創造のスキルとともに異世界へ

エミヤ

二度目の転生

あのジジ......ゼウス神の手伝いをすべく俺たちは二度目の転生を決意した。

そして今、新たな世界へ向かうべく、真っ白な一本道を亮と歩いている。

かなりの時間を歩き、扉の前に着いた。

「さて、行くか。」

「おう。」

亮と一言だけ会話をして、異世界への扉を開ける。

そうだ……

先に言っておくことがある。

そう、俺たちはこの世界を一瞬で攻略してしまうのだった。

一瞬といっても大体2日くらいだろうか。

まあいい。

こんなに早くてもこの言葉は使わせてもらうぜ。

第2章の始まりだ!










目を開けたら一面森が広がっていた。

「森だ。見渡す限り森だな.......」

「ああ、そうだな........」

二度目の転生、転生して早々森で迷ってしまったのだった..........














私はもう、この家から出ることにする。

そのための作戦は立ててある。

「お爺様、申し訳ございません。私はどうしても外の世界を見たいのです。」

お爺様とお兄様曰く、外は危険な場所で、とても醜い世界だそうです。

しかし、私は例えその話が本当だったとしても、外へ行きたい。

12年間もそう思い続けたのだから.......

私は15年前に生まれ、それから一度も外に出たことがない。

屋上はあったため空は見ることができた。

しかし壁が伸びていて天井はガラス張り。

腕が一本通るか通らないかくらいのスペースしかない窓。

到底出られそうにない。

でも、それでも私は窓の外からやってくる鳥たちの言っている外の世界を見てみたい。

だから私は今日、この家を出る。

「よし、行こう!」

まず、この家の構造だけど。

家というよりはホテル。

1階から6階まであり、私がいるこの部屋は6階。

6階全てが私の部屋という扱いになっている。

半分が部屋で半分が屋上。

変わった構造だと使用人が言っていた。

5階はお爺様とお兄様の部屋があり、4階から3階までが使用人の部屋があり、2階はレストランになっている。

エレベーターがあるけど、それを使ってしまうとバレてしまうので、その隣の螺旋階段を使うことにする。

螺旋階段で二階に降りると六角形のスペースがあり、正面にレストランへつながる扉と厨房への扉、右にエレベーター、左に1階へつながる道がある。

左の道を進むと一本道の角を右に曲がれる。

曲がるとすぐにエスカレーターがある。

エスカレーターを降りると四角形の少し広いスペースがあり、またエスカレーターがある。

このエスカレーターは結構長く、両端に植物が飾ってあるそうだ。

そのエスカレーターを降りると真っ直ぐに通路があり、その奥に両開きの扉がある。

その扉を開けると、また四角形のスペースがある。

その先の両端に次の部屋へと繋がる扉がある。

その扉を開けると横に細長いスペースがあり、また扉がある。

その扉はガラス張りでその先も全てガラス張りである。

その中には沢山の植物や花が、棚に飾られており、その先の奥。

そこに出口があるそうだ。

地図を見た限りだとかなり長い道のりになる。

これが最初で最後の機会だと思う。

これを逃せば外へ出られる希望は無くなってしまう。

自室の扉を静かに開け、極力音を立てないように階段を降りて行く。

皆が寝ている頃を見計らい早朝に行動をしているため、レストランに使用人はほとんどいない。

厨房に仕込みをしている人が数人いる程度。

だからここは大丈夫。

階段を降りきった後はみ右に曲がり、少し早歩きで進む。

しかしそこで.......

「何をしている!?ユナ!」

私を呼ぶ声が後ろから聞こえた。

やばい!

そう思った私は一気にエスカレーターを駆け下りる。

声の主はお爺様だ。

どうしてお爺様にバレたのか分からない。

だけど、ここで止まるわけにはいかない。

私はどうしても外の世界を見たい。


エスカレーターを駆け下りてからすぐに通路を進み、扉を開ける。

その後も迷わず通路を進み扉を開ける。

植物園とも温室とも取れるその部屋の扉を開け出口へ向けて走る。

この部屋は中心に棚が3つ置いてあり、それを挟むように4つ通路がある。

棚には多種多彩な植物や花が置いてある。

「待つんだユナ!」

出口まであと一歩のところでお兄様が私の行く手を阻む。

ごめんなさいお兄様、でもね、どうしても私は外へ出たいの!

