いつかこの告白があなたに届きますように。

赤宮 明日花

7.始まり

目を開けるとそこは最寄り駅の改札だった。
何で私こんな所に…?
何て考えてるいると私の足は勝手に歩きだしてしまった。
「…一葉。」
声がした後ろへ振り向くがその人は顔が見えない。
声も聞こえない。 
それなのに何を言っているかは分かってしまう。
私の口が開く。
「○○、こんな所で話しかけないでって言ったでしょ。学校の人にでも見られたら大変な事になるんだから。」
私は何を言ってるの。
突然強風がふき、反射的に目を瞑ってしまった。
次に目を開いた時には私は何処かの住宅街の道に立っていた。
私の周りを女子が5人ほどで囲んでいる。
この人達は誰?
また、顔が見えない。
目の前にいた女子が口を開く。
「あんたみたいなやつが○○と釣り合うはずがないでしょ。あんたみたいのが○○の事好きでも○○が迷惑なの。」
「二度と近づかないでよね。近づいたら分かってんの?」
「ブスはブスらしく生きていきなさいよ。」
何。
怖い。
周りの女子達が私に言ってきてる事だけは分かった。
止めて。
もう、止めてよ。
こんなの聞きたくない。
助けてよ…。
しゃがみ込み目を閉じる。
もう嫌。
「っ、いたっ。」
頭に何か小さな物が当たった事が分かった。
目を開けると男子二人が私の前に立っている。
また、顔が見えない。
二人の男子は石を私の頭にめがけて投げてきた。
痛い。
二人の笑い声が聞こえる。
「悪いな。女子達から頼まれたんだよ。」
笑いながら、石を投げながら言ってきた。
怖いよ。
痛いよ。
再び目を閉じると突如、頭に激痛がはしった。
石?
石じゃない。
もっとこれは大きい物。
目を開けるとそこは体育館だった。
10人ほどの女子達が笑いながら、
「あー間違えちゃった。」
「ごめんねー。」
等と言いながらバスケットボールを私にめがけて投げてきている。
もう嫌。
早く、早く覚めて。
…覚めて?
…夢?
そうだ。
これは夢だ。
その瞬間光に包まれ意識を失ってしまった。

目を開けるとそこは見慣れた自分の部屋だった。
ほっとしたのが分かった。
鼓動が高まっているのが徐々に収まってきた事を感じた。
今の夢はなんだったんだろう。
ベッドから起ち上がると、目の前が真っ白になり目眩に襲われてしまう。
よろけてしまったが、しばらく目を閉じると収まっていった。
目覚めの悪い朝だった。
夢のはずなのに、何処か覚えのあるような気がして仕方がなかった。

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