ぼっちの家族創生紀行〜寂しいので家族作ります!!〜
第5章 これぞまさしく検問じゃあ
「して、貴様らぁぁぁぁぁぁあ!何用だぁぁぁぁぁぁぁあ!」
だからぁぁぁぁぁぁぁあ!耳壊れるんだってぇぇぇぇぇえ!!
あっ、つい真似してしまった。ホントうるさいなぁ、このひと。こっちが聞きたいわ。あんた何者ですか。
「ここはぁぁぁぁぁぁぁあ!秩序と平和が保たれているエルバルド王国だぁぁぁぁぁぁぁあ!この国の安寧を乱す奴はゆるさぁぁぁぁぁぁぁんっ!」
「あのぉー?私たちは迷いびとでして。歩いてこの国まで来たんですが、入らせてはいただけませんか?」
「無理だぁぁぁぁぁぁぁあ!国に入るには通行証が必要だぁぁぁぁぁぁぁあ!...。いやっ?無理じゃないか。通行証持ってれば入れるんだし...。早くぅぅぅぅう!通行証を見せろぉぉぉぉぉぉぉぉお!!」
おい、ちょっと待て。なんか聞こえたぞ!今までの喋り方はなんだったんだ?普通に喋ったところがあっただろう。いちいちうるさい喋り方やめて普通に喋ってくれ!
「しょうがないなぁ...。リュリュちゃん、通行証持ってる?」
「獣が持ってるわけがないのー。」
そりゃそうでござんすねぇ。
「すいません、持ってなさそうです。」
「じゃあぁぁぁぁぁぁぁあ!帰れぇぇぇぇぇえ!」
「ぇぇぇぇえ〜。そんなぁ〜!」
「貴様わぁぁぁぁぁぁぁ!この国に入る資格なぁぁぁぁぁぁぁぁシッッッ!」
このままじゃあ、無理かぁ。この先考えると結構めんどくさそうだわー。
「はい、わかりました。じゃあ、帰らせて頂きます。」
「うぉっ!そっ、そうなのかぁ〜!遠慮なく帰れぇぇぇぇぇ!」
「はい。貴方がか弱そうな女を荒野の果てに追いやり、人一人の人生を終わらせたいと言うのなら、私は望んでこの場所を立ち去らせて頂きます。」
「......?どっ、どうしてだぁぁぁ〜?」
「はい。今の私は家なしでいきなり外にほっぽり出された形で、しかも一文無しなので今すぐこの国に入れなければこの外の荒野で生きて行くことはできません。よって、この国には入れないとなると私は死にます。永遠に死にます。さらに言うと、来世も死にます。私を殺したくなければ、早く入れてください。ていうか、入れろ!」
なんとなく賢そうな雰囲気出して言ってみましたが、途中から変な言い回しが入ってしまったことにお詫びいたします。
「うっ!」
いきなり声の大きい兵士とみられる男が呻いた。
「どうしたのですかっ!まさか私のせいですか!すみません、お詫びを持って立ち去らせて頂きます!」
「違うんだ、そうじゃない。」
「えっ...?」
「いやっ、すまなかった。そんな境遇とは知らず。」
「あっ、はい。」
ていうか、もうあの特徴的な喋り方やめたの?結構ー、気に入ってたのにな。
「入れさせてあげたいが、規則でな。通行証を持ってない場合は、銀貨3枚払ってもらわなければならないんだ。すまんな。」
うん、だったら仕方ないか。ルールを守らないといい人生送れないっていうしね!
「それは仕方ないですね。」
「そのかわり、この国の外で採取した素材なんかは壁でも買い取ってるから、その辺で草でも取ってくれば、鑑定してやる。」
「そうなんですかっ!じゃあ取って来ます!」
「あぁ、でも国の外は魔物や獣がウロウロしてるからな。気をつけろよ!」
「はいっ!ありがとうございます!」
「頑張ってくれよな。これでも騎士の端くれだ。お前さんみたいな可愛い嬢ちゃんを見捨てるわけにはいかな...」
「本当にありがとうございます!行ってきますね!」
私は、おっさんの行ったことを最後まで聞かずに走り出した。
私が行った後には近くにいた、騎士同僚が私と喋っていた騎士の肩を慰めるように叩いたのだった。
そのとき、不意に誰かが呟いた。
「あの子と一緒にいたウサギ。ホーンラビットじゃなかったか?しかも喋ってたぞ。」
一瞬でその場は凍りついたそうな。
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