人違いで異世界に召喚されたが、その後美少女ハーレム状態になった件

あまたつ

第32話 神は頼りになる件

「お前ら全員皆殺しだーーーーー!!」

 アリサが怒りに満ちた表情で俺たちに向かって思い切り叫んだ。
 ……まあ、怒るのも無理はないわな。

 俺たちは今、かつて生活していた森の中にいる。
 アリサに連れてこられたのだ。
 んで、なんで怒ってるかって話なんだが…………

「あたいは入国申請したのだーーー!!」
「嘘よ!絶対してない!!」

 俺の後ろでリーナとリノがぎゃあぎゃあと口論している。

 そう、俺たちがアリサに狙われている理由は、俺たちが、入国申請をしなかった違法侵入者。すなわち犯罪者だからである。

 ……まあ、俺に至ってはリーナのミスなのだが……。
 とんだとばっちりである。

 俺の後ろで、リーナとリノはまだ口論を続けていた。

「入国申請してないのはそっちなのだーーー!!」

「私はしたわよ!!じゃああんた、申請した証拠でもあるわけ?」

「……っ!そ、それは……!」

 ……お、リノ論破か?

「じゃあ、リーナは証拠あるのだ?」

「……っ!そ、それは……!」

 相手がバカでよかったな。

 そんなに長々と聞いてられないので、俺は二人を止めることにした。

「おい、もう良いだろ。アリサ様が、それはもう凄い形相でお待ちだぞ」

「「……あ」」

 二人とも、声を揃えてアリサを見る。
 ……が、時すでに遅し。アリサは右手に持っていた杖の先端を、俺たちに向けていた。

 息を荒らげながらアリサが口を開く。

「お前らを絶対に、一人残らず殺す。容赦はしないぜ」

 ……あ〜やばい。確実にやばい。

 アリサは向けていた杖の先端を、上空に向けた。

「ゴッドブレス!!」

 アリサが叫んだ直後、杖の先端へ、上空から一筋の光が吸い込まれるようにして直撃した。

『チュドーーーーーン!!!』

「「!?」」

 その音は凄まじく、アリサを除く、その場にいた全員が驚愕を隠せなかった。

「これが……アリサの魔力……」

 リーナが思わず声を漏らす。
 俺も思わず「うっわ……」と声を漏らした。

 ……いや、別に引いてるわけではない。ただ、現実を受け入れられていないだけだ。

 そんな、誰もが緊張感を走らせるだろうこの状況で、ある二人は違った。

「あはははははは!!」

「「!?」」

 笑ったのはアリサではない。リーナだった。

 つーかお前、前回もそうだったけど場の空気を読むっていう概念がないのかね?

 それもつかの間、今とは違う笑い声が、それはもう高々と聞こえてきた。

「あっはっはっは!!」

「「え!?」」

 アリサが、いまだバチバチと杖の先端に光のようなものを当てている中、二人目の場違い様が出てしまった。

 リノである。
 リノは、目に涙を浮かべるほどに大笑いしていた。
 たまらず、俺は二人を怒鳴りつけた。

「おい!お前ら!なんで笑えるんだよこの状況で!!」

「「いやだって……」」

 二人は声を合わせて、それはもう、愉快にこう言ったのだ。

「「だって、こんなもんかって思ってw」」

 …………は?

「……というと?」

 俺の問いに、リーナが鼻で笑いながら答えた。

「だから〜。この世界でベスト5に入る強さを持つ魔法使いが、こんなに弱いとは思ってなかったんだって」

 …………今、こいつアリサのこと弱いっつったか?
 リノもリーナに続ける。

「見るからに、あれがアリサの全力なのだ。あんなもの、あたい達神にかかれば、5割も力出せば簡単にできるのだ」

 ……俺は勘違いしていたのかもしれない。
 そうだ、ここにいるのは紛れない…………


 神なんだ。

コメント

  • かオース⤴︎

    イエ介さんの更新だやったね
    ヾ(*ΦωΦ)ノ ヒャッホゥ♪
    更新頑張ってください

    2
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