人違いで異世界に召喚されたが、その後美少女ハーレム状態になった件

あまたつ

第40話 幻想的な件

 駅を出てすぐに現れた目の前の光景に、俺は驚き、目を見張った。

「…………すげえ」

 小さく呟くように、ポツリと声が漏れる。
 チラと隣に視線を向ければ、ルイが俺と同じように、目の前の光景に釘付けになっていた。

 俺はもう一度目線を前にむける。
 その光景は、なんとも信じ難いものだった。

 驚いて目を見張っていた、ではないな。どちらかと言うなら、見惚れていた・・・・・・、と言うのが正しいだろう。

 さて、そろそろ読者の皆にも、この光景がどんな物なのか説明しなきゃな。

 一言で表すなら、「幻想的」だ。
 辺り一面は赤や黄色の花々が綺麗に咲き誇っており、キラキラと輝く日差しが、その花々を煌々と輝かせる。
 暖かく、陽気な風が俺たちの間を抜けていき、花びらがふわりと宙に舞った。

 見渡す限り建物らしいものはなく、綺麗に舗装された一筋の道が、奥の方へ続いている。

「…………綺麗だね!お兄ちゃん!」

「ああ、そうだな」

 街ひとつ移動するだけでこんなにも景色って変わるもんなのか。すごいな。

「は、早く先に行ってみましょう!」

「そうね、それにはあたしも同意だわ」

「あたいも先が気になるのだ!」

 みんな、人目で分かるほどにテンションが上がっている。
 うん、まあ俺も含めてな。

「うし!そうと決まったら早く行こうぜ!」

 綺麗に咲き並んでいる花を踏まないように、そうっと舗装された道を歩く。
 俺のあとを、ルイたちが着いてくる形で、俺たちは先へ向かった。


〜ハイカラ街〜


「…………おお、こりゃすごい」

 今俺たちは、とある建物の目の前にいる。

 ここに辿り着くまでに、俺たちはあの一筋の道を歩いて10分もの時間がかかった。

 歩いてる途中も、見渡す限り見えるのは花、花、花。

 正直、もう建物なんか無いんじゃないかと思い始めた時、奥の方に建物らしき物を見つけて、駆け寄ってきたところである。

「こんな建物、見たことありません」

「あたいもなのだ!」

 ルイとリノが、キラキラした目で目の前の建物を見つめている。

 俺も、この建物に釘付けになっていた。

 この建物は、京都とかで見ることが出来る、昔ながらの和風建築の家だった。

 とは言え、大きさは普通と比べて桁違い。
 大きいというのは、建物の高さではなく、その周りにある広大な庭だ。
 実際、目の前の門を抜けた先に見える建物まで、十メートル程の距離がある。

 この家は柵で囲われているが、大人がまたげば入れるくらいで、中が完全に見えるようになっていた。

 ……てか、これ柵で囲ってる意味ある?

 まあそれはさておき、この家はとにかく豪邸であった。

「……うーん、この街のことを知りたいし、この家の人に聞いてみるしかないかなあ」

「そうですね、そうしましょう」

 出入口であろう目の前の門には、インターホンらしき物は見当たらなかったため、十メートル先に建つ建物目がけて、俺はこの家の住人を呼ぶべく、大きく声を張り上げた。

「すみませーーん!!誰かいませんかーーー!!」

 大きく張り上げた声は、家の住民に届いたらしい。ガチャりと音をたて、建物の扉が開かれた。

 中から出てきたのは、十二単じゅうにひとえに身を包んだ、黒髪の小柄な女の子だった。

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