嫌われる意味を知らない者達~異世界で始まった人生の迷い家~
一話 壮都の侍女
「う、…うーん……」
 頭にモヤが掛かる。頭を抑えながら、紫苑は今起きている現実を確認する。
 もふもふしているのが全身に覆いかぶさる。仰向けになった体を起こす。
 どうやらベッドで寝ていたようである。もふもふしていたのはふっかふかの毛布だったらしい。全部白い壁には1枚だけゴッホのひまわりを連想させる絵画がかかっている。
 右側は壁、向こうの左側には机が設けてある。後ろを振り向くとコテージになっている。右の壁を辿れば獅子を象った扉がある。
 ベッドから足を下ろす。そばに靴があったのでそのまま履いて扉を開ける。
 倦怠感を抱えて飛び出した廊下。さっきまでの洋風の部屋だったのが、廊下は木でできており、床は木で敷き詰められている。壁も白い漆喰に等間隔に並んだ木の柱、天井も同じように漆喰に格子状に組まれた木が並んでいる。
 日本ぽいけど、若干違和感を覚える。
「あ、起きたのですね!」
 扉は反時計回りに回転させたのだが、その先に少女がいた。黒いおかっぱ頭の左側に朝顔のペンダントが目立つ。黒い虹彩に引き込まれそうになる。ふわっとして大きな目、さらに目鼻立ちがくっきりしており美少女の部類に入る。身長があまり変わらないのはグサッと来た。白い着物に淡くピンクの花が彩られている。
 その少女は俺の登場にびっくりしながらも、なにやら安堵した表情を見せる。
「あ、自己紹介が申し遅れました。私はヒナイ サクラと言います。あなた達の侍女兼支援役をさせていただきます。でも三日も寝ていたのは…すごいです…」
 なにやらキャピキャピしているのだが、何分その短い自己紹介に意味深なものがいくつか含まれていたので怪訝な顔をする。
「えっと、俺は紫苑、村崎紫苑だ。いくつか質問したいのだが…」
「それなら受け答えます。とりあえず殿に拝見しましょう。あなた達の仲間も待っていますよ?」
 そこから違和感ある和風の廊下を辿りながら、サクラは今起こってる現状を説明し始めた。
 曰く、俺らは「転生者」らしい。
 俺らはこの国、「荘都」にやってきた異世界人らしい。魔法陣を組んでこっちに呼び寄せたらしい。どうやって帰るのかを質問したが、話はあとと一蹴される。
 そしてそれはこの国の神「ハザマノミコト」という神様がそう仰せを伝えたらしく、彼を信じるこの国の「神祭」と呼ばれる役職の人が呼び寄せた。それにはひとつ理由があった。
 それは、「妖」や「魔獣」と呼ばれる者達が蔓延り始めたことが原因である。魔獣とは「大罪の使徒」と呼ばれ、この世界の人間を脅かす存在。自我はなく、本能的に他の種の生き物を攻撃する。「妖」は魔獣の中でも自我があるもの。
 この二つの存在が活発になり始めて数100年、人類は存続の危機に襲われたらしい。それを危惧した神は神祭に頼んで異世界人を呼び寄せたらしい。
 世界を跨ぐ時、世界の理が一瞬通用しなくなる。その瞬間を利用して能力を与える。そうやって人類の破滅を止める。らしい。はっきりいって出来たライトノベルだな、としか思わない。
 あと、戻る方法はないらしい。その瞬間、俺は能力が酷使できたならこんなとこ自力で出ていってやる、と決心した。
 まとめると、お前ら能力持ってチーターなんだから戦って俺らの為に尽くせクソ!である。
 そうこうしてサクラが案内してくれたのは、大きな扉だった。欧州の城のように大きな扉には古代の壁画のようなものが掘られている。銅色の大きな扉の下で、たった一人の女の子がそれを開ける姿はなんともシュール極まりない。
「失礼します、殿」
 和風なのか洋風なのかさっぱり訳がわからない紫苑だったが、それは扉の向こうで食事していたらしい数人の人物によって阻まれる。
「村崎くん!?起きたの!」
 まず初めに声をかけて食事をほっぽり出しこっちに来たのは村井梨花である。こっちに来て、もとよりスキンシップが多いのに、いきなり抱きついてきた。彼女いない歴イコール年齢の俺にとってかなり痛々しいことである。しかし、そうは思いながらも、三日も寝ていたのは事実であるらしいので、何も言わずに頭を撫でる。
「あーあ、金婚式夫婦は健在だったよ…」
 日常茶飯事なことをいとも、あいつら…、みたいな口調で話すのはオタク変態ロリコンの三拍子揃った西島先輩である。ツーブロックで決めているが、何分変態素質が体の端から流れているので、存在そのものが犯罪者。こんな男が能力を持ったとなると…世界が危ない。
「ほらほら、ご飯食べてたんだろ?俺も腹減ったし、食べようか」
「…もう、自分のことばっかり…」
 少し頬を膨らませる村井だが、紫苑は日常茶飯事なので、彼女いない歴イコール年齢のスキルを持ったディスアドバンテージを克服する。
 村井が席に座る。サクラに案内されて村井の隣に座る。遠くを見るような目で岩永が見ているのは気にしないでおこう。隣の遠藤先輩、牧原先輩、さらに大森先輩も同じ目をしている。恥ずかしながら、出された料理を口に運んだ。