私は迷わずお兄様めがけて走る。

「っ!?」

お兄様の目の前に来た時私はある賭けに出た。

右に行くように見せかけて左へ行く。

「なっ!」

流石のお兄様も意表を突かれたみたいですね。

それはそうだ。

だってこの技術はお兄様たちの知らない、人という生き物が作り出した技術なのだから。

この技はクロスオーバーといって、人が作り出したバスケットボールというゲームで使われるものだ。

人間に関する本を全く読まないお爺様やお兄様には理解出来ないものだろう。

この技のお陰で私はお兄様を抜き去ることができた。

そして、ついに出口への扉を開ける。

勢い余って扉を開けたあと大きくバランスを崩した。

「うおっ!なんだ!?」




今思えば彼との出会いがなかったら私はお爺様たちに捕まっていたよね。














うん。

迷った。

どうしよう。

いや、選択肢はいくらでもあるんだが、ステータスに頼りきっていたことが多かかったからな.....

「やっぱり周囲の確認が最優先か.....」

そう結論を出した俺はとりあえず大きく真上に飛び上がる。

「100メートルちょい......おー、結構見えるな。」

さて、何かないか.......お、ホテルみたいのがあるぞ。

着地した後今見たものを亮伝えた。

「半径約10キロは全て森。ただ、少し奥に建物が見えた。」

「了解。ならまずそこに行こうか。」

「ああ。」








目的地が決まってからの行動は早く、10分もしないうちに建物へたどり着いた。

「ほう、意外と大きいな。」

と、亮がそう言った。

外装は特殊で、入口がガラス張りの温室のようなものになっていて。

ガラス一面にはツタが伸びているから内側は見えない。

おおよそこれが入口だろう。

そしてその隣にあるのがホテルのような建物である。

5階か六階建てだろうか。

見た目よりは大きく感じる。

「ま、入ってみないことには進まないな。」

そう思って入口に向かった瞬間、突然扉が開かれた。

「きゃあ!」

飛び出してきたのは1人の少女だった。

「「うおっ!」」

流石に俺も亮も驚いた。

実のところ先程から気配探知が引っかからない。

おおよそこの世界の仕組みとして禁じられているのだろう。

まあ、それよりも先に.......

「.......大丈夫か?」

この少女が優先だろう。

身長160センチ弱の金髪で、歳は大体ステファンと同じくらいだろう。

しかし、なぜいきなり飛び出てきたのか、外で遊びたくて急いで出てきた様には見えない。

明らかに焦った様に見える。

「何かあったのか?.......」
 
そう言いながら彼女に手を差し伸べたその瞬間、扉の方から老人の声が聞こえた。

「待ちなさいユナ!」

彼女はその声に反応した。

「いやです!もうあそこには戻りたくありません!」

今の会話だけ聞くと逃げてきたと取れるが......逃亡か脱出か......おそらく脱出。

俺がそうこう考えているうちにその少女はいつの間にか俺の後ろへと来ていた。

面倒ごと押し付けんなよお前....

扉の向こうから声の主が現れた。

60代くらいの老人だった。

白髪で髭の生えた何か威厳のありそうな老人。

「むっ!なんだ貴様は!ユナに何をするつもりだ!」

「おいおい、いきなりなんだよ。人を犯人呼ばわりするなんて酷いな。大体俺はこいつに巻き込まれたんだっつーの。」

そう言いながら俺はこの少女、ユナを見る。

ユナは俺を見ると、少し慌て出した。

どうやらこのままだとあの爺さんの元に引き戻されると思ったのだろう。

まあそれが正当なんだろうけど.......

「とりあえず理由だけ聞いていいか?」

「なに?理由だと?」

「この子をあんたに返すかどうか、双方の話を聞いてから決める。いいかい?」

「なに!?低位の亜人風情が.....調子に乗るにも大概にしろ!」

「はあ?亜人?俺が?なんで?」

「人間に似た姿など、低位亜人しかおらんだろ!」

「何言ってんだ?俺は人間だぞ?」

「なっ!?馬鹿な、嘘を言うな!人間は既に滅んだ種族。生き残りがいるはずないだろう!」

「滅んだ?.......」

ああ、そういうことか。

やけに森が広がっていたのはそのせいか。

「なるほど.......ま、どうでもいいか。ところで、近くに町とかあるか?」

「先ほどから何を言うて.....いや、そうだな........この場所から北に100キロほど進んだところに街がある。」

「北?街なんて見えなかったが........」

まさか幻影か何か使われた?

このおじさんの言っている通り、北の方角を見ると確かにビルらしきものがあった。

しかしそれらは廃れ切ってしまっている。

明らかに人は住んでいない。

しかし人間が滅んだと言っていてがこの爺さんたちはどう見ても人にしか見えない。

亜人、とも言っていたがそこまで似てるもんなのか?

