嫌われる意味を知らない者達~異世界で始まった人生の迷い家~

ゼロのカラカラ

五話 妖森ー1ー

 西島直広はイライラしている。

 もちろん魔獣攻略が上手くいってないのもあるし、日々の訓練と法術の勉強からというのもあるが、直接の原因がそれでない。

 村崎紫苑が討伐に参加している事だ。

 奴はまだ能力に覚醒していない。霊力もあるのに使えない。その癖法術の勉強をサボり何したかと問えば「散歩」と答える。確かに西島だって日本に帰りたい。それは他の部員も思っている事だ。なのに、自分だけ不幸している村崎がこの上なく苛立たしい。

 「妖森」。魔獣や妖が多い森の中。異世界人一同は先頭の大森先輩を中心に後ろをぞろぞろと歩く。前列にはレイジさんや牧原、それに遠藤という際立った接近戦の相手。後衛は岩永、村井、先生という支援団。その真ん中を辺りをキョロキョロ見ながら歩く村崎。腰にかけた剣が無意味に思える。

「…おい村崎、やる気あるのか?」

 立ち止まる西島。それにつられ後衛が止まる。紫苑はその様子に気が付いたように立ち止まる。前列も程よくして止まる。

「西島先輩、やる気ならありますよ」

「ほう、ならば法術の一つであるや二つ覚えでもしたのか?」

「いえ、全く」

「!!!ふざけるな!!!」

 西島の怒声が森に響く。部員は何事かと目を見張り、先生も少し驚いていた。唯一動じなかったのはレイジと…紫苑だけだった。

「とは言っても霊力をまともに使えないのに法術は無理です。今俺が為せる、というか、この日の為に出来たことは剣術を磨く程度。それだけです」

 事実だ。二週間弱という短い間で出来ることはそこまで無い。無駄に長い間能力を覚醒させ、短い期間でものにするのは不可能だ。部員だって一週間以上の訓練をしてあっと足元レベルだ。大森先輩以外は。

 また、法術となるのも難しい。能力が覚醒すればそんなことは簡単である。がしかし、能力を身につけてない紫苑にとっては過酷である。よって、比較的伸び代のある剣術に時間を費やした。その判断は間違っていないとサクラに言われた紫苑。

 しかし、短絡的変態の西島には理解出来なかった。

「お前がそれを怠けてたからだろ!?やろうと思えば出来た!!!それを先延ばしにして中途半端なポジションに付いたんだろ!?」

「西島くん、やめるんだ」

「!!!し、しかし、!」

 レイジが無言の威圧をしてくる。肩に手を置かれた西島は何かを我慢しながら言葉を飲み込んだ。圧縮された空気は多少和らいだ。

 その後は何事も起こることなく順調に進む。魔獣が来たとしても先陣を組む先輩らにより殲滅される。後衛が必要ないように思えるほどだ。

 体感で三時間くらい歩いただろう。レイジが休憩とそばの石に腰掛ける。他のみんなも疲れていたようで、ヘトヘトになっている。対して紫苑は山登りなど父親に付き合わされた経験と相まって疲れを見せない。周囲を警戒する。もちろん西島はそんなことを知らないので、楽しやがってと睨む。

「レイジさん、俺ちょっとあそこのところで用を足してきます」

 大森先輩が立ち上がる。先陣をきったこともあり尿意を忘れていたらしく、かなり急いで走り出す。

「!!!いかん!!!止まれ!!!」

「えっ?」

 振り返る大森先輩。その後には、

 カマキリ、大きな魔獣がいた。かまを振り上げ、今落とさんとしている。

 西島の【空を穿つ】ならすぐにでも倒せたかもしれない。空気中に弾丸などを作り放つ能力だ。鍛錬したこともあり無意識レベルでも撃てるようになった。しかし、あまりにも突然のことで対処できない。

「《陰影》」

 その時、大森先輩が横に吹き飛ぶ。カマキリはかまを振り下ろし地面がボコッと音をあげる。そして何かを擦る金属音がなる。

「シャア!」

 どこかの機動戦士のキャラを連想させる声で首が飛んだ魔獣。黒い血が地面に滴る。

 西島は目を見張る。

 それをこなしたのは、村崎紫苑だった。

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コメント

  • ゼロのカラカラ

    短いのは分かっていますが、文章力皆無の私がここまでかけるのを褒めてください。

    1
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