 頭にモヤが掛かる。頭を抑えながら、紫苑は今起きている現実を確認する。
 もふもふしているのが全身に覆いかぶさる。仰向けになった体を起こす。
 どうやらベッドで寝ていたようである。もふもふしていたのはふっかふかの毛布だったらしい。全部白い壁には1枚だけゴッホのひまわりを連想させる絵画がかかっている。
 右側は壁、向こうの左側には机が設けてある。後ろを振り向くとコテージになっている。右の壁を辿れば獅子を象った扉がある。
 ベッドから足を下ろす。そばに靴があったのでそのまま履いて扉を開ける。
 倦怠感を抱えて飛び出した廊下。さっきまでの洋風の部屋だったのが、廊下は木でできており、床は木で敷き詰められている。壁も白い漆喰に等間隔に並んだ木の柱、天井も同じように漆喰に格子状に組まれた木が並んでいる。
 日本ぽいけど、若干違和感を覚える。
「あ、起きたのですね!」
 扉は反時計回りに回転させたのだが、その先に少女がいた。黒いおかっぱ頭の左側に朝顔のペンダントが目立つ。黒い虹彩に引き込まれそうになる。ふわっとして大きな目、さらに目鼻立ちがくっきりしており美少女の部類に入る。身長があまり変わらないのはグサッと来た。白い着物に淡くピンクの花が彩られている。
 その少女は俺の登場にびっくりしながらも、なにやら安堵した表情を見せる。
「あ、自己紹介が申し遅れました。私はヒナイ サクラと言います。あなた達の侍女兼支援役をさせていただきます。でも三日も寝ていたのは…すごいです…」
 なにやらキャピキャピしているのだが、何分その短い自己紹介に意味深なものがいくつか含まれていたので怪訝な顔をする。
「えっと、俺は紫苑、村崎紫苑だ。いくつか質問したいのだが…」
「それなら受け答えます。とりあえず殿に拝見しましょう。あなた達の仲間も待っていますよ?」
 そこから違和感ある和風の廊下を辿りながら、サクラは今起こってる現状を説明し始めた。
 曰く、俺らは「転生者」らしい。
 俺らはこの国、「荘都」にやってきた異世界人らしい。魔法陣を組んでこっちに呼び寄せたらしい。どうやって帰るのかを質問したが、話はあとと一蹴される。
 そしてそれはこの国の神「ハザマノミコト」という神様がそう仰せを伝えたらしく、彼を信じるこの国の「神祭」と呼ばれる役職の人が呼び寄せた。それにはひとつ理由があった。
 それは、「妖」や「魔獣」と呼ばれる者達が蔓延り始めたことが原因である。魔獣とは「大罪の使徒」と呼ばれ、この世界の人間を脅かす存在。自我はなく、本能的に他の種の生き物を攻撃する。「妖」は魔獣の中でも自我があるもの。
 この二つの存在が活発になり始めて数100年、人類は存続の危機に襲われたらしい。それを危惧した神は神祭に頼んで異世界人を呼び寄せたらしい。
 世界を跨ぐ時、世界の理が一瞬通用しなくなる。その瞬間を利用して能力を与える。そうやって人類の破滅を止める。らしい。はっきりいって出来たライトノベルだな、としか思わない。
 あと、戻る方法はないらしい。その瞬間、俺は能力が酷使できたならこんなとこ自力で出ていってやる、と決心した。
 まとめると、お前ら能力持ってチーターなんだから戦って俺らの為に尽くせクソ!である。
 そうこうしてサクラが案内してくれたのは、大きな扉だった。欧州の城のように大きな扉には古代の壁画のようなものが掘られている。銅色の大きな扉の下で、たった一人の女の子がそれを開ける姿はなんともシュール極まりない。
「失礼します、殿」
 和風なのか洋風なのかさっぱり訳がわからない紫苑だったが、それは扉の向こうで食事していたらしい数人の人物によって阻まれる。
「村崎くん!?起きたの!」
 まず初めに声をかけて食事をほっぽり出しこっちに来たのは村井梨花である。こっちに来て、もとよりスキンシップが多いのに、いきなり抱きついてきた。彼女いない歴イコール年齢の俺にとってかなり痛々しいことである。しかし、そうは思いながらも、三日も寝ていたのは事実であるらしいので、何も言わずに頭を撫でる。
「あーあ、金婚式夫婦は健在だったよ…」
 日常茶飯事なことをいとも、あいつら…、みたいな口調で話すのはオタク変態ロリコンの三拍子揃った西島先輩である。ツーブロックで決めているが、何分変態素質が体の端から流れているので、存在そのものが犯罪者。こんな男が能力を持ったとなると…世界が危ない。
「ほらほら、ご飯食べてたんだろ?俺も腹減ったし、食べようか」
「…もう、自分のことばっかり…」
 少し頬を膨らませる村井だが、紫苑は日常茶飯事なので、彼女いない歴イコール年齢のスキルを持ったディスアドバンテージを克服する。
 村井が席に座る。サクラに案内されて村井の隣に座る。遠くを見るような目で岩永が見ているのは気にしないでおこう。隣の遠藤先輩、牧原先輩、さらに大森先輩も同じ目をしている。恥ずかしながら、出された料理を口に運んだ。
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