魔女の涙が流れる時

ぬべろん

第二話 「魔女について」

〜大きな戦争を鎮めた1人の魔女は様々な能力を持っていた。水が枯渇してしまったところに湧き水を出し、食べ物に飢えた者達に対しては多くの自然の恵みを与えた。そして、瀕死状態になっていた人々を健全に暮らせるほど回復させた。その中には後に魔女を処刑に処した王もいたのだ。

様々な能力を持っていた魔女の力を宿す者には個々それぞれの特徴がある。
例えば、触れたものを自分が思い描いている場所(現実世界に存在する場所のみ)に飛ばすことや、動物の思考を読み取ったりコミュニケーションができること。はたまた、雷などの自然の力を使える魔女も存在する。

また、魔女の力を宿している者はいくつかの種類がある。ひとつは自身が努力をして魔女の力を得た者、ひとつは魔女の力を持つ者が他の者に力を明け渡すこと、また逆にその力を奪う者。そして、生まれつき魔女の力を宿していた者。
生まれつき魔女の力を宿している者は、他の魔女よりも力が1層に強く、世界を崩壊しかねない。なので、生まれつき持った魔女の力を奪う者の中には、度々身体が耐えられずこの世から消えてしまうことがある。〜

掃除の休みがてらドーリンは書斎で見つけた「魔女について」の本を読んでいた。

ドーリン「…魔女の力を努力で得るって、どうやって得たんだろう。それに、この前読んだ日記からエインさんは生まれつき力を持った魔女ってことだから、何かしらの代償を勝手に払われてしまったんだもんな…と、なるとエインさんは実はとんでもない人なのでは?」

ドーリンは色々と考察しながらページをめくっていき、目で文章を流していく中、ひとつ気になる文章を見つけた。

ドーリン「ん?『魔術兵の存在について』?」



あの強大な力を持つ魔女でさえ力で圧倒されてしまった「魔術兵」の存在。名前からに「魔術を使う兵」と思うかもしれないが、当時は身体能力を通常の3倍に増大させた兵のことを指す。

この魔術兵は、魔女の力を宿した兵隊を作るために実験で作られた存在である。当初は「魔女ごとく様々な能力を持つ兵を作れば、他国と差ができる」と考えたスウェロン地方を治めていた王スペーロ2世が科学者に作るよう指示をした。実験内容として、1日5時間の精神統一、薬を使って限界までに覚醒状態を維持させ続けさせた。当然覚醒状態に陥っているので睡眠は出来ず、実験開始から1週間たった時は言葉を理解することすら出来なくなってしまった。そして全くと言っていいほど魔女の力を持たせることが出来ず、中には実験に耐えきれず死んでしまった者が現れていた。
このままでは拉致が明かないと感じたスペーロは魔女に研究参加をするよう指示するが、戦争を引き起こす引金になると考えた魔女は指示に応えなかった。それに腹を立てたスペーロは、無理矢理に引っ捕えて実験材料にすればよいと考え、実験材料になっていた兵の身体能力を倍増、このことによって死ぬまで突撃する兵が出来上がった。当然、襲ってきた魔術兵から住んでいる場所を守るために魔女は攻撃を行った。が、何度攻撃しても魔術兵は永遠と立ち続け、最終的には魔女が力を尽かしてしまったのが敗因である。

今は各地に魔女の力宿していた者がいるので、もしかしたら魔術兵の実験に活用されている可能性があり、成功していたら永遠と魔女の力を使い続けられる、世界を滅ぼしかねない軍隊が完成するだろう。

…魔術兵とはとんでもない存在だ。ドーリンが思った最初の感想である。最初は筋肉増強だけだったが、最後の考察にある
「魔女の力を魔術兵の実験に利用していたら」
これがもし本当に行われていたとしたら…

ギィィィ、と重い扉の開く音が蔵に鳴り響き、ドーリンは本を書籍に戻し、掃除に戻った。

エイン「あら、ドーリンなにか面白いものでも見つけたのかしら?」

ドーリン「いやぁ…あ、この本気になりますね」

そういってドーリンは薄い本を取り出した。

エイン「あら、それはジャパンという国で言い伝えられてる昔話ね」

ドーリン「へぇ…」
そういって、本を開け中身を読み始めた。



昔むかし、あるところに1組の夫婦がいた。その夫婦は山の中で幸せに暮らせていたが、子宝には恵まれなかった。
ある日、夫が竹取をするため竹やぶに訪れた時、ひとつの竹が金色に光っていた。不思議に思った夫はその竹を切ってみると、中には小さな赤ん坊が寝ておった。驚いた夫はその赤ん坊を抱き抱え、家に帰った。妻も大層驚いたが、神様が私たちに子を恵んでくれたのだと考え、夫婦はその子に「輝夜」と名付け、多くの愛情を注いで育てた。
その子は二十歳を迎え、美しく可憐な女子に育った。
そんなある日一人の旅人が家に訪れた。その者は「二十年前、女子の子が入った竹を切らなかったか?」と夫婦に問、夫婦は「知らない」と答え帰らせた。普通なら意味のわからない質問だが、この夫婦は「なぜそのことを知っているのか」と不安を抱くようになった。それから、1日に1回、その者は現れ、現れるたびに夫婦は追い返した。
だが、夫が町に降り妻が洗濯物を洗いに行っていた時、輝夜はその者と出会い知ってしまった。自身が竹の中から生まれ、そして、あるべき場所へ帰らなければいけないということを。
輝夜はその者と来るべき場所に帰宅することを夫婦に伝え、身支度を終えた。夫婦は旅立ってしまう輝夜を必死に留めたが、輝夜は優しい声で「500年後、もし生きていたらまた会いましょう」と告げ、姿を消してしまった。
もう一度輝夜に会いたい夫婦は、昔から言い伝えられている死なない身体になる「不死の水」を飲むために旅をした。歳を重ねていたこともあって身体がゆうことを聞かないこともあったが、輝夜に会うためならばと歩みを進めた。




ここまで読んだドーリンの目から涙が流れていた。

ドーリン「なんていい話なんですか…娘に会いたいために老夫婦が旅するなんて…」

エイン「それ、竹から赤子を取り出して育て、真相を突いてきた人を追い返した話でしょ?」

ドーリン「そこじゃなくて!もう一度輝夜と会うために老夫婦は「不死の水」を得るために旅をするところがもう…結局その目の前で力尽きてしまうのがさらに悲しいというか。」

エイン「もし、本当に「不死の水」を飲んだとして、500年も待てるかしら?」

エインの一言が脳内を駆け巡るが、それに相応する答えをドーリンは出せなかった。

ドーリン「え、だって「不死の水」飲んで500年間輝夜を待つ素晴らしい夫婦でエンドだと思いますけど」

エイン「私はね、「不死の水」を飲んで500年も体を維持することができるのかって言ってるのよ。」

不死の水はそれを維持することができる品物じゃないのか

エイン「実際、この世界に「不死の水」が存在するのだけれど、外見を維持できても能の衰退は抑えることができなかった。理由は単純で、24時間フル活動更には脳以外の器官を操作しなくては行けない。そして脳は縮小されていき、いつしか何事も考えられなくなる生き物の完成よ。」

ドーリン「でも、これはあくまで物語ですから」

エイン「…それが物語ではなく実話で、輝夜が魔女だとしたら面白いわよね」
そんなまさか、とドーリンは思ったが、本当に実話だとしたらと考えると複雑な気持ちになった。

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