うん、今はまだ分からんな。

「おっちゃんおりがとうな。取り敢えずあそこに向かってみるわ。」
 
「え!?ち、ちょっと待ってください!この状況で私を見捨てますか!?」

「うん。なんか話聞く気がなくなってきた。」

「酷いですよ!?せめて話でも聞いてくださいよ!」

「んー、じゃ聞いてみる。」









「なるほどね。生まれて一度も外に出たことがないからどうしても出たくて行動に移したと。」

「はい。そうなんです!」

「んで、なんでおっちゃんはこの子を外に出したくないんだ?」

「っ!そんなこと貴様に関係ないだろう!」

「やりようによっては監禁行為だぞ?」

「外は危険だからとユナを外に出さないのは当たり前のことだろう!」

「過保護すぎるんだよおっちゃんは。1年ならともかく10年以上も.........でもよ、外に出たいって言う願いは叶ったんだから帰ってもよくね?」

「え!?そんなの酷すぎますよ!?」

初対面にそんな馴れ馴れしくするのもどうかと思うけどね........

「ま、そうなるよな.........今回はこの子を外に出してあげなかったおっちゃんが悪い。よって少し俺はこの子を連れ回してみることにするよ。」

「なに!?勝手にものを決めるな低位亜人!貴様の意見なぞ知るか!なんとしてでもユナを連れ戻す!」

そう言うとおっちゃんは足に力を入れまっすぐと俺に向かって飛翔する。

右手の拳はすでに握られており明らかに俺の頭蓋を砕きにきている。

が、しかし、決してこの攻撃が俺に通る事はない。

なぜなら........

「............っ!?」

「残念だったなおっちゃん。レベルの差だ。」

おっちゃんの攻撃は確かに俺の顔面に直撃した。

しかし俺はダメージを受けることはなかった。

当たり前のことだ。

これでもレベルはカンスト状態にさせている。

この世界に来た時の飛び上がりで前の世界のステータスが反映されているのも確認済みだ。

ならば同じ転生者でない限り、この世界の住人ならば俺にダメージを与えられるものはほとんどいない。

おっちゃんもレベルがカンストしていたら俺にダメージを入れられたんだが………

「なあ……なんでそんなにこいつに固執するんだ?」

「貴様には関係なかろう……!」

「うーん、それんよって俺の立ち位置が変わってくるんだけどなぁー………」

「っ…………………」


結局、渋々だが理由を話してくれた。

なぜあんなにこの少女ユナに固執するのかというと、なんとこの子神獣フェンリルの血を引いているのだとか。

獣族の神様であるらしいからその身に危険が及ばぬよう家から出さなかったようだ。

「なあ亮君や………フェンリルって、あのフェンリルかい?」

「ああ。あの、フェンリルだ……」

「なあおっちゃん。フェンリルってそんなに神格化されるものか?」







驚きました。

まさか見ず知らずの私を助けてくれるのだから。

と途中から観劇にひたっている間に事は進んでい、気がつけばお爺様が私を助けてくれた人に殴りかかっていた。

「………っ!?」

確かにお爺さまの拳はこの人の顔に直撃した。

でも殴られた本人は平然と立っている。

あり得ない。

軽く叩いただけでも壁を破壊できるほどなのに全力で殴ったお爺様の拳を平然と、しかも顔で受けているのにも関わらず平然としていられるなんてありえない。

………よく見たら傷1つついていない。

戦力差を悟ったのか、お爺さまはこの人の提案に乗り、私を今まで外に出さなかった理由を話した。

内容はとても驚くもので、私は伝説のフェンリルの血を引いているのだった。

確かにそれならお爺様が私を外に出さない理由もわかる。

でもこの話を聞いた後、目の前にいる私の恩人が妙なことを言った。

「フェンリルってそんなに神格化されるものか?」






なにを言っているんだと言わんばかりの顔で見られたが何か問題発言しただろうか。

「え?フェンリルってペットとして流行ってる神獣だよな?」

「「え?」」

え?もしかしてそんな扱いじゃなかった?この世界ではもっと重要だった?なら悪いこと言ったな………

「ごめん。なんか失言だったみたいだ。」

「それよりペットとは何だ!?伝説の神獣がペットだと!?何かの間違いでは無いのか!?」

「あー......うーむ......あ、そうだね間違えたね、ダイアウルフと間違えたわ。フェンリル神獣だもんね、そんなに沢山居るわけないよね。」

「明らかな棒読み......」

「亮......今それ言わないで......」

「ま、兎に角!この子は少し外を見て回る。護衛役として俺が行く。これでいいよな?」

「むぅ........分かった。ただし、ユナの兄、ケールも連れて行け。」

「おっけい、了解した。数日したら帰ってくるから今後の機会、この子を外に出すかどうか、あんたはじっくり考えておいてくれ。」

「.......分かった。」

「よし!じゃあ行くか!」

これからこの子と街の探索を始める。

何をすれば世界が救われるか分からない以上、今は思いついた事をしていこう。

そうすればいつかは修復点を見つけることができるはずだ。











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再 始 動!思い付き次第書きます!

絵を描いてもらいました!相変わらず上手ですねー!

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