最弱最強の破壊者

うらら

誤認

ルシフェルもどきと戦闘を繰り広げている俺こと神童闘志はあることに気がついた。新九郎の能力についてである。俺たち<ジョーカー>の研究チームは新九郎の新能力は「新九郎自身がイメージした対象と繋がりを持ち、その身に宿すことで力を借りる」と思っていた。しかし、力を借りているのであれば伝承には書かれていない力は発揮できない筈である。しかし、目の前の異形は意味がわからない黒い魔力の球のようなものを放ってきた。それとともに光の攻撃も合わせて。そしてさらには新九郎自身の能力である身体系魔法まで使っているのだ。俺らの考えでは新能力の方を使うときはその身に宿して力を借りるため、借りている能力しか使えないというものだったが、この目の前の異形は違った。つまり、新九郎の本当の能力は「新九郎がイメージした通りのものに新九郎自身がなる」というもので間違いないだろう。そのため、俺らが想定していたよりも遥かに危険な能力なのだ。それはおいおい新九郎に伝えるとして、さて、困った。目の前の堕天使もどきをどう対処すればいいか、検討がつかない。さっきから不意をついた攻撃をしているが、全て躱されているか、光の攻撃でカウンターを入れられていて対処に困っていたのだ。すると、堕天使もどきが口を開く。
≪その程度で我を相手できると思っているのか、劣等種≫
「思ってねーよ、てかいい加減諦めてくれませんかね?」
≪誰に口をきいている?身の程をわきまえろ!≫
全く新九郎はどんなイメージを持ったんだよ。まぁそれは後で訊くとして、もう少し力を使いますかね!そう思うと、俺は足に魔力をこめて、一気に放出。その勢いで前方へ飛び出すとともに、蹴り技の応酬を行う。上段蹴りから下段蹴りへ、そこから中段蹴りへと次々につなげていく。が、しかし、新九郎も俺の蹴りに完璧に対応してくる。捌いたり躱したり光のカウンターを放ったりと、物凄い反応速度だ。弟子の成長ぶりを嬉しく思いつつも、俺は次の手に出た。俺は蹴りを寸止めすると同時に姿勢を低くすると、腕へ闘気を思いっきり溜める。そして腹へ掌底を放った!蹴りに対応しようとしていた新九郎は若干反応が遅れ、俺の掌底をモロに食らった。そしてくの字に折れながら後方へ勢いよく吹っ飛んだ。爆音とともに壁に激突して粉塵が舞う。そして粉塵がやむと、そこに新九郎の姿がなかった!やばいっ!俺は背後に気配を感じ咄嗟に前方へ飛び出すと、俺のいた場所が光と闇、闘気の入り混じった柱に包まれて床が大きく抉れていた。あれは新九郎の<ルシフェル>の時に使える<反逆の明星トリーズンヴィーナス>にイメージで作った光と闇の魔力を混ぜたものだろう。無茶苦茶じゃねぇか、あの能力!クソっ!こっちも本気を出すしかねぇなぁ!俺は全身に闘気を溜め始める。それに気づいた新九郎は12枚の黒い翼を羽ばたかせて高速で迫ってきた。それを躱すと、背中に向かって闘気の濃密な波動を無数に飛ばした!それとともに俺は両脚に闘気を溜め、新九郎との距離を詰める。さっき放った闘気の波動を対応していた新九郎は俺の接近に僅かに遅れた。そこを見逃さず俺は左足を軸足に、右足に濃密な闘気を込めて、新九郎の腹部目掛けて放つ!
「吹き飛べっ!新星の波動ノヴァインパクトっ!」
その掛け声とともに放った俺の渾身の一撃は見事に新九郎の腹へクリーンヒット!闘気の波動が新九郎の身体を貫通し、後方の壁を大きく抉る。そこに新九郎が飛ばされて、叩きつけられた。粉塵がやむと、今度こそ能力が解除された元の姿の新九郎が倒れていた。
「たく、世話のやける弟子だぜ。」
そう言いながら俺は新九郎を担いでみ医務室まで運んだのだった。


俺こと闘打新九郎は目を覚ますと知っている天井を見た。ここは<ジョーカー>の医務室だ。確か俺は神童さんと稽古していたが、ルシフェルをイメージした瞬間から記憶が曖昧なのだ。すると横から声がかけられる。
「起きたか、どうだ、体調は?」
声の主は神童さんだった。
「とりあえずは大丈夫です。んで、俺なにがあったんですか?」
「そうか、記憶がないか。」
「すみません。」
「いや、謝らなくてもいいよ。んで、なにがあったかだったな。えーとな、、、。」
俺は今まで起きたことを教えてもらった。正直ショックだった。そして能力の認識の誤りも教えてもらい、一通り説明を受けた。
「本当にすみませんでした。俺っ!神童さんのことをっ!」
「気にすんなっていっただろ?だいたい、お前に簡単にやられるわけねーだろ?師匠舐めんな。」
そう神童さんは笑って言ったため、俺は頭を下げて感謝した。
「んで、ここから本題だ。お前の能力の今後を考えないといけない。封印するか、使いこなすかのどっちかだ。どうする?」
相当迷った。また暴走するかもしれない。今回は神童さんが助けてくれたが、下手したら殺していたかもしれないのだ。
「お前が使いこなしたいなら俺はとことん付き合うぜ?今回の件は気にするな、って言っても無理だとは思うがな。」
俺はしばらく考えてから、口を開いた。
「お願いします。特訓させて下さい!俺!強くなりたいんです!」
「そういうと思ったぜ。お前のことだし、諦めるわけないわなぁ。三年前もそうだったよ?」
「ありがとうございます!」
「おう!可愛い弟子の頼みは叶えてやるのが師匠の務めだろ!だが、やるからには厳しくいくらかな?覚悟しとけ!」
「それはいつもの事ですから、大丈夫です。」
「そうか。あ、そうそう、お前の能力の名前何にするか決めたか?」
そう言えば能力名を決めてなかった。俺はしばらく考えてから、この能力が想像してイメージを創造し、それになる事を考え、
想像の創造者イマジネーション・クリエイターなんてどうでしょう?」
そういった。すると神童さんが、
「おー、いいんじゃねぇか?若干の中二病臭さはあるがな。」
そう笑った。少し恥ずかしい気持ちになったが、この名前にすることにしたのだった。

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ご意見ご感想お待ちしております!いいねやフォローをしてくださると嬉しいです!また、過去の話でもルビを入れ直し、読みやすくしてみました!今後とも最弱最強の破壊者をよろしくお願いします!

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コメント

  • -弧+妻

    途中で視点が急に変わるのが気になります
    変わるなら行間を作り、ここから変わりますと宣言する\_(・ω・`)コレ重要!
    プロの作家さんの作品で地の文と地の文に隙間を入れ、視点や時間軸、場所が変わった時にわかりやすくなるようにしてあります
    プロアマ関係ない基本ではあります
    書いている作者はそうでなくても、読者は作者が読んで誤解が生じてしまわないようより一層気を遣うべきです

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