東方疑心録

にんじん

魔理沙の好物

「魔理沙の家まであとどのくらいで着く?」

僕は隣にいる魔理沙に尋ねる。ちなみにさっきまでは僕が魔理沙を抱えていたのだが、途中で魔理沙が、

『やっぱり恥ずかしいから降ろすんだぜ!』

と言ったので僕は魔理沙を降ろして今はならんで歩いている。

「うーん、あと少しなはずなんだけど…」

この台詞を聞くのももう何回目だろうか。僕はさっきからずっと思っていたことを聞いてみる。

「もしかして魔理沙、僕達迷子になったのかな?」

「いや、そんなわけないんだぜ。ただちょっと、知らない場所を歩いているだけだぜ!」

「(いや、それって迷子じゃないかな魔理沙…)」

と、心の中でツッコミを入れつつこれからのことについて考える。

「うーん、魔理沙の家も見つからないし、もう夜だし、今日はここで野宿するしかないか。」

「そうだな。そうするか。」

僕達の意見がまとまった所で、僕達は野宿の準備をする。

「じゃあ、僕は火をおこすから魔理沙は食べられそうなものを見つけてきて。」

「わかったんだぜ!」

こうして僕達は野宿の準備に取りかかるのだった。

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「ふう、とりあえずこんなもんでいいか。」

僕は苦労の末、火をおこすことに成功する。途中何度も風で火が消えたことに心が折れそうになった。

「あとは、魔理沙を待つだけか…。大丈夫かな、魔理沙。一人で森に行かせちゃったけど。」

「おーい、剣ー!」

「お、噂をすればなんとやらか。」

そこに食糧を集めてきた魔理沙が戻ってくる。魔理沙の手の中には、木の実や山菜などがあった。

「おー!結構集まったんだな。」

「だろ?もっと褒めてくれてもいいんだぜ?」

「ん?これは…」

僕は魔理沙の集めてきた食糧を物色していると、あるものに気付く。それを手にとってみる。

「これは、きのこ?」

そう、僕が見つけたのはきのこだ。しかも探してみるときのこが食糧の半分以上を占めていた。

「そうだぜ!きのこはとってもいいんだぜ!美味しいし、栄養もあるし。」

魔理沙がきのこの良さについて熱弁してくる。

「でも魔理沙、きのこには毒があるものもあるよね?大丈夫なの?これ。」

そう、きのこには常識だが毒があるものもある。僕はそういうのにくわしくはないが、毒きのこには見た目で判断できないものもあるので、素人には見分けるのが難しいだろう。

「きのこだから大丈夫だぜ!」

魔理沙が意味不明な理論をぶつけてくる。今、きのこには毒があるものもあると、言ったばかりなのに…

「でも、もし毒があったら…」

僕は不安になる。毒きのこの中には、かるい症状ですむものもあるが、時に命に関わる毒を持つものがある。

「なんだよ、剣はそんなにきのこが食べたくないのか?きのこが嫌いなのか?」

「いや、嫌いってわけじゃないけど…」

僕は基本的に好き嫌いはしないタイプだ。だからきのこは嫌いではなくむしろ好きなほうだ。しかし、もしものこともあるのでなかなか手を出しづらい。

「わかったんだぜ。じゃあ、このきのこは私がたべるんだぜ。」

「いや、話聞いてた?!」

「だってもったいないだろ。それに大丈夫だって。私なら大丈夫だから。」

どこから来るのか分からない謎の自信をもつ魔理沙に折れたのは僕のほうだった。

「わかったよ。でも、もしなにか異常があったらすぐに言うんだぞ。」

「わかったぜ!」

そうして僕達は食事にすることにした。博麗神社での生活できたえた料理スキルで、山菜をおいしく調理することができた。ちなみにきのこを食べたのは魔理沙だけだ。もし毒があって、二人とも倒れたら洒落にならないからだ。そしてその日はそのまま眠りについた。

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「さて、じゃあ魔理沙の家を探そうか。」

「そうだな。」

僕達が目を覚ますころには日が昇っていて、すっかり明るくなっていた。僕達は昨日残していた食糧で簡単な朝食を済ませると魔理沙の家を探しに歩き始めた。

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あれから結構歩いたが、魔理沙の家は一向に見つからない。

「魔理沙、疲れてないか?」

ふと、後ろで歩いている魔理沙の様子が気になり振り向くと、そこには

「はぁ…はぁ…」

荒い息をつきながらも顔を青白くさせた魔理沙がいた。

「魔理沙!?」

僕は魔理沙に駆け寄る。すると、魔理沙が倒れこんでくる。僕がそれを受け止めた。

「魔理沙!大丈夫か!?」

「剣…苦しい…」

僕達はこの森に入ってからずっと一緒に行動していた。そして、魔理沙だけが苦しんでいる。つまり、魔理沙だけがした行動によるもの。そこまでたどり着くと答えは簡単だった。

