ぼっちの家族創生紀行〜寂しいので家族作ります!!〜

黒熊

第8章ドラゴンの家3



 朝起きてから、朝食を食べるために二階から一階に下りた。外から見たこの豪邸の中は意外と質素に作られていた。
 食堂のような場所に入ると昨日のドラゴンもいた。相変わらずイケメンだったから、この世界はイケメンに恵まれているかもと期待をせざる得ない。
 
 「起きたかノォ。よく眠れたカァ?」
    「おかげさまで。えっと、その。」
    「なんじゃノォ。」
    「昨日はありがとうございました。おかげでいい朝を迎えられたわ。本当にありがとう。」
    「お礼を言えるのはいいことだノォ。よかったノォ。」
    「ルルもねー、ありがとうなのっ!」
    「ちっこいのもいい子じゃノオ。」
    
 私とルルちゃんは席につき、朝ご飯が出てくるのを待つ。

 「お待たせしました。」
  
    そうやって出てきたのが...

    「えぅっ、なにこれ。」

    真っ黒い塊と灰汁だらけのスープでした。

 「何って、黒パンと野菜スープだノォ。」
    「これが黒パン...」

 触ってみると、木の板のような硬さで拳で叩くと、コンっ、コンっと音がした。

 「これって、どうやって食べるの?」
    「黒パンは初めてですか。このスープに浸して食べるのですよ。黒パンを知らないということは高貴な方なのでしょうか?」
    「そういうわけじゃないけど...。それにしたって、どうして灰汁は取ら
ないの?」
    「取るものなのですか?私はこういう風にスープを作るものだと思っておりましたが。」

     全然食べる気が起きない。なんでパンがこんなに硬いの?スープはニンジンとかタマネギとかは入ってるようにみえるけど美味しそうに見えない。
 第一、スープの色が灰色だよ。みんなだったら食べるかい?こんなに美味しくなさそうなスープ?
 まぁ、とりあえず食べよう。もしかしたら、うん、もしかしたら美味しいかもしれないし。よしっ。無難にスープから食べよう!

 「いただきます...。」
    「えぇ、どうぞお召し上がりください。」

   パクッ。

 バファッ!!

 「ちょっとっ!ちぃちゃん大丈夫?!こんにゃに吹き出して、もったいにゃいなぁ。」
 「ルルちゃんやい、私の食事は君にあげよう。」
    「いいのっ!やったぁ。」

     バリバリバリッ!ゴックン!!ジュルルルルルッ!
 わぁ、美味しそう。さすがげっ歯類。私はお腹いっぱいダァ。

 「それはそうと、あなたのお名前を教えていただけませんか?」
    「そうでした。私の名前は...」
 


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