タイム is ライフ 〜命よりも大切なもの〜

Funny face

第4話:家族



・・・ん・・・・んん・・・・・

「せ、先生!!!!先生!!!怜司君が目覚めました!!!!!!」
ダダダダダ・・・・


・・こ、ここはどこだ・・・・

「なに?!信じられん!!!す、直ぐに怜司君のご両親に連絡を!!」
「は、はい!!」

部屋のベッドに横になっている。
遠くから医師と看護師と思われる2人の会話が聞こえる。

「怜司くん!!」

多分、担当医だろう。
慌てた様子で部屋に入ってきた。

「良かった!本当に良かった!お父さんとお母さんも直ぐ到着するからね!!」
そう言い残すと、慌てて部屋を飛び出す担当医。


ま、待てよ?!?!
・・・ぼ、僕は・・・今の僕は、僕のままだ・・・
き、記憶がちゃんとある・・・き、記憶を残したまま現世に生き返れたんだ!!!
"人間"として現世に戻れたんだっっ!!!

・・・・ほ、本当にこんな事が・・あるのか・・・
もしかしたら、そもそも全てが夢だったのか?!?!

僕はこの現実を受け入れきれずにいた。
でも1つ確かな事。それは、僕は生きている。



「怜司ーーー!!!!」
「怜司ーー!!」

一体、どれくらい経ったのだろう。
聞き覚えのある声が廊下に鳴り響く。

その声は、まるで絶叫にも似た声で、殺人鬼から必死に逃れる若者かの如く素早い速さで部屋にたどり着いた。
父と母だ。

「怜司ーー!本当に良かったーー!!本当に心配したのよーー!!!」
子供のように泣きわめく母。

「か、母さん・・・」
普段はろくに口も効かないが母の顔を見た瞬間、涙が溢れ出してくる。安心したのだろうか。


「怜司・・心配かけやがって。本当にごめん・・・父さんと母さんを許してくれ・・・」

普段、口数が少ない父も涙をグッと堪え、母と2人で僕を抱擁する。


・・とても温かい。僕は・・こんな愛を求めていたのか・・・
まだ誰かに必要とされていたんだ・・・

「・・父さん、母さん・・・」


僕も子供のように泣きながら2人を抱擁した。





ドカッッ!!!!バキッッッ!!!!

え・・な、なんで・・・・

鈍い音と共に倒れる父と母。


あまりの出来事に状況を理解できない。

「クスクスクス・・・くっっくっく。」
プププッ


「時輪さん!!時輪さんしっかりしてください!!」
医師と看護師が2人に声をかける。


「れ、怜司君、君は何をしてるんだっっ!!」
担当医が声を張る。


・・え・・・・ぼ、僕?・・・
右手に握られている部屋の花瓶。
「・・クスクスクス・・・」

なぜだろう、笑いが堪えきれない。


ぼ、僕は・・・いったい・・・
・・な、何かが・・・・変だ・・・・

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