恋と魔法と異世界と

赤宮 明日花

2.始まりは突然に

「っ…。」
先程までL&Mをしていたはずだったのに途中で寝落ちしてしまったのかと思ったが、眠さが勝ってしまった為、再び重い瞼を閉じた時だった。
「姫様。おはようございます。」
…………………ん?姫様?
耳元で聞こえた気が…。まだここは夢なのか。
「姫様。そろそろお目覚めを。」
目を再び開けると、そこには忍びのような服装をした腰ほどまで伸ばしている、黒髪の同い年程の少女が立っていた。
驚いた俺は起き上がるとそこは、知っている俺の部屋ではなかった。
何度も辺を見回すが知らない部屋だった。
「えっ、えーっと…どちら様で?」
「私は十歌とおかです。姫様が就寝の間にこちらにお運びさせて頂きました。詳しくはこの国の王、すみれ様にお聞きください。菫様は応接室でお待ちです。」
「お運びってえっとー…。」
「菫様がお待ちですので応接室へお向かい下さい。」
質問等はしないで早く応接室へ向かえと言われてしまった気がした。
気がというか、そういう事なのだろう。
十歌という少女について部屋を出ると、壁が見えないほどの長い廊下に出た。
いくつもの扉があり、何個ものの扉を通り過ぎると廊下の端へと辿り着いた。
端にある扉だけが5倍ほどの巨人が通れるのではないかという程のでかい装飾が所々にされている扉の前で十歌は足を止めた。
「菫様。十歌です。姫様をお連れいたしました。」
すると、扉がゆっくりと開かれていった。
扉が開かれてると中はソファー2つを向かい合わせで置かれ、その間に机が置かれていた。
右側のソファーには腰ほどまで黄金色に輝く髪を伸ばした白いドレスを着た少女が座っていた。
少女はこちらを向くと、立ち上がりこちらに近づいてきた。
その少女はとても美少女でつい見惚れてしまう。
「姫様、始めまして。私はこの国の王、菫と申します。この度は、地球からようこそおいで下さいました。」
「あ、あのー、さっきから何で俺の事を姫様って…。それに、地球からって一体ここはどこ何ですか…?」
菫という少女はあっ!という表情を浮かべると、説明しますね!と笑顔で言うと席へと案内された。

「先程は説明不足で、大変申し訳ございませんでした。」
「それはもう大丈夫だから、その理由を教えて頂けないかと…。ここが何処なのかとかも、その、知りたいですし…。」
辺を見まわしてもここはまるでお城の様に豪華な物ばかりが揃えられ、窓の外を先程覗くとそこは俺の知っている地球ではないという事だけは分かることができた。
何故かというと、窓の外は森に囲まれ、暁色の空に青い龍が空を飛んでいたからだった。

「それでは、話させて頂きますね。」
そして、菫は語り始めたのだった。

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