「あのきのこか…!」

やはりあのきのこには毒があったのだ。

「くっ…あの時、僕がちゃんと止めていれば…。いや、今は自分を責めている場合じゃない!どうすれば…」

先程も言った通り僕はこのような知識はまったく知らないため対処法が分からない。すると、

「あのー、どうかしたんですか?」

後ろから声が聞こえる。振り向くと肩ほどまで金髪をのばした女性が立っていた。側には人形が浮いていた。気のせいかどこかで見たような気がする。

「友達が、毒きのこを食べてしまって!」

「本当ですか!?ちょっと見せてくださいって、魔理沙!?」

金髪の女性が驚いたように魔理沙の名前を叫ぶ。

「魔理沙を知ってるんですか?」

「ええ、とりあえず私の家まで案内するから魔理沙を運んで!」

「わ、わかりました!」

僕は偶然出会った魔理沙の知り合いらしき女性の家まで魔理沙を運ぶのだった。

「待ってろよ魔理沙、すぐ楽にしてやるからな。」

僕の背中で辛そうに息をする魔理沙に僕は呟いた。

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「う~~ん?ここは…」

魔理沙が目を覚ましたのはベッドの上だった。このベッド、そしてこの部屋に魔理沙は見覚えがある。

「確かここはアリスの家………うん?」

ふと、左手を誰かに握られていることに気付き目を向けると、そこにはベッドにもたれ掛かって眠る剣の姿があった。

「つ、剣!?///」

「あら、目を覚ましたの?」

魔理沙があたふたしているとアリスが部屋に入ってくる。

「やっぱりここはアリスの家だったのかぜ。アリス、この状況を説明してくれないか?」

「いいわよ。」

そうしてアリスは話し始める。

「私が森を散歩していたらその人を見つけて魔理沙が倒れていたから、私の家に運んだってわけ。」

「とっても簡単な説明ありがとだぜ。ところでなんで私は倒れたのかぜ?」

魔理沙が尋ねると、アリスはため息をついて、

「その人から聞いたけど魔理沙、毒があるかもしれないきのこを食べたでしょ。それよ。なんでもかんでもきのこに手を出したらだめじゃない。」

「すまないんだぜ。そしてありがとだぜアリス。」

「お礼ならその人に言いなさい。その人、魔理沙を運んでからずっとかかりっきりで看病したのよ。」

「剣がか?」

魔理沙は驚いたように剣を見る。剣は相変わらず気持ちよさそうに寝ている。その光景に魔理沙はふっと笑い、

「ありがとな、剣。」

剣の頭を撫でるのだった。

「……zzz……魔理沙ぁ……zzz……」

「ーーっ?!///」

不意に名前を呼ばれ顔を赤くする魔理沙にアリスが、

「どうしたの魔理沙?顔が真っ赤よ?」

ニヤニヤしながら聞く。

「な、なんもないのぜ///」

魔理沙はそっぽを向いたまま答えた。

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「ふわ~~~あ、いかんいかん。いつの間にか寝てしまっていた。」

剣が目を覚した時には魔理沙は寝ていた。

「あなたも起きたかしら?」

そこには魔理沙を助けてくれた女性がいた。

「あ、はい。ありがとうございます、魔理沙を助けてくれて。」

「いいのよ、別に。ところで、あなたの名前を聞かせてもらってもいいかしら?」

「いいですよ。僕は剣 優介です。」

「そう、私はアリスよ。よろしくね。」

「ところで、アリスさん、魔理沙の容態は?」

僕は心配になり尋ねる。

「大丈夫よ、軽い腹痛だったし。魔理沙はさっき目が覚めていまは寝てるわ。」

「よかった…」

実際、あの時止められなかったことから剣は責任を感じていた。

「あなたもご飯を用意してあるから食べてくるといいわ。」

「いいんですか?」

「友人の魔理沙を助けてもらったお礼よ。」

「わかりました。それじゃあいただきます。」

僕はご飯を食べに向かうとき寝ている魔理沙を見て、

「魔理沙もこうしていれば、ちゃんとしたかわいい美少女なんだけどな。」

悪戯っぽい笑みを浮かべ頭を軽く撫でていた。

「おっと、魔理沙が起きちゃうな。」

そして剣はご飯を食べに部屋を出た。

「……………///」

魔理沙の顔がほんのり赤くなっていた。







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