噂の殺戮者に出会ったので死刑執行しますby死神

鬼崎

69 託された者達

 「人類なんぞ、さっさと滅べばいい…!」

 いきなり安土城の最上階へと外から侵入し、そう言い捨てたのは、例に漏れず殺戮者である。さらには、少し遅れて武器商人も登場。

「な…なんじゃ…お主等は!?」

 流石に、直接天守へ入ってくるとは露ほども思っていなかった信長は、即座に距離をとり手近にあった刀を抜刀する。

 同じくそばに控えていた欄丸は、信長の前に出て槍を構える。

 だが、そんな彼らの臨戦態勢すら、こいつの前では意味を為さなかった。

「俺は、殺戮者!……人類の敵だ!…」

 黒コートを(なぜか無駄にかっこよく)翻し、昼間でも際立つ紅眼を(無駄にかっこよく)怪しく光らせ、(これまた無駄にかっこよく)不敵に嗤って、自身の(かなりイタい)厨二ネームを(極めつけと言わんばかりに無駄にかっこよく)言い放った!

 もはや(無駄にかっこよく)と何回使ったかわからないが、信長サイドを完全に置き去りにして、茶番はまだ続く。

「そしてこいつが……俺の……俺…の?………お前は俺の何だ!?」

 (無駄にかっこよく)隣にいる人物を紹介しようとするが、ここでまさかの厨二ネタが尽きるアクシデント!
 
 殺戮者は助けを求める目で、武器商人を見ている。

 さぁ、どうする武器商人!

「なッ!……おれは…俺は! 殺戮者の専属スミス!…通称…武器商人!」

 こちらも日頃から、何かとパクり技名を使ったりするせいか、うまく流れに乗れたようだ。

 すると今度は、今までただポカンと二人の茶番自己紹介を見ていた信長がふと、欄丸より前に出てきて…

「儂は! 本能寺の変で異世界に召喚され、その異世界すら手中に収め、この世に舞い戻った……異世界覇者・第六天魔王…織田信長じゃ!」

 信長の力強く勢いある自己紹介が、天守内を木霊する。

 そして、これは僕もやった方がいいのかな? と、冷静にも流れと状況を察した欄丸が少し顔を赤くしつつも、声を上げる。

「ぼ、僕は! 信長様の……忠実なる家臣にして、信長様の右腕! 森欄丸です!」

 欄丸の渾身の勇気、見事だ。 場の雰囲気って怖い…

 そしてしばらく、その場に沈黙が続いた……


いつもお読みいただき、ありがとうございます。

久しぶりのネタ回です。話が進まねぇ!

これからもよろしくお願い致します。

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