異世界でスペックをフル活用してみます!とりあえずお医者さん始めました!

ぴよ凛子

ここはどこ!?

「いや~、先生、今日も素晴らしいオペでしたなぁ~」
院長がゴマをすりすり私に話しかけてくる。
「私は患者の命を救うという、医師として当たり前のことをしただけです。」
寝不足続きでなんとも素っ気ない返事になる。
「いやはや!なんと素晴らしい!あなたみたいな医師こそ我が大学病院に必要ですな!」
大げさに院長は振りかぶる。
「買いかぶりすぎですよ」
「なにをおっしゃいますか!先生のような方こそ我が大学病院にふさわしい!」

(「うるさいな、このジジイ。今ようやくオペ終わりで寝不足で疲れてんだよ、早くどっか行かないかな」)

言葉とは裏腹に胸中はなんとも辛辣な感想を述べる。
最近、ほかの大学病院から有能な医師の引き抜きが多く見られるため、院長は私が引き抜かれるのを恐れ、こういうことを事あるごとに言ってくるのだ。

(「確かにこの病院だいぶブラックだもんなぁ…」)

最近ほとんど寝ていない。寝たとしても仮眠ばかりでぐっすりと眠れることなどまずない。というのも連日のオペにカルテの作成、患者の診断などやることは山程ある。私の仕事の能率が遅いかと言えば、そういうことではなく、ただ単純に私の割り振りが異常なだけだ。この病院は昔は私より腕の良い医師など何人もいた。だが、いろんなとこから引き抜かれ、結局私が今の現状1番腕がいいと言うだけだ。私に仕事はどんどんまわされ、今の状況である。

(「あーー、私も引き抜かれようかなーー」)

しかし、今の病院での患者さんを見捨てるような気もして、私は結局この病院に残ってしまうのだ。

(「まぁ、ここ給料はいいからなーー、というかそろそろ限界…今日の仕事はこれで終わりだし、久しぶりに帰ってぐっすり寝るか…)」

家で布団に入るまでの様子を脳内プレイでなんども再生しにやける頬を抑えながら私は仕事を終わらせるのだった。


「ただいま~」
帰ってくるなりベッドにダイブする。ベッドにダイブすれば途端に今まで我慢していた眠気が襲ってくる。本当は風呂にゆっくりと浸かり、ビールでも開けて晩酌した後にいい気分のまま寝ようと思ったのだが、どうもそうはいかないらしい。
(「明日休みだしいっか…このまま寝て、明日の朝からお風呂に入ろ…」)
そう考えて私はあっという間に意識を手放した。


ポカポカと気持ちの良い日差しが私を優しく照らす。
1度寝返りをうてば、花の良い香りが漂ってくる。
(「ん~~、なんて気持ちがいいんだろう、まるでお花畑でお昼寝してるみたい」)
あまりの気持ち良さに目を閉じたまま細める。
(「気持ちいいけどそろそろ起きるか…」)
そう思って少しだけ目を開けると…眩しい。
(「ん?私もしかして部屋の電気つけっぱなしで寝た?」)
なんと電気代のもったいないことか。薄目を開けると、太陽が見える。…太陽?
「えっ!?!?!?!?」
びっくりして飛び起きるとそこは私の家ではなく、周り一面お花畑。
「ここどこ!?!!?!」

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