する妹の声が部屋を飛ぶ。
妹は姉の頭をコツンと叩いている。
「いいんじゃよ。事実そうじゃし、物が少ない方がやりやすいんじゃ。」
自然な笑顔で意見を述べるアスフィ。全く怒っていないようだ。
アスフィは階段の方へ進む。
「ワシは女の子の様子を見てくる。ゆっくりしていてくれ。ヴィアナ、お茶でもお出ししなさい。」
そう言って階段を上り始めた。
ヴィアナは診察台の奥にあるドアを開けて中へ入る。
給湯室なのだろう。
五人はソファに腰をかけ、ヴィアナのお茶を待った。
「ヘルヘイム討伐以前のように、アルフアも活気が出てきていますね。」
街を見た感想を上手くまとめたハルの顔には安堵が見える。
国の半分を失ったということは、国民も半分になったということだ。復興にも時間がかかっただろう。
ヘルヘイム討伐を成功させた国であれば、犠牲となった国を心配するのは当然だ。
「でも、あの事件まだ謎多い。エルフみんなヘルヘイムを恨んでるはず。」
ハルとは違って無表情のユキは、別の角度から見ていたようだ。
「だけど、とりあえず今は冒険者ちゃんだろ。硬い話はまた後でだ。」
無理やり本題へ戻したのは銀髪くんだ。
頭の後ろで両手を組んでソファに寄りかかっている。
少しして給湯室の扉が開き、お盆を持ったヴィアナが出てくる。上には湯気の立った湯飲みが6つ。
「お待たせしました。どうぞ。」
面白いほど腰が低くなったヴィアナは一人一人に湯飲みを渡していく。
熱かったのでみんな底と上に手を置いて受け取った。
「サンキューな。」
そう言ってイールが口をつけようとしたとき。
ドタドタと階段を下りてくる音が響いてきた。
もちろん下りてきたのはアスフィ。だが、その表情は焦っているように思える。
「た、大変じゃ!おらぬ!あの子がおらぬ!」
その答えをまとめてみよう。
まず、どうして地中の搭とアルフアが繋がっているのか。
それはエルフが人類との交易を再開したいがためらしい。
約100年前まで、隣り合う形で妖精の国「アルフア」と人類の国「ルガミス」が存在していた。両国の行き来は容易であったため、交易も盛んに行われていた。
しかしある日、アルフアに大穴が出現し、闇がとぐろを巻き始めて伝説の竜「ヘルヘイム」が召喚された。
それにより、世界最大の国土面積を持っていたアルフアは半分を焼け野原にされ、ルガミスも大移動を強いられた。故にその後は交易などは行うことができていない。
次になぜアルフアと地中の搭が繋がっているのかという疑問だ。
ルガミスは大移動後、失われたアルフアの国土に面した山脈を越えた先の、標高の高い土地に領土を持った。
対してアルフアの失われた国土の半分は深く抉られ、そこの標高は200m近く下がった。
後に、ルガミスとの交易を再開を求めたアルフアは、半世紀以上を費やしてルガミスの土地へ向け、山脈にトンネルを掘ったのだという。
だが、その先にあったのは仄暗い一部屋。
ルガミスの最東端の街「イギア」の地下にある、地中の搭第286層の隠し部屋だったらしい。
エルフたちはそこからは為す術なく、そのままにしていたようだ。
「でも、なんで山脈とは関係ないあの崖にゲートで繋がってるんだ?」
「その方が近くて良いじゃろ?」
その答えには苦笑いを返すしかないイール。
階段を下りた後、大きな森を抜けて街へ入った七人。
街にはイギアほどの規模ではないが、商店街などもあり賑わっている。
八百屋だろうか。人類の国「ルガミス」では食べられないような青色や紫色の果物などが見える。
美味しいのかな…?
売る人も、買う人も耳が長く尖っている。些細な事だが新鮮味がある光景だ。
メガネ屋さんもある。最近のエルフの流行なのだろうか。
エルフ用にしっかりと、耳の部分は普通よりも大きく弧を描いている。
種族の違いはあるものの、生活は大きく異なることはない。近い存在であるのを強く実感する。
商店街を抜け、狭い路地に入った。洗濯物が建物の間に干してあり、生活感がある。
路地をくねくねと進んでいくと少し広くなり、そこに「診療所」と書かれた看板をぶら下げる、比較的大きな建物が見えた。
アスフィがその看板を指差して口を開く。
「あそこがワシの家じゃ。まだ彼女が寝てるかも知れん。できるだけ静かにお願いするぞ。」
「お前、診療所なんて始めたんだな。」
「回復魔法には自信があるからのぉ。さ、入れ。」
アスフィは家のドアを開けて最初に入る。それに続いて六人も頭を下げて入った。
中は広々としていて、カウンターと診察台、待つ用のソファ、そしてカルテなどがしまってあるのであろうデスク以外は何もなかった。
奥には階段が見える。二階からは何も聞こえないが、アスフィの部屋や冒険者が寝ている部屋があるのだろう。
「なんか、殺風景だな。」
「ライ、そういうことは言っちゃダメでしょ。」
空気の読めない姉とそれを指摘する妹の声が部屋を飛ぶ。
妹は姉の頭をコツンと叩いている。
「いいんじゃよ。事実そうじゃし、物が少ない方がやりやすいんじゃ。」
自然な笑顔で意見を述べるアスフィ。全く怒っていないようだ。
アスフィは階段の方へ進む。
「ワシは女の子の様子を見てくる。ゆっくりしていてくれ。ヴィアナ、お茶でもお出ししなさい。」
そう言って階段を上り始めた。
ヴィアナは診察台の奥にあるドアを開けて中へ入る。
給湯室なのだろう。
五人はソファに腰をかけ、ヴィアナのお茶を待った。
「ヘルヘイム討伐以前のように、アルフアも活気が出てきていますね。」
街を見た感想を上手くまとめたハルの顔には安堵が見える。
国の半分を失ったということは、国民も半分になったということだ。復興にも時間がかかっただろう。
ヘルヘイム討伐を成功させた国であれば、犠牲となった国を心配するのは当然だ。
「でも、あの事件まだ謎多い。エルフみんなヘルヘイムを恨んでるはず。」
ハルとは違って無表情のユキは、別の角度から見ていたようだ。
「だけど、とりあえず今は冒険者ちゃんだろ。硬い話はまた後でだ。」
無理やり本題へ戻したのは銀髪くんだ。
頭の後ろで両手を組んでソファに寄りかかっている。
少しして給湯室の扉が開き、お盆を持ったヴィアナが出てくる。上には湯気の立った湯飲みが6つ。
「お待たせしました。どうぞ。」
面白いほど腰が低くなったヴィアナは一人一人に湯飲みを渡していく。
熱かったのでみんな底と上に手を置いて受け取った。
「サンキューな。」
そう言ってイールが口をつけようとしたとき。
ドタドタと階段を下りてくる音が響いてきた。
もちろん下りてきたのはアスフィ。だが、その表情は焦っているように思える。
「た、大変じゃ!おらぬ!あの子がおらぬ!」
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