僕らの恋愛ジェラシー

雪村 ましろ

叶乃の本心。



「それで、どう思う?」
「んー…」
私はどっちか迷ってるけど…

「せっかく悠が好み教えてくれたんだから、思いきってきってみてもいいんじゃないかなぁー?」
私の好みじゃなくて、悠の話してるし、これでいいよね?
「だよね!!叶乃ちゃん、ありがとっ」
…なんて、嬉しそうに。


恋愛感情の無い私には、分かるけど理解不能なことだ。
恋する乙女とは、今の桜のような人を指すのだろうか。
私にも分かる時が来るのだろうか。

分からない…分からない?
どうして分からなければならないのか、むしろ分かってはいけないのではないのか?

私が恋をしたらこの関係は終わってしまう。
今の関係は誰かが一歩間違えれば簡単に壊れてしまう。
その理由は後々誰もが痛いくらい理解するだろう。
ただ、今は私が恋をしてはいけない時だ。
もし恋などという錯覚を起こしてしまえば、桜はどうなる?

仲のいい友達を失い、恋も叶わず、それも私のせいで。
そんな絶望的なこと、桜には味合わせることなどできない。

この関係を利用して、桜が幸せになれるように、それ以外はどうでもいい。
だから、偽りのこの関係で本当の恋をしている桜は何も知らなくていい。

ただ、毎日好きな人のことを考えて幸せそうににやけて、不安になって、相談して、泣いて、笑って…
普通に過ごして、普通に青春していたらいい。


それだけで私は…幸せだ。

 

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