東方疑心録

にんじん

フランドール スカーレット

「フ、フラン…」
レミリアが声を上げる。フラン呼ばれたその少女はレミリアと同じ吸血鬼のようで、翼を持っていた。ただ、その翼はレミリアの蝙蝠のようなものではなく、美しい宝石のようなものがついていてとても綺麗だった。
「お姉様達は何をやっていたのかなー?」
お姉様、という言葉を聞く限りレミリアとフランは姉妹なのだろう。フランの問いにレミリアは、
「ちがうのよ、フラン!これは剣の能力を探していて…」
と弁明する。しかし、フランは、
「違う!またお姉様は私を仲間外れにして遊んでたんだ!!」
フランの態度が一変する。
「お姉様はいつも!いつも仲間外れにする!私だって皆と遊びたいのに…」
どういうことだろう?姉が妹を仲間外れにする?レミリアの性格からはにわかに信じがたいことだ。
「もういいよ。みんな死んじゃえ!」
「きゃあ!」
フランの放った弾幕が、レミリアに直撃する。
「レミリア!」
「お嬢様!」
僕と咲夜が叫ぶ。
「剣!あんたはレミリアを安全な場所まで運びなさい!」
霊夢が言う。
「でも…」
「でもじゃない!フランはあんたのてにおえないわ!」
霊夢の言葉は嘘ではなかった。事実、僕はあの狂気的な笑みに怖いと思ってしまっていた。
「ーーーわかった。」
僕はレミリアを担いで逃げる。レミリアはまだ気絶していた。
「急がないと!」
「う、うーーん…」
その時、レミリアの意識が戻った。
「レミリア!?大丈夫か!?」
「フランを…傷つけないで…」
僕の声に返ってきた言葉は予想外の言葉だった。
「!?」
僕は驚いた。自分をこんなにした相手を傷つけないでといっているのだ。
「レミリア、フランになにがあったんだ?」
僕はレミリアに聞いた。なぜ仲間外れにしたのか、なぜ、傷つけないでと言うのかを。するとレミリアは語り出す。
「フランはね、自分の力をコントロールできてないのよ。それでも皆と遊びたいらしいのよ。」
「それならなんで?」
僕は続きを促す。
「でも、力が暴走したら周りを傷つけてしまう。そして、それに気付いた時フランが傷ついてしまうの。だから私は、フランを閉じ込めていたの。」
なるほど、これで全てが繋がった。レミリアがフランを仲間外れにする理由。最後に僕はレミリアに聞く。
「フランのことはどう思ってる?」
僕の問いにレミリアは少し驚いた顔をして、
「手がかかるし、反抗的な所もあるし、私のプリン勝手に食べたりするけれど、」
レミリアは息をついてこう言った。
「私の大切な妹よ。」
その答えに僕は安心し、
「それが聞ければ、十分だ。」
穏やかな笑みを浮かべてそう言った。僕はレミリアを安全な場所で下ろすと、
「剣、これからどうする気?」
レミリアの問いに、僕は、
「お前の妹のフランを取り返してくるよ。」
レミリアは焦った表情で、
「無理よ!あの子はあなたの手に負えない…」
「レミリア」
僕の言葉にレミリアが黙った。
「僕を信じろって。」
そう言った僕の顔はどうだっただろうか、恐怖に歪んでいないだろうか。それでも、レミリアの妹を思う気持ち、そして、フランが見せた寂しげな表情。あんなものを見せられたらやるしかないな。
「まったく、また柄にもないことを引き受けたな。」
僕の意識はフランを取り戻すことしかなかった。

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