最弱最強の破壊者

うらら

体育祭 前半戦

事件が起きてから一週間が経った。俺の体調は元に戻り、まともに生活できるようになった。それから、<混沌の夜明けカオ・オロール>の残党も各国の部隊によって捕獲又は殲滅されている。そして、二週間後、襲撃でできなかった体育祭が行われることになった。俺は今度こそは楽しもうと、意気込んでいた。また、身の回りにも変化が起きた。クラスの人達の視線が変わった気がした。前のような差別的な目では見られなくなった。それどころか、俺に、そのようにみていた人たちが、謝って来たりもした。また、俺にクラスの男子が、
「なあ、新九郎、いや、新九郎さん、俺に格闘術の稽古をつけてくださいっ!」
とか、
「俺も新九郎さんのような体術を身に付けたいんだ!是非とも稽古をつけてくださいっ!」
といった、前では考えれないような頼みごともされたりした。普通、魔法が使えるものは、その能力に依存し、体術や剣術などを身に付けない人が多い。だが、俺は能力が能力なため、必須項目であった。ただし、例外もいる。例えば舞のように、炎で剣を作るような人は、少なからず、剣術を学んでいる。俺は、頼んできた人達に、笑顔で、
「構わないよ、でも、俺のは少し他とは違うけど、いいのかい?」
と答えると、皆、口を揃えて、
「新九郎さんの体術を身に付けたいですっ!」
と目を輝かせて言っていたので、俺は笑顔で了承した。そうして、一週間で俺の身の周りは大きく変わったのだった。


そして、二週間後、体育祭当日になった。天気は体育祭日和の快晴!前回と同じように、グラウンドの校舎側で生徒会長の氷麻里先輩が挨拶を行い、続いて、学園長の演説が始まる。俺を助けにきた時のようなおちゃらけた口調ではなく、威厳のある学園長らしい口調で、いかにもそれらしいことを述べていた。果たして、どっちが本当の彼女なのだろうか。ちなみに、体育祭はクラス対抗で行われ、当然クラスTシャツも作られたのだが、俺には納得いかないものだった。なぜなら、このTシャツの色は紫と黄色を基調としており、背中にある絵柄がどこかでみたことのあるような天使もどきなのだ。さらには、背中にTEAM The Morning Star(チーム 明けの明星)と書かれており、絶対にルシフェルのことを意識しているのだ。おかしいだろと俺は抗議したが、クラスは俺以外皆、賛成。多数決で決まってしまった。舞におかしいと同意を求めたが、舞はさも当たり前と言った顔で、
「いいじゃない、カッコいいし。それに、学園を救ったヒーローの格好にも似てるしね!」
と、俺の意見をさらっと否定した。これじゃ、恥ずかしいなんてものではない。第1、中二病過ぎるだろ、これ。そんなことを思い出しながら、百合の方を確認するようにみた。百合は流石に着ないだろと思い、職員の並ぶ場所に目をやると、タバコを吸いながら、紫と黄色を基調とし、美化された堕天使の絵が背中にある服を何事もないかのように着ていた。俺は驚きを通り越してもはやどうでもよくなり、諦めたのだった。そんなことを思っていると、開会式が終わり、各種目が始まるのだった。


クラス対抗で行われる、体育祭。その前半戦が終わろうとしていた。うちのクラスはまずまずの滑り出しで、クラス順位は大体、真ん中。ただし、ここから、高得点を叩き出せば、優勝も狙えなくはなかった。そして、前半戦、最後の競技になる。その種目は俺も出場する二人三脚。レースは5組あり、それの4組目に俺と舞は出ることになった。順番を待っていると、舞が嬉しそうな顔で、
「絶対勝とうね、新九郎!」
とニコニコしながら話しかけて来たので、俺は、
「おう!やるからには1位とんないとな!」
と、ニッと笑いながら返した。そうこうしているうちに、俺らの番になった。ちなみに前の人たちは、1組目が2位、2組目が1位、3組目が3位である。俺は、自分たちのレーンにつくと、舞と俺の足に手ぬぐいを巻き、舞の方に手を回した。舞は嬉しそうな顔で、俺の腰あたりに手を回す。そこで、隣のレーンの人に目がいった。運動するために長い髪をポニーテールにまとめた、綺麗な女の子、東条氷麻里先輩と、そのペアの女の子がいたのだ。氷麻里先輩は、こちらに気づくと柔らかな笑いとともに、
「あら、新九郎君、やるからには全力であなたを倒しますっ!」
と言ってきたため、俺は笑いながら、
「お手柔らかにお願いしますね、氷麻里先輩っ!」
というと、氷麻里先輩は笑った後、前を向きなおした。それに合わせて俺も舞も前を向く。そして、スターターの女の子がピストルを頭の上に掲げ、
「位置について、よーいっ!」
と言った後、景気良くパンっ!という音がなった。それとともに俺と舞は全力ダッシュ。他を寄せ付けないスピードで走っている、はずだった。ちょっとしてから追いついてきたペアがある。氷麻里先輩のペアだ。俺たちは必死に走ると、その分、氷麻里先輩もついてきた。コーナーを曲がり、ラストスパート。あと少しで抜かれそうなところまで追いつかれた。最後は俺たちと氷麻里先輩達のデットヒート。激闘の末、ギリギリのところで、俺と舞はゴールテープを切ったのだった。レースが終わると、
舞は笑いながら、
「いやー、あの2人、早すぎだよ!追い越されるかと思った。」
と言っていた。俺はそれを聞いて笑いながら、
「いやー、危なかったよなぁ、後1秒遅かったら抜かれてたね。」
と返した。すると、氷麻里先輩がやってきて、
「君たち早すぎだよー、いい勝負だった、ありがとう!」
と話しかけてくれたので、俺たちは揃って感謝した。
こうして、前半戦が終わり、昼食タイムとなった。
 
〜体育祭 後半戦へ続く〜

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ご意見ご感想をいただけると幸いです!
また、フォローやいいねをしてくださると嬉しいです!

「最弱最強の破壊者」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く