魔女の涙が流れる時

ぬべろん

第零話「日常」

「はぁ…この蔵の掃除は大変なんだよなぁ。」
誰もいない蔵に独り言が響き渡る。

「それに、こーんだけ広いのに、エインさんは掃除しないんだから…日頃からやってくんないとホコリがたまっちゃう…よ!」

木の梯子を横にズラし、書斎の一番上を目指して登り始める。この蔵の中には故に20を超える書斎が立ち並び、そのせいで掃除が大変なのだ…はぁ、あの鳥みたいに空を飛んでみt『ズコォン』

「…いっててぇ、梯子から足滑らせちゃった。」

鳥に見とれて空を飛ぶ想像をしていたら、自分は地に落ちてしまったようだ。ははっ、笑えねぇ。

『パサッ』

「ん?これは日記だな。ははぁん!エインさんも日々のことを綴ることなんてあるのか!!…エインさんはこないし、休憩がてら読もうかな」


16××年 4月24日
 私に初めての娘が出来た。産まれてきてくれる前から決めていた名前「エイン」をこの子に授けたいと思う。本当に可愛い女の子、けど、産まれてきた時から目が青くて、産婆から
「この子は生まれつき魔女の力を宿しておる。もしこの子と暮らす気なのなら、1ヶ月以内に村から出ていっておくれ」なんて言われてしまった。けど、もう決心はついてる。

16××年   9月6日
夫のシュガーさんとエインの3人でフォレルーナ地方に来ている。まだ産まれてきて四ヶ月のエインには大変苦しい生活をさせてしまって申し訳ないけど、安定して暮らせる場所を見つけるまでもう少しだから辛抱していて…。 産婆が言っていた「魔女の力を宿している」ことは信じていなかったけど、この2ヶ月間エインと一緒に暮らしていて、雄叫びを上げても涙を流さない事に気がついた。病院に行っても「訳が分からない」と言われて返されてしまったし。とにかく、この子が元気に育つような場所に行かなきゃ!
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16××年    11月13日
やっと静かに、安心して暮らせる場所を手に入れることが出来た。夫のシュガーさんには迷惑をかけてしまったから、次は私が頑張らなきゃね!それと、ココ最近エインの服とかも縫えてなかったから新しいのを作ってあげなきゃ。 そういえば、エインが歩けるようになったの!少し早いなとは思うけど、個人差ってものがあるからね!!うちの子優秀!!!
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17××年  2月23日
明日でエインは10歳目の誕生日!なにが欲しいのかなって思ってさりげなーく聞いたら森にある赤い花がほしいって。だから明日は赤い花をシュガーさんと取りに行ったら、豪勢に美味しい料理とケーキを作ってエインをよ

「あれ…ここから先の紙切れちゃってるや。それにこれ、エインさんの母親の日記だったのか」

エイン「ふぅん、あなた、随分とまぁ長々とその本を読んでいたわね、ドーリン」

ビクッと肩を震わせ、恐る恐る後ろを振り向く。あぁ、笑顔が逆に怖いよエインさん…

ドーリン「い、いやぁ、この日記を読んでいたらついつい…えへへ//」

エイン「えへへ//じゃないわ!ここの掃除をするのがあなたの役目でしょうが!!」

ドーリン「そ、そんなぁ!エインさんだっt」

なにか言いたげそうなドーリンをよそに、手に持っていた日記を奪い取る。はぁ…と深いため息をこぼし、

エイン「ドーリン、あなたもし夕時までに掃除が終わらなかったら、わかってるわよね?」

無理っすよぉお!!の叫び声が蔵の中で納めるようにドアを閉めた。

「…あの頃に戻れたら」
そう呟くと、手に持っていた日記が瞬時に灰へと変わった。
「戻ったってどうしようもないか」
そう言い残してエインは自分の部屋へと向かった。

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