東方疑心録
お礼
「あ、あ、あーー!!」
「どうしたんだ有紗?」
あの女の子は有紗というらしい。その有紗は剣を指差したまま凝視している。
「だめじゃないか、お客様に指差したりしたら!」
男の人が娘であろう有紗のことを叱る。それでも有紗は剣を指差し続けていた。
「お、お父さん!あの人だよ!私を助けてくれたの!」
「な、なに?!」
有紗がそう叫ぶと同時に店主から驚いたような視線が向けられる。そして今気づいたことだが、周りから多数の視線が向けられている。
まあ、これだけ店の真ん中で、しかも店主とその娘が騒いでいるのだ、視線が集まっていてもおかしくはない。
それは、霊夢も例外ではなかった。
「んー?剣ー、どうしたのー?」
騒ぎを聞きつけた霊夢がひょっこりと顔をだす。それによってさらに多くの視線が集まる。
こう見えてというのは失礼かもしれないが、霊夢は有名人である。博麗の巫女で、今回の人里での異変への貢献、そしてなにより美人なので有名になるのは仕方がない。そんな霊夢が現れたもんだから騒ぎが一層大きくなる。
「あ~もう、ここじゃ落ち着けない!店主さん、店の奥で話しましょう」
「わ、わかりました」
「やっと落ち着けるな………」
「大変だったのね」
「霊夢にも少し責任あるんだけど…」
どこか他人事の霊夢に剣がため息をついた。
ちなみに人里では密かに霊夢のファンクラブが出来ているらしい。霊夢の容姿と、そのドライな性格がけっこう人気らしい。そして最近、アクセサリー店での乙女霊夢を目撃した、会員がいて、ツンデ霊夢の貴重なデレを見たことにより、その人気はさらに増していた。
「それより、剣さん!あなたが本当に娘を助けてくれたんですか?!」
「え、ええ、まあそうですね」
店主の勢いにおされそう返事するのがやっとな剣だった。
「ああ、やっと見つかった!本当になんとお礼をいったものか!」
「いや、そんな…」
正直剣は困っていた。人に感謝されるといった経験があまりないので戸惑っているのである。
「なにか、お礼をしたいのです!なにかないでしょうか!?」
「いや、その、えっと……」
だからこんな返事しか返せないのである。
「ちょっとお父さん!お兄さんが困っているでしょ!」
そこに有紗からストップがかかる。それで我にかえったのか店主は申し訳なさそうに
「すみません………」
と謝った。
「本当にすみません、うちのお父さんが。それとあの時助けてくれてありがとうございました!」
有紗が店主の謝罪と救出のお礼を述べてくる。6歳とは思えないほどしっかりしている。
「でも、本当になにかお礼を…」
店主はそれでも食い下がる。
「いや、いいんですよ。それにもとから見返りを求めて助けたわけじゃないですし」
と剣が言うものの、
「し、しかし……」
この店主はなにかお礼をしないと気が済まないようだ。
それならと、剣は少し考えて
「それならなにかスイーツを下さい。それでチャラにしましょう」
と言う。店主はそれに
「そんなことならお安い御用です!」
と言って厨房に入っていく。それを娘の有紗が、
「ありがとうございます」
と言って店主の後を追いかける。それを見ていた霊夢は剣の側に寄ると、
「ほんと、優しいのか甘いのか分からないわね剣は」
と呟くのだった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
この話を書き初めて約4ヶ月、いつのまにか50話を越えていました。遅い投稿ペースですがなんとか続けていられています。これもいつも読んで下さる皆さまのお陰です!ありがとうございます!これからもどうかよろしくお願いいたします!
ちなみに疑心録の画像を変更しましたがいかがでしょうか?
前のほうが良かった!という人がいたら是非教えて下さい!事によってはもとに戻します。
「どうしたんだ有紗?」
あの女の子は有紗というらしい。その有紗は剣を指差したまま凝視している。
「だめじゃないか、お客様に指差したりしたら!」
男の人が娘であろう有紗のことを叱る。それでも有紗は剣を指差し続けていた。
「お、お父さん!あの人だよ!私を助けてくれたの!」
「な、なに?!」
有紗がそう叫ぶと同時に店主から驚いたような視線が向けられる。そして今気づいたことだが、周りから多数の視線が向けられている。
まあ、これだけ店の真ん中で、しかも店主とその娘が騒いでいるのだ、視線が集まっていてもおかしくはない。
それは、霊夢も例外ではなかった。
「んー?剣ー、どうしたのー?」
騒ぎを聞きつけた霊夢がひょっこりと顔をだす。それによってさらに多くの視線が集まる。
こう見えてというのは失礼かもしれないが、霊夢は有名人である。博麗の巫女で、今回の人里での異変への貢献、そしてなにより美人なので有名になるのは仕方がない。そんな霊夢が現れたもんだから騒ぎが一層大きくなる。
「あ~もう、ここじゃ落ち着けない!店主さん、店の奥で話しましょう」
「わ、わかりました」
「やっと落ち着けるな………」
「大変だったのね」
「霊夢にも少し責任あるんだけど…」
どこか他人事の霊夢に剣がため息をついた。
ちなみに人里では密かに霊夢のファンクラブが出来ているらしい。霊夢の容姿と、そのドライな性格がけっこう人気らしい。そして最近、アクセサリー店での乙女霊夢を目撃した、会員がいて、ツンデ霊夢の貴重なデレを見たことにより、その人気はさらに増していた。
「それより、剣さん!あなたが本当に娘を助けてくれたんですか?!」
「え、ええ、まあそうですね」
店主の勢いにおされそう返事するのがやっとな剣だった。
「ああ、やっと見つかった!本当になんとお礼をいったものか!」
「いや、そんな…」
正直剣は困っていた。人に感謝されるといった経験があまりないので戸惑っているのである。
「なにか、お礼をしたいのです!なにかないでしょうか!?」
「いや、その、えっと……」
だからこんな返事しか返せないのである。
「ちょっとお父さん!お兄さんが困っているでしょ!」
そこに有紗からストップがかかる。それで我にかえったのか店主は申し訳なさそうに
「すみません………」
と謝った。
「本当にすみません、うちのお父さんが。それとあの時助けてくれてありがとうございました!」
有紗が店主の謝罪と救出のお礼を述べてくる。6歳とは思えないほどしっかりしている。
「でも、本当になにかお礼を…」
店主はそれでも食い下がる。
「いや、いいんですよ。それにもとから見返りを求めて助けたわけじゃないですし」
と剣が言うものの、
「し、しかし……」
この店主はなにかお礼をしないと気が済まないようだ。
それならと、剣は少し考えて
「それならなにかスイーツを下さい。それでチャラにしましょう」
と言う。店主はそれに
「そんなことならお安い御用です!」
と言って厨房に入っていく。それを娘の有紗が、
「ありがとうございます」
と言って店主の後を追いかける。それを見ていた霊夢は剣の側に寄ると、
「ほんと、優しいのか甘いのか分からないわね剣は」
と呟くのだった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
この話を書き初めて約4ヶ月、いつのまにか50話を越えていました。遅い投稿ペースですがなんとか続けていられています。これもいつも読んで下さる皆さまのお陰です!ありがとうございます!これからもどうかよろしくお願いいたします!
ちなみに疑心録の画像を変更しましたがいかがでしょうか?
前のほうが良かった!という人がいたら是非教えて下さい!事によってはもとに戻します。
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