東方疑心録

にんじん

迫る異変と魔理沙の想い

ある日の博麗神社でのこと。

「剣、私、紅魔館に行ってくるから。」

「え、いきなりどうしたの?」

「いや、ちょっとレミリアと話したいことがあってね。」

そう言う霊夢の顔は真剣だった。

「ん、わかった。僕は行かなくていいの?」

「うん。」

「わかったよ。いってらっしゃい。」

「いってくるわ。」

そう言って霊夢は紅魔館の方に飛んでいってしまった。

「さて、どうしようかな…」

一人残された剣はこれからどうするかかんがえるのだった。

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「まあ、無難に魔理沙んとこでしょ。」

剣は今、魔理沙の家の前にいる。あれからしばらく考えた結果、魔理沙の家に行くことにしたのだ。

「どうせ魔理沙ひまだろうし。」

何気に失礼な発言だったが剣は気にせず、

「おーい、魔理沙ー。いるー?」

家に呼び掛ける。ちなみに無用心にも鍵はされていなかった。

「あれ?ひょっとして魔理沙いない?」

家から一向に返事が返ってこない。それから何度も呼び掛けてみるがやはり返事がない。やはり魔理沙は留守のようだ。

「魔理沙までいないのかよ…はぁ~、どうするかな。」

剣は再びこれからのことについて考えるのだった。

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剣が魔理沙の家を訪ねるのと同時刻、霊夢はレミリアと話しをしていた。

「いきなりどうしたのかしら?霊夢が急に訪ねてくるなんて。」

「いや、ちょっと一昨日、妖怪の森である化け物と闘ったんだけど…」

その言葉を聞いてレミリアの顔が真剣なものになる。

「もしかしてその化け物って…」

「そうよ。レミリアがちょっと前に人里で倒したやつよ。」

「また、あいつがでたの?それに剣はどうしたのよ?」

「ええ、またあいつよ。それと剣はその日は魔理沙と一緒でいなかったわ。」

「ふーーん、剣が魔理沙と二人で、ねぇ。」

レミリアが一転してにやけた表情になる。

「なによ?」

「いや、霊夢はそれでいいのかなーって思ってね。」

「どういう意味よそれ?」

「彼、あれで結構優しいし、たまに天然で誤解するようなこと言うから、魔理沙がライバルになるんじゃないかな、って。」

「な?!べ、別に私はあいつのことなんて…」

顔を真っ赤にして反論する霊夢。残念だがその表情でバレバレである。

「まあ、今はそんなこと話してる場合じゃないわよね。」

「あんたから話を振ってきたんでしょうが…」

霊夢が落胆するのもお構い無しにレミリアが話しを進める。

「一度ならず何度も同じやつが襲ってくるなんて。霊夢、これってもしかして…」

「ええ、異変かもしれないわね。それに紫が、博麗大結界に何者かが通った跡があると言っていたし。」

「ってことは、これは外の人間の仕業ってこと?」

「あくまでも可能性の話よ。それでも警戒はしておいたほうがいいわね。」

「そうね…」

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さらに時はさかのぼり、剣が魔理沙の家に向かっている途中、魔理沙は永遠亭に来ていた。

「鈴仙、いるかだぜー?」

「はーい、って魔理沙さん?どうしたんですか?」

「いや、ちょっと永琳に診てもらいたくてな。」

「わかりました。それじゃあ魔理沙さん、こっちへ。」

「おう。」



「師匠、魔理沙さんが来ました。」

「通してちょうだい。」

「失礼するぜ、永琳。」

永琳の言葉にずかずかと入る魔理沙。

「それで?今日はどうしたのかしら?」

「ちょっと診てほしいんだぜ。」

永琳は驚いて、

「魔理沙が風邪かしら?いやでも、馬鹿は風邪を引かないって言うし…」

「いや、たぶん風邪ではないんだぜ。」

「(今遠回しに馬鹿って言われたのに気づいていないんですかね?)」

心の中で、呆れる鈴仙だった。

「そうなの?じゃあ症状を教えてくれるかしら。」

「わかったぜ。えっと、なんか急に心臓がドキドキして、顔が熱くなるんだぜ。」

魔理沙が自分の症状について話す。それを聞いた永琳は

「うーん、そんな症状が現れる病気なんてあったかしら?」

頭を悩ませている。

「師匠、もしかしたら病気じゃないかもしれませんよ。」

話を聞いていた鈴仙が永琳に話しかける。

「どういうことかしら?」

「つまり………………ってことですよ。」

「なるほど。確かにそうかもしれないわね。」

「急に二人して何話してたんだぜ?」

二人が話している間、魔理沙は完全に蚊帳の外だった。

「魔理沙、ひとつ聞いていいかしら?」

「なんだぜ?」

「あなたがドキドキしたり顔が熱くなった時誰かの顔が思い浮かぶかしら?」

「なにを聞いて…」

そして魔理沙がその症状のことを思い出すと、一人の少年の顔が出てきた。

「な、なんであいつが///!?」

その少年のことを考えると、ドキドキも顔の熱もひどくなった。

「やっぱり、誰かの顔が浮かんだわね?」

「これはどういうことだぜ?!」

永琳は一息つくと、こういい放つ。

「あなたは、誰だか知らないけどその浮かんだ人に恋をしているわ。まあ、つまりドキドキも顔が熱くなるのも、恋心からきてるってことね。」

永琳から魔理沙が聞きたくなかったことが告げられた。

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